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新プラン「Duolingo Max」のレビュー。機能/特典、料金、リリーとのAI会話、スマート解説、ロールプレイについて(更新)

語学学習アプリ「Duolingo」(デュオリンゴ)において9月25日に新しい有料プラン「Duolingo Max」が追加され、それに伴いAIを活用した新機能が3つ導入されました。「リリーとビデオ通話」「スマート解説」「ロールプレイ」です。これらの機能は「ChatGPT」で知られるOpenAI社の「GPT-4/4o」を活用したもので、Duolingoに新しい魅力をもたらしてくれます。

<▲画像:「Duolingo Max」>

今回、短時間とはいえ、実際にDuolingo Maxを試したので、簡単にレポートします。


Duolingo Maxのレビュー

Duolingo Maxの料金

まず、Duolingo Maxには年払いの「個人プラン」と「ファミリープラン」、個人プランの月払いタイプとなる「月額プラン」が用意されていて、その料金(税込、以下同)は下記の通りです。

  • 個人プラン(年払い):年額22,800円
  • 月額プラン(月払い):月額4,490円
  • ファミリープラン(年払い):年額30,000円

個人プランの年払いは22,800円で、ひと月換算では1,900円のコストになります。一度に22,800円を支払うことを避けたい場合には月額プランとなりますが、月々のコストは2倍以上の月額4,490円なので、少々考え物です。ファミリープランはひと月あたり2,500円で、2~6人まで対象です。

<▲画像:「Duolingo Max」の料金プラン>

従来からの有料プランである「Super Duolingo」と同様、Duolingo Maxにも2週間の無料トライアルが提供されています。期間中に解約すれば、コストを掛けずにDuolingo Maxを試すことができます。ただし、過去にSuper Duolingoの無料トライアルを試したことがある方がDuolingo Maxを試せるのかどうかまでは分かりません。なお、Super Duolingoの料金は個人プランが年額9,900円、月額プランが1,990円、ファミリープランが年額13,200円です。個人プランの月当たりのコストだと825円です。

また、Super DuolingoのユーザーがDuolingo Maxにアップグレードした場合、Super Duolingoの残り期間の料金は日割り計算され、返金されるということです。そのためDuolingo MaxとSuper Duolingoの料金が重複して課金される心配はありません。


Duolingo Maxの内容。Super Duolingoとの違い

それではDuolingo Maxの内容を見ていきましょう。Duolingo MaxはSuper Duolingoの内容を全てカバーした上で「リリーとビデオ通話」、「スマート解説」、「ロールプレイ」という新機能が利用できるようになっています。

<▲画像:「Super Duolingo」と「Duolingo Max」の違い>

すなわち、Duolingo MaxとSuper Duolingoの違いは「リリーとビデオ通話」「スマート解説」「ロールプレイ」という3つのAI活用機能です。この3つの機能を利用したいのであればDuolingo Maxを選び、不要ならSuper Duolingoでいいしょう。

<▲画像:「Duolingo Max」の特徴>

また、3つの新機能は、2024年9月時点では、英語など一部のコースにしか対応していないので注意してください。


Duolingo Maxの対応機種

Duolingo Maxは2024年9月25日時点では、iOS版のアプリにしか対応していません。Android版アプリからDuolingo Maxに加入することはできません。しかし、iOS版アプリでDuolingo Maxに加入したユーザーがAndroid版アプリにログインしてDuolingoを利用する際にはDuolingo Maxの一部の機能を利用できます(※10月10日追記)。当初はメニュー画面表示のみでしたが、10月9日よりAndroid版アプリでも「ロールプレイ」と「スマート解説」を利用できるようになりました。ただし、不具合もしくは開発途中のためかと思いますが、「ロールプレイ」における会話の返答時にスピーキングでの入力はできず、テキスト入力のみとなっています。また、「リリーとビデオ通話」はそもそもメニュー表記すらありません。そもそも、Duolingo公式でも10月9日時点では日本でのAndroid対応は発表されていません。公式にはAndroid版のDuolingo Maxは未リリースだと捉えるべき状態でしょう。Android版、Web版(ウェブ版、ブラウザ版)からDuolingo Maxに加入すること自体が10月9日時点では不可能です。

とはいえ、すでにDuolingo Maxの一部機能は使えていますし、準備が進んでいることは伺えます。Android版アプリでの完全対応も近いように見えます。ウェブ版もいずれ対応する予定だとされています。


スマート解説

「スマート解説」は、AIを活用し、各レッスンの問題に解説を自動生成してくれる機能です。Duolingoのレッスンは通常であれば正誤を問わず解説がありませんが、時には文法的な解説が欲しいこともあると思います。そうしたニーズに応えるのが「スマート解説」です。

<▲画像:「スマート解説」の表示例>

特に答えを間違えたときには役立つでしょう。自動生成された解説とはいえ、意外とキチンとしており、さすがGPT-4という感じです。個人的には文法は文法で並行して別の教材で学ぶべきだと思いますが、「スマート解説」があれば、意外とDuolingoだけでも文法をある程度学べてしまえるかもしれない、と感じます。Duolingo Maxの機能として最もPRされているのは「リリーとビデオ通話」だと思いますが、個人的には「スマート解説」こそが最も魅力的な機能ではないかと思います。


ロールプレイ

「ロールプレイ」は「日常生活」「旅行」などの大分類の下に「時間通りに空港に到着する」「ルームサービスを注文する」など細かなシチュエーションが用意され、想定された会話を行うことができる、というものです。同種の機能は他のAI英会話アプリにもよく見られると思いますが、同じような感じです。シチュエーション数は多く、幅広いシーンをカバーしています。

<▲画像:「ロールプレイ」のシチュエーションの大分類一覧>

そもそもDuolingoの最大の魅力はゲーム感覚で楽しく手軽に言語を学べることであり、通常のレッスンは基本的にサクサク進みますし、進めること自体にゲーム的な中毒性があります。その一方で、腰を落ち着けてスピーキングを重点的に学ぶようなコンテンツはありませんでした。その対処の一つが「ロールプレイ」で、シチュエーション別の会話のキャッチボールを自分で発話することで学んでいけます。

しかし、前述したように、AI英会話アプリではよく見かける機能であり、この「ロールプレイ」のためだけにDuoling Maxに加入する、ということにはなりにくいと思います。

<▲画像:「ロールプレイ」の例>

上図の例のように、一通りの会話が終了すると、それを踏まえた解説も表示されるので、結構しっかりと学ぶことができます。解説の有り無しで習熟度が変わりますので、これはいいですね。


リリーとビデオ通話

Duolingoの人気キャラクターの一人であるリリーとビデオ通話できる機能で、Duolingo Maxの新機能の中では恐らく最もPRされている機能だと思います。あたかも友人とビデオ通話しているかのようなデザインになっていて、リリーは会話中に口を動かしたり、表情を変えたりと、アニメーションします。

<▲画像:「リリーとビデオ通話」の利用例>

また、「ロールプレイ」機能と違い、会話内容が文字として表示されることはありません(※追記。会話終了後に復習、確認用に会話ログが表示されるようになりました)。そのため、本当にビデオ通話している感覚になります。吹き出しに会話内容が文字として表示されると、目で見て読んでしまいますよね。本当に会話の力を磨くには、むしろ耳と口だけでトレーニングする方が瞬発力が養われて良いと思います。解説が欲しいとか、コーチングして欲しいときには「ロールプレイ」を利用するなど、使い分ければいいわけですしね。なお、ログではリリーの会話音声を聞き直すことはできます。聞き取れていなかった内容を確認できるので、これはこれで便利です。

ただ、1回のセッション時間が短く、会話のキャッチボールを数回するとリリーは会話を止めて通話を切ってしまいます。本当に友人と電話で何気ない会話をする場合には、次から次へと話題を変えてグダグダと喋り続けることもあると思いますが、リリーとの通話では、短いキャッチボールでバッサリと打ち切ってきます……。

とはいえ、そもそも、10分もグダグダと自由に会話をできるのであれば、すでにペラペラな訳です。実際にはそうではないから一生懸命外国語を学んでいる訳で「リリーとビデオ通話」の1回あたりの会話時間は適切だと思います。

実は筆者は初稿では、会話時間が短すぎて、この機能を微妙なものだと判断しました。ところが、その後、何度も使ってみると、絶妙な設計になっていることに気付きました。

「リリーとビデオ通話」はDuolingo Maxのメニュー内からいつでも通話できるだけでなく、通常のレッスン・ユニットにも組み込まれています。iOS版のDuolingoアプリでDuolingo Maxに加入したユーザーの場合、過去のセクションも含めて、各ユニット内にリリーとのビデオ通話レッスンが配置されます。

リリーはユーザーのレベルに応じた話をしてくれるので、学び始めの段階だろうと、こちらも何とか返答して会話のキャッチボールを行うことができます。従来であれば、各セクションのレッスンを進めながら、このように会話のトレーニングを行う機会はありませんでした。勿論、多少のスピーキングはありますが、リリーとの通話とは違います。そのため、レベルが低い段階から会話力もトレーニングしていけるので、非常に優れたコンテンツだと思います。そして、各ユニット内に配置されたレッスンからリリーとの会話を行う場合には、そのユニットの内容に応じた話をしてくれます。

また、前述したようにDuolingo Maxのメニュー内からいつでも通話することもできます。

リリーはユーザーとの会話内容を記憶していくので、会話の内容も徐々にユーザーに沿ったものになっていくようです。そうなると、本当の友人との会話に近くなるかもしれません。Duolingoのブログによれば、リリーとの通話の1セッションの時間は1~3分くらいとされています。

なお、リリーとの会話は、完全なフリートークという感じではなく、リリーの質問から始まる形式です。完全なフリートークを延々とできると想像していると実際には違うので、その点にはご注意ください。しかし、質問を無視した異なる話題を唐突に返してもリリーはそれに対する返答を一応してくれます。

おそらく将来的には今よりも賢くなるでしょうし、その時にはフリートークの精度は人間並みかもしれません。期待したいですね。


Duoling Maxってどうなの?

料金が約2倍なので、必ずしもDuolingo MaxがSuper Duolingoよりも良いと言い切れる訳ではないと思います。「スマート解説」と「リリーとビデオ通話」をどうしても利用したい、というのでなければ、Super Duolingoで十分な気がします。しかし、予算に余裕があるのなら、勿論Duolingo Maxを勧めます。また、ファミリープランを利用できる方については、人数にもよりますがDuolingo Maxの方が良いでしょう。「スマート解説」はあった方がいいし、「リリーとビデオ通話」もレッスンを進めながら少しずつスピーキング力、リスニング力を強化していけますし、単純に会話自体も楽しめます。

ですが、スピーキング強化、アウトプット練習のためだけにDuoling Maxに加入するのであれば、個人的にはスピーキング重視のアプリ「Speak」との併用も良いと思います。SpeakはDuolingoのように気軽に遊び感覚で学ぶ、という雰囲気ではなく、腰を落ち着けての勉強、という感じですが、Duolingoには無い特徴として、しっかりとした解説・コーチング、発音練習(間違い指摘含む)、そしてスピーキングの豊富なコンテンツがあり、月々のコストも千円くらいです。となると、Super Duolingo+Speakのコストと、Duolingo Maxのコストが同程度となります。そのため、個人的には、この組み合わせも検討することをお勧めします。

一方で「リリーとビデオ通話」とSpeakのAI会話コンテンツは、スピーキング力を強化するという目的は同じでも、その中身は全く別物です。「実際に会話をしている感」は「リリーとビデオ通話」の方がありますし、ビデオ通話風のデザインは非常に良く考えられたものだと思います。この会話感は「リリーとビデオ通話」ならではです。一方でリリーはユーザーの英語の間違いを指摘したりはしません。訂正して貰って自分のスピーキングの質を高めたいなら「ロールプレイ」やSpeakアプリの方が良いでしょう。このように特徴が異なるので、コストを無視できるなら、どちらも取り組みたい所です。ただ、Duolingoに一本化したいという人も大勢いると思います。私も「リリーとビデオ通話」でのセッション終了後に、振り返っての訂正やアドバイスを貰えるようになるのであれば、Duolingoへの一本化も可能になると思いますし、そうなると他社のAI英会話アプリにとっては更なる脅威でしょう。

結局、一言で結論付けることはできませんが、「スマート解説」と「リリーとビデオ通話」に大きな価値を見出せるのであればDuolingo Maxを、そうでなければSuper Duolingoを選択するか、無料利用という感じになると思います。「ロールプレイ」は、それだけのためにDuolingo Maxを選ぶ、というほどの動機にはならないと思います。可能なら無料トライアルで実際にDuolingo Maxを試すのが一番です。私自身はSpeakにも加入していることもあり、ひとまずSuper Duolingoで様子を見て、どこかのタイミングでDuolingo Maxにするかもしれません。

なお、話は逸れますが、今後Duolingoには「アドベンチャー」という新しいコンテンツが投入されるようです(※追記:アドベンチャーがリリースされました。詳細はこちらの記事を参照)。個人的には、この「アドベンチャー」こそDuolingoらしい魅力溢れるコンテンツだと思うので、とても楽しみにしています。各レッスン内に出てくるようなので、早期導入を期待します。Duolingoって、勉強と感じさせないほどのゲーム的な中毒性の高さがとても良いですよね。そしてしつこいほど同じ内容を繰り返し学ばせることで、徹底的に身に着けさせる。ホントに良くできた言語学習アプリだと思いますし、革命的だとさえ言えると思います。

<▲画像:「アドベンチャー」コンテンツのイメージ>


それにしても、AIの活用で英語学習環境は一変しましたね。英会話についてはとても学びやすい状況になったので、今後もDuolingoはじめ、AI学習アプリに期待したいですね。

※加筆修正:初稿では「リリーとビデオ通話」を微妙なものに感じたと述べていましたが、後になって考えを変えました。それに合わせて加筆修正しています。ただ、会話終了後に単に振り返れるだけでなく、コーチングもあればな、と思わなくもないです。というのも「ロールプレイ」ではしっかりと会話後にレビューが行われ、自分の発言に対するコメントが表示されるんですよね。「こういう言い方もあるよ」とか「こっちの方がいいよ」とか。同じ機能があれば完璧な気がするんですが……。

※加筆修正2:10月9日より、Android版アプリでもDuolingo Maxのうち「ロールプレイ」と「スマート解説」の利用が可能になりました。それに合わせて記事の加筆修正を行いました。ただし、Duolingo Maxへの加入自体は、依然としてAndroid版アプリやWeb版からではできません。加入手続き自体はiOS版(iPhone/iPad)から行う必要があります。また、Android版アプリでの「ロールプレイ」機能にはまだ不具合があるように見えます。なぜか音声入力ボタンが表示されませんので、テキスト入力で返答を打ち込む必要があります。iOS版ではスピーキングで入力できます。とはいえ、記事にも書きましたが、Android版へのDuoliongo Maxの完全対応は近いように思います。もう少し待ちましょう。

情報元、参考リンク
Duolingo公式サイト

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