<▲写真:「Yaber T2」> |
最初に感想を述べておくと、コストパフォーマンスに優れたかなり良いプロジェクターだ。しかもサウンド品質が優れているのでBluetoothスピーカーとしてスマホの音楽などを楽しむ際にも十分活用できる。
Yaber T2に搭載されたJBLスピーカーの品質はかなり高く、同社のプロジェクターラインナップの中でも優秀なサウンド性能だと思う。
<▲画像:「Yaber T2」のスピーカー。大型スピーカーが搭載されていることが分かる。JBL製で「Dolby Audio」対応(※メーカー資料より)> |
そして、据え置き機に近いサイズの大型光学系を搭載し、バッテリーまで内蔵しつつ、持ち運びが可能なサイズを維持している。また、オートフォーカス、オートキーストーン、オートスクリーンフィット(障害物を自動的に回避し、投影サイズも自動調整する機能)などのオートフィット系の機能も優秀だ。
詳しくは後述するが、Yaber T2にはデザイン違いで4種類のモデルがラインナップされている。発売当初は2種類だったが、12月17日時点では増えて4種類になっている。スタンダードモデル、「スローガンモデル」、「K.H.エディションモデル」「迷彩柄モデル」だ。スタンダードモデルの通常価格は59,980円(税込、以下同)だが、割引クーポンや特別割引プロモーションコードなどを利用できるタイミングもある。他のデザインバリエーションモデルの価格は60,980円~69,990円と差があるが、その時々で割引クーポンなどによって実売価格も異なる。
なお、プロモーションコードや割引クーポンの使い方などについてはこちらの記事を参照して欲しい。
なお、本記事で試用しているYaber T2はメーカーからの提供品だ。
下はAmazon.co.jpでの製品リンク。
Yaber T2の概要
Yaber T2の特徴
まず最初にYaber T2の特徴をメーカー資料を元におさらいしておきたい。Yaber T2の駆動方式はバッテリー、家庭用コンセントの2種類。バッテリーのみで駆動させた場合の使用時間の目安は約2時間半。ちょうど映画一本分くらいだ。Yaber T2にはBluetoothスピーカーとして使用できるモードがあり、その場合はバッテリーだけで約18時間駆動できる。
<▲画像:「Yaber T2」の内蔵バッテリーのみでの駆動時間の目安(※メーカー資料より)> |
本体サイズは一般的な据え置き型のプロジェクターと比べて小さく軽い。縦横は165 x 140mmで、高さは約290mm。上に掲載した画像からもフットプリントが小さいことが分かると思う。ただし、逆に高さはある。とはいえ、設置及び保管の際のスペースには困らないだろう。重さは約2.5kgだ。
<▲画像:「Yaber T2」のサイズ感。縦横サイズが小さいので棚の上などを占有する面積は小さくて済む(※メーカー資料より)> |
モバイルプロジェクターの中には極端に小さな製品もあるが、Yaber T2はそれらとは立ち位置が異なる。サイズも性能も、据え置き機と超小型モバイルプロジェクターの中間だと言っていいだろう。
「超小型モバイルプロジェクターより性能が高い方がいいけど、据え置き機ほど大きいのは嫌。それに外出先でも使いたい」というニーズに応える製品。
Yaber T2のプロジェクターとしての基本仕様は、実用投写スクリーンサイズが40インチから120インチほどで、スクリーンとプロジェクター間の距離は約1.1mから約3.3m。投写解像度はフルHD(1080p)で、明るさは最大450ANSIルーメンだ。
<▲画像:スクリーンサイズとスクリーン間距離の関係> |
オートフォーカス、オートキーストーンの他、オートでの障害物回避、サイズ調整機能も搭載する。先ほども書いたし、詳しくは後述するが、Yaber T2のオートフィッティング機能は優秀で、とても便利だ。
<▲画像:オートフォーカス、オートキーストーン、オートでの障害物回避とサイズ調整などのオートフィッティング機能を搭載する> |
映像入力ポートはHDMI(ARC対応、外部給電対応)が1つ。他にUSB 2.0が1つ搭載されていて、USBメモリも利用できる。入出力ポートはそれらの他、3.5mmオーディオ出力ポートが1つ、有線LANポートが1つ搭載されている。
<▲画像:入出力ポート> |
ネットワーク機能はWi-Fi、Bluetooth、NFCに対応する。Wi-Fiは「Wi-Fi6」まで対応し、BluetoothもBluetooth 5.0まで対応している。
Bluetoothは、送信と受信の両方に対応している。送信では、Yaber T2で動画を視聴中に音だけをBluetoothヘッドホンなどに飛ばして聴くことができる。一方、受信では、スマートフォンで音楽や動画などを再生する際に、音をYaber T2のスピーカーから出すことができる。すでに何度か書いたように、いわゆるBluetoothスピーカーとして活用できる。Yaber T2のスピーカーは十分な性能なので、下手にBluetoothスピーカーを買うよりも良いだろう。
すでに述べたように搭載されているスピーカーはJBL製で「Dolby Audio」対応。
また、Yaber T2はモバイルプロジェクターとして持ち運びがしやすいようにハンドル(取っ手)がついている。このハンドルは360度回転でき、下側にしてスタンドとしても使える。
Yaber T2のバリエーションと価格
Yaber T2には合計で4種類のデザインバリエーションがある。スタンダードモデル、「スローガンモデル」、「K.H.エディションモデル」、「迷彩柄モデル」だ。違いはデザインのみで、機能などハードウェアは同じ。「スローガンモデル」などのデザインモデルには、本体やハンドルの側面などに文字や模様などが描かれている。<▲画像:上段左がスタンダードモデル、上段右が「スローガンモデル」、下段左が「K.H.エディションモデル」、下段右が「迷彩柄モデル」> |
通常価格はスタンダードモデルが通常59,980円、スローガンモデルが60,980円、K.H.エディションモデルが69,990円、迷彩柄モデルが60,980円。
注意したいのは、どちらのモデルもその時々で実売価格が変わること。Amazon.co.jpではよく割引クーポンが配布されているし、こちらの記事で紹介したように、GAPSIS読者向けの特別割引プロモーションコードが使用できることもある。メーカーからコードが発行されたり、変更があった際には、前述のリンク先の記事に追記するので購入時にはチェックしてみて欲しい。
その時々で異なるが、クーポンが配布されていない時は少し待ってみるのも手だと思う。特にAmazonで実施される様々なセール、キャンペーンなどは要チェックだ。
- Yaber T2 スタンダードモデルのAmazonのページ
- Yaber T2 スローガンモデルのAmazonのページ
- Yaber T2 K.H.エディションモデルのAmazonのページ
- Yaber T2 迷彩柄モデルのAmazonのページ
純正オプション品
Yaber T2には別売りの純正オプションとして「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」が用意されている。これは「Google TV」搭載のスマートTVドングルだ。<▲画像:「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」> |
Google TVをYaber T2で利用したければGoogleの「Chromecast with Google TV」を使えばいい訳だが、「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」には純正オプション品独自の魅力がある。
その一つはデザインで、Yaber T2と調和した設計であることが上の画像からも分かると思う。もう一つの魅力は、Yaber T2のHDMIポートからの給電のみで駆動することだ。Yaber T2のHDMI端子は「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」を接続したときに映像転送だけでなく給電も行う仕様になっているので、ドングル側にUSBアダプタなどを接続する必要がない。配線不要でスッキリする。しかもプラグは曲げられるので、本体背面に沿わせれば邪魔にならない。
→Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプターのAmazonのページ
Yaber T2の基本スペック
Yaber T2の基本スペックを掲載しておきたい。- 製品名:Yaber T2
- 投影方式:LCD
- 投影解像度:1,920 x 1,080(フルHD)
- 最大輝度:450ANSIルーメン
- 光源:LED
- フォーカス:オート及びマニュアル
- 台形補正:オート及びマニュアル
- 障害物回避:オート
- 全自動でのスクリーンフィッティング:搭載
- 推奨投影距離:1.1m~3.3m
- 推奨スクリーンサイズ:43.3インチ~129.9インチ
- デジタルズーム(縮小):100% - 50%
- 前後角度調節:最大15度(取っ手を使用)
- 天吊り:対応
- 入出力端子:ARC対応HDMI入力(x1)、USB 2.0(x1)、3.5mmオーディオ出力、有線LAM
- Wi-Fi:対応(Wi-Fi6まで)
- Bluetooth:5.0(送受信対応)
- Bluetoothスピーカーモード:対応
- NFC:対応
- スピーカー:JBL製ステレオスピーカー、Dolby Audio対応
- 定格消費電力:110W
- サイズ:約165 x 140 x 290mm
- 重さ:約2.5kg
- パッケージ内容:Yaber T2本体、レンズカバー、電源ケーブル、リモコン、HDMIケーブル、クイックスタートガイド(日本語あり)、クリーニングクロス
また、購入検討中の方はYaber T2のマニュアルも事前にチェックしておくことをお勧めしたい。より詳しい情報が載っている。下記リンク先ページ内の「T2マニュアル:EN_DE_FR_IT_ES_JP」と書かれたリンクからPDFデータでダウンロードできる。
→Yaber製品のマニュアルページ
続いて実機のレビューに入っていきたい。
Yaber T2の実機レビュー
Yaber T2のパッケージと付属品
Yaber T2のパッケージは下の写真の通り。据え置き機並みの光学系を搭載するプロジェクターということもあって、モバイルプロジェクターとしては、それなりに大きなパッケージだ。<▲写真:「Yaber T2」パッケージ> |
内容物は、Yaber T2本体(レンズカバー付き)、電源ケーブル、リモコン、リモコン用の単4形乾電池、HDMIケーブル、クリーニングクロス、マニュアル類。
<▲写真:「Yaber T2」の付属品> |
レンズカバーは嵌め込み式のキャップだ。
<▲写真:「Yaber T2」本体とレンズカバーのキャップ> |
Yaber T2は外部に電源アダプタを必要としない設計なので、電源ケーブルはシンプルでケーブルのみ。しかも、電源ケーブルのカラーもYaber T2の本体デザインに合わせられている。正直、デザインにここまで細かく気を配っていることに驚いた。他のメーカーでも電源ケーブルの色にまでこだわった製品はほとんど見かけないからだ。
<▲写真:電源ケーブルも本体カラーに合わせられている。また外部アダプターはないので使いやすい> |
リモコンは光学式。Yaber T2本体にはリモコン信号の受光部が前面と背面にそれぞれ用意されているので、どちら側からでも操作できる。
<▲写真:「Yaber T2」のリモコン。光学式> |
リモコンには電源オン/オフ、十字キーや決定ボタンの他、ホーム、戻る、メニュー、音量調整ボタン、そしてマニュアルフォーカス調整ボタン、オートフォーカスボタンが用意されている。
マニュアルは6カ国語対応で、もちろん日本語のページも用意されている。しかし、付属のマニュアルは「クイックスタートガイド」であり、詳細までは載っていない。詳しい説明を確認したい場合には、前述したように、Yaberのウェブサイトで公開されて詳細マニュアルのPDFをダウンロードする必要がある。購入者はダウンロードしておく方がいいと思う。
→Yaber T2の詳細マニュアル
Yaber T2本体デザインと入出力端子
Yaber T2の本体デザインはとても凝ったもので、オシャレでインテリア感溢れる。Yaberのプロジェクターは「Yaber K2s」以降、デザインのグレードがワンランクもツーランクも上がったと思う。<▲写真:「Yaber T2」本体> |
本体の上部側面にはファブリック素材が貼り付けられている。
吸排気口は本体前面と背面の下半分に設けられている。吸気は前面、排気は背面から行う。
<▲写真:フォーカス用のセンサー類は前面下部に配置。その上は吸気口> |
リモコン信号の受光部やオートフォーカスなどに利用するセンサー類は前面の吸気口の下に配置されている。また、先ほど書いたように、リモコン受光部は背面にも用意されている。そのため、視聴時にYaber T2本体が視聴者の前にあっても後ろにあってもリモコンから問題なく操作できるようになっている。
<▲写真:天面には「Yaber」ロゴ、電源ボタン、NFCエリアがある。電源ボタン周囲にはリング状のLEDインジケーターがある> |
本体に搭載されている操作系は電源ボタンのみ。電源ボタンは天面の中央に用意されていて、内蔵バッテリーの状態を示すリング状のLEDも搭載されている。また、近くにはNFCのマークが描かれ、スマートフォンとNFCでの通信ができるようになっている。
<▲写真:ハンドルは中央にシリコン素材のクッションがあり、持ちやすい> |
ハンドルは中央がシリコン素材となっていて持ちやすい。このハンドルは、360度回転できるので、下側に回してスタンド代わりにすることが可能だ。最大で前面を15度ほど持ち上げることができる。
<▲写真:ハンドルを下側に回してスタンドとして使用している所> |
入出力端子は背面上部にまとめられているが、電源ケーブルの接続端子のみ側面の下部にある。背面の入出力端子は左から順にUSB 2.0、HDMI(HDMI 1.4。ARC対応、給電対応)、3.5mmオーディオ出力端子、有線LAN。
<▲写真:電源ケーブルの差し込み口は側面下、映像入力端子などは背面上部に設けられている> |
<▲写真:背面のIOポートエリアには、USB、HDMI入力、オーディオ出力、有線LANポートがある> |
HDMI入力端子は、映像入力だけでなく、前述したように別売りオプション「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」への給電もできるようになっている。今回の実機レビューでは「Yaber PROJECTOR T2 TV HDMIアダプター」は試していない。また、市販のHDMIドングルへのHDMI給電については、ドングル側も対応している必要があるので、恐らく大半の製品がダメだと思う。しかし、HDMI給電に対応するドングルであれば、他社製品でも駆動するかもしれない。
<▲写真:底面には四隅のゴム足に加えて、後部側に横長のゴム足も別途用意されている> |
底面にはゴム足が5つと、中央にM5 x 5mmのネジ穴が設けられている。ゴム足は角の4つと、後部側の辺に沿った長いものが1つ用意されている。ハンドルをスタンド代わりとして角度をつけた場合、後部側が接地することになるためだろう。低価格品の場合にはこのような部分がおざなりになりがちだが、Yaber T2は本当に細かい部分まで良く設計されていると思う。
バッテリーと駆動時間
Yaber T2をバッテリーのみで駆動させた場合の連続駆動時間はカタログスペックでは約2時間半ほどとされている。実際に使った感じでは、概ねカタログ通りの印象だ。明るさを落とすなど省エネ駆動を目指せば、もう少し伸びるかもしれないが、逆に言えば、あまり気を使わなくとも大抵の映画1本は見終えることができると思う。
また、内蔵バッテリーの残量を0%から100%にするまでに必要な充電時間は、Yaber T2の電源が入った状態では約5時間半、電源がオフの状態では約3時間半だ。それなりに長いと感じるかもしれないが、一般的なモバイルプロジェクターと比べて光学系のサイズが据え置き機に近く、消費電力が高いので、かなりの大容量バッテリーを積んでいることが伺える。そのため充電時間が掛かるのは仕方ないだろう。このことからも、Yaber T2がモバイルプロジェクターとはいえ、据え置き型プロジェクターに近い性能を持たせた製品だということが伝わると思う。
基本的には、普段から家庭用コンセントに繋いで使用していればいいと思う。それなら常に100%に近い残量を維持できるので、いざ持ち出す時に慌てて充電し直す必要はない。
なお、バッテリー駆動時に残量が減ってきた場合、20%の時点でアラートメッセージが表示されるようになっているので、視聴中に前触れなく電源がオフになるようなことはないし、オフになるときにも60秒のカウントダウン表示がある。
スタンドと天吊り
Yaber T2を天吊りで使うユーザーは少ないとは思うが、一応天吊りにも対応している。ただし4点固定はできない。据え置き型プロジェクターの場合、四隅のゴム足を取り外すと、ネジ穴が設けられていたりするが、Yaber T2の場合は違う。底面中央のスタンド用のネジ穴しかないので、1点固定になる。しかし、一応、天吊りは可能だ。<▲写真:底面の中央にはスタンド固定用のネジが設けられている> |
また、少々怖いが、アウトドアでの使用時などにロープやポールなどにハンドルを通して吊り下げるということも、できなくはないかもしれない。ただ、そんな使い方は不安定だと思うので、万一落としても責任はとれない。
普通に一脚や三脚などで固定する場合も底面中央のネジ穴1つでの固定となるので注意して欲しい。重さが約2.5kgあるのと、高さが約29cmなので、カメラ用の一脚や三脚を使う場合には耐荷重に多少余裕のある製品を使った方がいいと思う。
投写距離とスクリーンサイズ
Yaber T2の投写距離とスクリーンサイズの関係は下記の通り。- 0.83m:30インチ
- 1.66m:60インチ
- 2.21m:80インチ
- 3.31m:120インチ
- 4.15m:150インチ
一般的な据え置きプロジェクターと比べると焦点距離はやや短め。そのため、視聴者の前方にYaber T2を設置して投影するのが基本になると思う。すなわち、プロジェクターの後ろから視聴する形だ。
プロジェクターの真後ろから視聴する場合には、排気をモロに受けるという懸念があるが、排気熱を感じられるのはせいぜい10cm位なので、問題にはならないと思う。
下に掲載した写真が、実際の投影例で、Yaber T2の本体と合わせて写している。一枚目の写真は、実際には部屋の照明がある程度明るい状態。写真ではかなり暗く見えると思うが、実際には普通に書類が読めるくらいの明るさだ。それでも一応、投影画像を十分視聴できる。しかし、2枚目の写真から分かるように、照明を落とせば、よりクッキリ、ハッキリと明暗のついた映像になるので、できれば照明は落とした方がいい。
<▲写真:「Yaber T2」での投影例。写真では暗くなっているが、部屋の照明は実際にはある程度明るい状態> |
<▲写真:部屋の照明を落とした状態> |
フォーカス、台形補正、障害物回避、デジタルズームなどの各種調整機能
オートフォーカス、オートキーストーン(台形補正)は、購入直後の標準設定状態でもオンになっているので、すぐに利用できる。プロジェクターを移動させたり、角度を変えたりすると、自動的にオートフォーカスとオートキーストーンが働く。<▲写真:オートフォーカス、オートーキーストーン実行時にはこのような画像が投影される> |
それらの調整機能の精度はかなり良い。2カ月ほどの期間、Yaber T2を使ってきたが、基本的にオートフォーカスとオートキーストーンの精度に文句はない。オート障害物回避機能も含めて、Yaber T2のオートフィッティング機能は、Yaberの過去モデルよりも進化していると思う。オートフォーカスとオートキーストーンの調整にかかる時間も約2~3秒と、十分に速い。
なお、オートキーストーンでの台形補正が可能なのは、上下左右それぞれ最大で15度までなので、その点には注意して欲しい。
また、オート障害物回避機能については、標準設定ではオフになっているので、使いたい場合には「設定」からオンにする必要がある。設定内の「Projection」→「Smart Obstacle Avoidance」という項目を「オン」にすればいい。
<▲写真:オートフィッティング系の各機能の設定画面> |
この機能は名称を見ても実態を想像しにくいと思うので、詳しく説明したい。Yaber T2に搭載されたオート障害物回避機能は、プロジェクターとスクリーン間に何らかの障害物がある、もしくはスクリーン上、または壁に段差があったり、投写映像枠内にそれが入り込む場合に修正を行う。単純にスクリーンの枠からはみ出てしまった場合も修正してくれる。下に掲載したのがその例で、スクリーンの下枠からはみ出るように設置した。
<▲写真:このように、わざとスクリーンの下側にはみ出るように設定した場合> |
この場合、Yaber T2の調整では、スクリーンの下枠からはみ出ないように、その内側の少し上に投影領域の下辺が収まるようにする。
<▲写真:オートフォーカス、オートキーストーン、その後、フィッティングのチェックが自動的に行われる> |
<▲写真:オートフィッティングが自動で働いた結果、このようにスクリーンの下側の枠からはみ出ないよう、自動的に縮小され、台形補正とフォーカス調整も行われる。数秒で完了する> |
上の写真が、調整後のものだが、スクリーン内に収まっていることが分かると思う。
もう一つ例を挙げたい。これは、ハンドルを使って、Yaber T2の前部を持ち上げた場合だ。当然、そのままでは投影領域が台形になってしまうので、台形補正が必要だ。
<▲写真:こちらは「Yaber T2」本体を傾けて、わざと台形になるように設置した場合> |
<▲写真:やはり上手い具合に台形補正される> |
オートフィッティング系の機能は十分優秀なので、基本的に設定変更してオンにすることを勧める。
本記事の冒頭で、Yaber T2の大きな魅力はサウンドだと書いたと思うが、実は、このオートフィッティング機能も大きい。
なお、マニュアル操作でデジタルズーミングを行うこともできる。
デジタルズーミング機能では最小で50%にまで縮小できる。部屋のレイアウトなど、設置状態によってはプロジェクターの場所がある程度限定されてしまうと思う。そのような時には、デジタルズーム機能が助けになると思う。
<▲写真:デジタルズーム機能の例。これは100%の状態> |
<▲写真:デジタルズームの例。これは50%の状態> |
いずれにしても、Yaber T2のフィッティング系の機能は文句無しだ。
明るさ
続いて、Yaber T2の明るさ、画質調整機能などを見ていきたい。最初に明るさだが、スペック上の最大輝度は450ANSIルーメン。これは、ある程度照明がついた状態でも十分視聴に耐えられる。一方で、できれば照明を落とすべき、というレベルでもある。こればかりは据え置き型と比べて、若干落ちる部分だと思う。また、明るさ自体は「設定」→「Image Quality」の「Brightness Setting」において100段階で調整できる。「0」でも真っ暗にはならず、視聴可能レベルの明るさはある。とはいえ「30」以上が実用レベルだと思う。
下に掲載した写真が、「Brightness」を30にした状態で、部屋の照明がある程度明るいときと、暗くした場合だ。暗くすれば、濃淡がクッキリと描写される綺麗な映像になり、明るい状態でも視聴可能ではあるものの、暗い時と比べると、薄くなっていることが分かると思う。
<▲写真:「Brightness」を30にした状態、かつ、部屋の照明がある程度明るい状態> |
<▲写真:「Brightness」が30の状態で、部屋の照明を落とした状態。照明を落とすと30でも十分視聴できる> |
部屋の照明を落とせば、「Brightness」が30でも十分だが、もちろん設定値を100にすれば、より完璧だ。
<▲写真:「Brightness」を100の状態で、部屋の照明がある程度明るい状態> |
<▲写真:「Brightness」が100で、部屋の照明を落とした状態。基本的にはやはりこの状態が最も綺麗に表示される> |
先ほども述べたように、据え置き機と比べると若干物足りないかもしれないが、モバイルプロジェクターとしては非常に明るく、映像も綺麗だと思う。Yaber T2は、据え置き機と超小型モバイルプロジェクターの中間的位置づけの製品だと思うが、十分据え置き機に近いレベルに達していると思う。
画質、画質の調整機能など
Yaber T2はモバイルプロジェクターとはいえ、結構綺麗な投写性能を持っている。<▲写真:投影例> |
もちろん据え置き機の中位グレード以上の製品と比べると、特に色の表現能力に差はある。しかし、Yaber T2の実売価格はセール時などでは3万円台だし、モバイルプロジェクターだという事も考慮すると優秀。それに据え置き機と違い、バッテリー駆動ができるという利点もある。
また、画質はマニュアル調整することで、ある程度補える。調整できるのはイメージモードと色温度。
<▲写真:「User Mode」を選ぶと、さらに細かな調整ができる> |
イメージモードと色温度設定は「設定」→「Image Quality」内に項目が設けられている。イメージモードでは「User Mode」「Standard Mode」「Vivid Mode」「Natural Mode」「Dynamic Mode」「Sport Mode」から選択する。「User Mode」を選ぶと、「Contrast」「Brightness」「Sharpness」「Color」の4項目を個別調整できる。それ以外のモードは、それぞれに合わせたセットが適用される。
一方、色温度では「Cool」「Normal」「Warm」の3タイプから選択する。
<▲写真:色温度の設定画面> |
これらの設定は、標準ではイメージモードが「Standard Mode」、色温度は「Cool」になっているが、好みに応じて必ず調整した方がいいと思う。
前述したように、Yaber T2は、より高額な据え置き機と比べると諧調表現がやや劣り、標準設定だと画質がやや暗めで、色の濃い部分が潰れてしまう。色温度設定もCoolだと、明らかに赤などの発色が悪い。しかし、設定調整を行うことで、ある程度改善され、見やすくなる。
まずイメージモードを「User Mode」に変更し、少なくとも「Brightness」を70~80程度、もしくは100まで上げる方がいい。これによって濃い部分の潰れが解消され、本来のグラデーションが復活する。黒系についても「Standard Mode」だと濃いグレーはほとんど黒になってしまうのだが、「Brightness」設定を少し引き上げれば、ちゃんとグレーになる。一方で、これらの調整によって白飛びは解消できないが、一枚の絵として全体を見渡した時に見やすいのは調整後の映像だと思う。
また、色温度設定を「Cool」から「Normal」もしくは「Warm」にすれば若干ながら赤味が付き、自然な色合いに近づく。なお、このイメージモード内の「Brightness」と、「Image Quality」内の「Brightest Setting」の設定は異なるものなので注意して欲しい。後者は投写全体での明るさ設定だ。
<▲写真:投影例> |
調整を行ったとしても、前述したように、根本的な画質、鮮やかさは据え置き機の「Yaber K2s」と比べると劣っているが、並べて直接比較しないことには気にならない人が大半だと思う。実際、超小型のモバイルプロジェクターなどと比べると、よほどYaber T2の方が画質が良い。
サウンド、Bluetoothスピーカーモード
Yaber T2最大の魅力だと思うのが、サウンドだ。搭載されているスピーカーはJBL製のステレオスピーカーで、左右それぞれ最大8W出力のもので、「Dolby Audio」にも対応する。<▲写真:スピーカー口は側面の後部寄りの場所に設けられている。ファブリック素材の下に、うっすらと見えると思う> |
<▲写真:こちらは逆側のスピーカー口。左右対称に設けられている> |
音については写真で伝えられないのがもどかしいが、プロジェクターのオマケレベルは超えており、Bluetoothスピーカーとしても十分に活用できる。もちろん、リアル5.1ch、7.1chなどのサラウンドスピーカー構成+AVアンプと比べると全く別だが、ドルビー対応のステレオスピーカーとしては非常に優秀だと思う。特にサラウンド調整がとても優れている。
Yaber T2の音の出方、感じ方は一種独特で、視聴時に音がそこから出ているという感じがしにくい。どちらかというと前方のスクリーンから直接音が出ているような印象を受ける。スクリーンの少し前面から音場が広がり、視聴者の辺りまで届くようなサラウンド感で、とても心地いい。
近年のテレビは内蔵スピーカーの質が落ち、スカスカの音の製品も多いので、サウンドバーを購入する方も多いと思う。サウンドバーも品質はピンキリだが、Yaber T2はサウンドバーに近いレベルのサウンドクオリティを持っていると思う。
大体の低価格プロジェクターはオマケのようなスピーカーしか搭載していないが、Yaber T2のスピーカーはそうではないので、没入感高く映像に集中し続けられる。かなり良いので、別途スピーカーを用意したくない人には特にオススメだ。
ちなみに、下に掲載したのは「Amazon Fire TV Stick 4K Max」での「オーディオ/ビデオの診断」結果の画面例。
<▲写真:「Amazon Fire TV Stick 4K Max」での「オーディオ/ビデオの診断」結果の画面> |
サンプル映像を視聴してみても、サラウンド感の良いサウンドは気持ちいい。
<▲写真:2chスピーカーだが、十分なサラウンド感が出た、迫力あるサウンドを楽しめる> |
次に、Bluetoothスピーカーモードにも触れておきたい。Bluetoothスピーカーモードでは、スマートフォンなどから音をYaber T2に飛ばすことができる。使い方は簡単で、Yaber T2のBluetoothスピーカーモードに切り替え、スマホ側でもBluetoothでペアリング/接続すればいいだけだ。ただし、この時にも、一応映像の投影は行われる。欲を言えば、スマホ向けアプリなどを用意して、そちらで全てコントロールできるのであれば、投影機能はオフにしたって構わないと思うが、そこまでの設計にはなっていない。とはいえ、Bluetoothスピーカーモード起動後にレンズキャップを一旦つけてしまっても構わないので、長時間音楽を聴くときにはキャップを使えばいいだろう。
<▲写真:Bluetoothスピーカーモードの画面> |
騒音レベル、熱
Yaber T2の騒音レベルは本体から約30cmの位置で測定すると約41dB、約1mで37dB。超小型モバイルプロジェクターの場合は、ほとんど音がしない製品もあるので、それと比べると冷却ファンの音はするが、据え置き機の一般的モデルと比べると少し静かだと思う。視聴中に気になるレベルではない。<▲写真:排気口は背面の下側に設けられている> |
また、大型の光学系を搭載しているので熱がそれなりに発生しそうだが、あまり熱くならない。排気はYaber T2本体の背面から行われるが、せいぜい生ぬるい程度で、10cm以上離れれば、熱もほとんど感じない。
総括
Yaber T2は、モバイルプロジェクターながら据え置き機に近い性能を持つ上、セール時や割引クーポン配布時などで値段もかなり下がるので、魅力的な製品だと思う。特に、スピーカーの性能は素晴らしく、それについては据え置き機と比べても十分に優れている。投影画像のクオリティは、ハイエンドの据え置き機などと比べると差を感じるが、並べて比べない限り、十分満足できる品質に達している。近年、低価格帯のプロジェクターの性能の底上げを感じてきているが、それはYaber T2でも同様だった。
<▲写真:「Yaber T2」> |
ポケットや小さなカバンに入るサイズではないが、モバイルプロジェクターとしてバッテリー駆動が可能かつ、投影性能に過度な妥協をしたくない場合には、Yaber T2は、有力な選択肢に入ってくると思う。また、細かな点にまで気を配ったデザインも魅力の一つだろう。