<▲画像:楽天モバイルの契約回線数の推移など(※決算資料より)> |
それによれば10月末時点での楽天モバイルの契約回線数は約542万件。
ここでいう楽天モバイルの契約回線数とは通信キャリアサービス(MNO)のもの。同社には自社インフラを用いた通信キャリアサービスを本格提供開始する以前から他社の回線を借り受けた形でのサービス(MVNO)としての楽天モバイルも存在しており、新規受付は終了済みだが既存ユーザーへのサービスは現在も提供中。
そのため契約回線数を語る場合、MNOとMVNOを区別する必要があり、前述した542万件はMNOのもの。
通信キャリアサービスの本格提供開始後に楽天グループ及び楽天モバイルが広く発表している契約回線数は基本的にMNOのもの。
楽天モバイルの契約回線数の推移は、今年の6月末時点で約481万回線、7月が約491万回線、8月が約500万回線、9月が約522万回線で、10月に約542万回線となっている。
これから分かるように8月までと比べて9月、10月の増加ペースは倍増している。9月だけで約22万回線増、10月も約19.2万回線増と好調だ。
また、楽天モバイルの人口カバーエリアも順調に拡大中のようだ。
楽天モバイルのサービスは自社回線とauのパートナー回線を組み合わせて提供されていて、両方を合わせた4Gにおける人口カバー率は99.9%。そして楽天モバイルの自社回線のみでのエリアカバー率も4Gに関して98.8%に達したという。
楽天モバイルの事業は、2020年から2022年までの3年間を「フェーズ1」、2023年を「フェーズ2」と呼び、基地局建設の加速や仮想化技術の確立の他、コスト最適化、ネットワークの改善などに取り組んできた。そして2024年以降はいよいよ事業の黒字化と国内トップの通信キャリアを目指した「フェーズ3」のステップへと進む。
<▲画像:フェーズ3について(※決算資料より)> |
例えば契約回線数は2024年末までに800万回線から1,000万回線を目指しているという。目標値に200万回線の幅があるものの、今のペースを考慮すると800万回線には届きそうだ。しかし、さらなる上積みにはペースを大幅に加速する必要があり、それは楽天エコシステム全体との兼ね合いや携帯電話市場全体の流れにもよるだろう。
しかし、現時点でもプラス要素があり、楽天モバイルはようやく「プラチナバンド」と呼ばれる、障害物などがあっても回折して繋がりやすい周波数帯の電波の割当を受けた。具体的には700MHz帯で、10月23日に認定されている。
今後同社は既存の1.7GHz帯やauパートナー回線では対処しきれないエリアをプラチナバンドで補完していく。
<▲画像:プラチナバンド運用について(※決算資料より)> |
当初はプラチナバンドの運用は2026年3月の予定、すなわち2年以上先の計画だったが、大幅に前倒して2024年早期にもオンエア開始を目指すということも今回明らかにされている。
楽天モバイルはNTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー、ソフトバンクと比べると圧倒的に遅く参入したこともあり、追いつくまでにはどうしても時間が掛かるが、着実に契約回線数が増えており、今後にも期待したいところ。特に電波に関してはプラチナバンドの取得によって都市部、屋内などで徐々に繋がりやすくなるはずであり、2024年以降の早期改善に期待がかかる。