<▲画像:「TicWatch Pro 5 Enduro」(※上層のFSTN液晶は非表示(クリア)で有機ELディスプレイが表示されている状態)> |
TicWatch Pro 5 Enduroは、昨年5月発売のハイエンドスマートウォッチ「TicWatch Pro 5」のタフネス設計を強化し、バッテリーの持ちを伸ばし、回転式クラウンボタンを再設計し、他社フィットネスアプリとのデータ同期に対応するなど、様々な点で進化を果たした新ハイエンドスマートウォッチ。
TicWatch Pro 5と共通する特徴もあるので、TicWatch Pro 5の実機レビュー記事も併せて参照して欲しい。また、TicWatch Pro 5 Enduroも後日、実機レビュー記事を用意する予定なので、関心がある方はお待ち頂ければ幸いだ(→TicWatch Pro 5 Enduroの実機レビュー記事を公開しました)。
<▲画像:「TicWatch Pro 5 Enduro」の概要> |
さて、それではTicWatch Pro 5 Enduroの概要を見ていきたいが、TicWatchシリーズをご存知ない方に最初に最も重要な2つの特徴を説明すると、TicWatchはOS/プラットフォームがWear OS by Googleなので、多種多様なスマートウォッチ向けアプリを手軽にインストールして機能を追加できることが特徴の一つ。
もう一つはTicWatchならではの特徴で、最も注目すべきポイント。
それは独自の2層ディスプレイを装備していること。
一般的なスマートウォッチのディスプレイは1層だが、TicWatch Pro 5 Enduroなどには有機ELディスプレイと超低消費電力ディスプレイのFSTN液晶が重ねて搭載されている。上層がFSTN液晶で、下層が有機EL。フル機能を利用する場合には有機EL側が点灯/表示され、その時には上層のFSTN液晶は非表示で透明になり、スマートウォッチを操作しないときには有機ELが非表示となり、FSTN液晶に時刻や歩数などの基本的情報だけを表示する。
この構造によってTicWatchシリーズは省電力性能に優れ、Wear OS by Google搭載スマートウォッチの多機能さを維持しながらバッテリーの駆動時間を伸ばすことに成功している。
これが他のWear OS by Google搭載スマートウォッチとの最大の差別化ポイントだ。
非常に独特なスタイルのTicWatchシリーズだが、この2層ディスプレイの魅力にハマると、TicWatchシリーズから抜け出せなくなるかもしれない。
なお、この2層ディスプレイは言葉の説明だけでは分かりづらいかもしれない。下に掲載したTicWatch Pro 5の写真が参考になると思う。左上が下層の有機ELディスプレイが表示された状態、右上が上層のFSTN液晶が表示された状態。この写真でのFSTN液晶はバックライトが点灯した状態だが、普段はオフ。
<▲写真:「TicWatch Pro 5」。上段左はメインディスプレイ表示状態、右は上層のサブディスプレイ表示状態> |
そして今回登場のTicWatch Pro 5 Enduroでは、TicWatch Pro 5に引き続き、「Snapdragon W5+ Gen1」による快適な高速パフォーマンスを保ちながら、バッテリー駆動時間を伸ばし、アウトドア対応を強化するなどの進化を遂げている。
バッテリーの搭載容量はTicWatch Pro 5と同じ628mAhのようだが、駆動時間は伸びた。「スマートモード」では最大80時間から最大90時間へと10時間増、「エッセンシャルモード(省電力モード)」では最大45日間も持つという。
<▲画像:「TicWatch Pro 5 Enduro」はバッテリー駆動時間が最大90時間に> |
アウトドア対応強化について最初に挙げられるポイントはタフネス設計。
TicWatch Pro 5も十分ハードな環境/使用にも耐えられるタフネス設計だったが、今回のTicWatch Pro 5 Enduroでは、より強くなっている。
まず、ディスプレイをカバーするガラスが米Corning社の指紋防止加工を施したゴリラガラスから高級腕時計でも使われるサファイアクリスタルガラスに変更されている。サファイアクリスタルガラスは、モース硬度尺度で9と評価され、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ったもの。
ぶつけたり、こすったりするだけでは割れることもなく、アウトドア環境下で使用するスマートウォッチのディスプレイ素材としての耐久性は申し分ないという。さらに、非常にクリアで鮮明にディスプレイを見ることもできるという(※5月24日23時追記:明らかにTicWatch Pro 5より透過度が向上し、クリアな表示になっています)。
<▲画像:「TicWatch Pro 5 Enduro」のディスプレイ、ボタン関係の特徴> |
また、その周囲を保護するベゼル(額縁)部分には側面にアロー加工を施すことで、過酷な環境にも耐えられる強度を実現したという。TicWatch Pro 5のベゼルの側面はツルツルとした表面だった。
さらに側面に用意されたサイドボタンと回転式クラウンボタンも進化している。
まず、サイドボタンはユーザーによって好みの機能が使えるようにカスタマイズ機能が追加された。日常的な利便性が向上しそうだ。
回転式クラウンボタンも再設計され、触感を改善し、よりスムーズに操作でき、誤動作が発生しにくくなったという。そのためにクラウンの形状をドーム型に変更している。
<▲画像:回転式クラウンが再設計された> |
次にソフトウェア面での進化について見たい。
TicWatch Pro 5では100以上のワークアウトモードに対応していたが、TicWatch Pro 5 Enduroでは110以上へと増加。
さらに、他社のフィットネスアプリとのデータ同期に対応した。
「Strava」「Adidas Running」「Nike Run Club」など他社のフィットネスアプリとシームレスに連携し、アプリ自体に表示されるデータとは別に、心拍数、ペース、カロリー、コンパス、標高などのデータをリアルタイムで同期できるようになった。
そしてそれらデータは、上層ディスプレイであるFSTN液晶にも表示される。
<▲画像:110種類以上のワークアウトモードに対応し、他のフィットネスアプリとのデータ同期にも対応> |
そもそもTicWatch Pro 5 ProはWear OS by Google搭載機なので、様々なアプリを後からインストールできるので、多くのサービスを利用している方にとっては便利だ。「YAMAP」「ヤマレコ」も使えるので登山中にも便利に活用できる。
ヘルスケアデータについては心拍数、血中酸素濃度、睡眠記録、ストレスなどの計測・管理が可能。新アプリ「TicHealth」によって総合的な管理ができるようになっている。
睡眠記録に関しては今回新たに「いびき検出」機能が追加されている。
<▲画像:ヘルスケアデータは「TicHealth」アプリで管理。睡眠計測では新たに「いびき検出」にも対応> |
無印のTicWatch Pro 5でも十分というユーザーも多いと思うが、ディスプレイガラスがサファイアクリスタルガラスになった点、回転式クラウンボタンが再設計された点など、進化ポイントを重視する方はTicWatch Pro 5 Enduroの方がいいだろう(※5月24日23時追記:実機が手元に届き、軽く確認しましたが、前述したようにディスプレイのクリアさが明確に向上しています。TicWatch Pro 5では有機ELディスプレイまでの透過度が完璧にクリアという訳ではなく、若干保護フィルムを貼ったような感覚がありましたが、TicWatch Pro 5 Enduroでは、それが解消され、非常にクリアです。個人的にはTicWatch Pro 5とTicWacth Pro 5 Enduroを比較した場合、TicWatch Pro 5を選ぶ理由は無いと思います。明らかにTicWatch Pro 5 Enduroの方が良いです。それでもあえてTicWatch Pro 5を選ぶとすれば価格差が大きい場合です)。
なお、TicWatch Pro 5 Enduroの価格は49,999円(税込、以下同)。
※追記:TicWatch Pro 5 Enduroの実機レビュー記事を公開しました。