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【レビュー】「Yaber K2s」。低価格ながら便利なAndroid TVプロジェクター。本格視聴に耐えるJBWスピーカー、静音性能も魅力

Yaber Technologies(ヤバーテクノロジーズ)が7月中旬に日本市場で発売したAndroid TVプロジェクター「Yaber K2s」の詳細レビューをお届けしたい。

「Yaber K2s」
<▲写真:「Yaber K2s」>

Yaber K2sに関しては概要記事ショートレビュー記事もある。重複している箇所もあるが、購入を検討している方は参照してみて欲しい。

Yaberは超低価格のエントリーモデルから上位グレードモデルまでラインナップを展開しているが、現時点ではYaber K2sが最上位モデルとなる。その少し前にリリースされた「Yaber Ace K1」(Yaber Ace K1のレビュー記事)も近い性能な上、HDMI入力ポート周りではYaber K2sを上回る点もあるので、実際にYaber製品の上位モデルの中から選択する場合には、Yaber K2sとYaber Ace K1から選ぶことになると思う。

基本的にはAndroid TV搭載という点と静音性、スピーカーの良さを重視する場合にはYaber K2sを、HDMIポートの数を2つと4K信号への対応を望む場合にはYaber Ace K1になると思う。

左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」
<▲写真:左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」>

Yaber K2sの通常価格は54,999円(税込、以下同)だが、12日時点ではAmazonで9,000円オフのクーポンが配布中。さらにGAPSIS読者向けの特別割引コードも併用できる(※期限は11月末日まで)。この割引コードは10%オフなので、クーポンと合わせて14,500円割引となり、40,499円で購入できる。

クーポンと割引コードの使い方はこちらの記事を参照して欲しいが、簡単に説明すると、クーポンはカートに入れる前に価格表記の下のチェックボックスをオンにすればいい。割引コードはカートに入れた後のステップにおいて「お支払い方法」の「ギフトカード、種類別商品券、またはプロモーションコードを追加する」入力欄に「GAPSIS10」と入力して「適用」すればいい。

なお、本記事で試用しているYaber K2sはメーカーからの提供品だ。

下はAmazon.co.jpでの製品リンク。



Yaber K2sの詳細レビュー

Yaber製品のラインナップとK2sの位置づけ

まずはYaberの現在の製品ラインナップと、Yaber K2sの位置づけを確認しよう。

上段左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」、下段左から順に「Yaber Pro V9」「Yaber Pro Y9」「Yaber V5」
<▲写真:上段左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」、下段左から順に「Yaber Pro V9」「Yaber Pro Y9」「Yaber V5」>

下記リストの価格は、矢印の左が通常価格で、右はクーポンやコードもしくはセールでの割引価格。

製品によってはAmazonの製品ページにおいてクーポンだけでなく割引コードも提供されているので、購入時には価格表記の下に記載されている内容をしっかりと確認したい。見落として割高価格で購入しないよう注意しよう。


ご覧の通り、割引/セールなどを考慮した実売価格で比較すると、Yaber K2sが最も高額のモデルとなり、僅差でYaber Ace K1が続く。高額とはいえ実売4万円前後でに抑えているのはYaberならではと言えるだろう。なお、この2機種はYaberの中位グレード以下の製品と比べると明らかに質が高いので、予算が許すのであればYaber K2sかYaber Ace K1を勧める。


Yaber Ace K1とYaber K2sの違い

Yaber K2sとYaber Ace K1は購入の際にどちらにするか迷う可能性が高いので、主な違いを見ていきたい。前述したように実売価格は大差ない。しかし、ハードウェアには幾つかの違いがある。

左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」。背面の入出力ポートが大きな差異の一つ
<▲写真:左から順に「Yaber Ace K1」「Yaber K2s」。背面の入出力ポートが大きな差異の一つ>

まず、Yaber K2sはAndroid TVを内蔵しているが、Yaber Ace K1は違う。これが最大の違い。

そして、プロジェクターとしての基本的な性能はYaber K2sの方が若干良い。

明るさはYaber K2sが最大800ANSIルーメン、Yaber Ace K1は最大650ANSIルーメン。まあ150ANSIルーメンの差はあまり気にしないでいいと思う。搭載スピーカーも違い、これは明らかにYaber K2sの方が上。Yaber K2sは10WのJBLスピーカーを2機搭載し、バランスの良いサウンドを楽しめる。しかもDolbyオーディオ対応で、結構な迫力と臨場感のバーチャルサラウンドサウンドを楽しめる。一方のYaber Ace K1には15Wステレオスピーカーが搭載されているが、片方に寄った配置のためステレオ感に乏しく、音質自体もYaber K2sほどではない。とはいえ、もちろんYaber Ace K1のスピーカーでも普通にコンテンツは楽しめる。しかし、Yaber K2sのスピーカーなら「普通に楽しめる」よりはワンランク上の音を楽しめると思う。

また、冷却ファンの静音性もYaber K2sの方が優れている。Yaber Ace K1の静音性はK2sほどではなく、一般的なLCDプロジェクター並み。

逆にYaber Ace K1が上の点もある。HDMI入力ポートの数はYaber K2sが1つなのに対してYaber Ace K1は2つ。そして、Yaber K2sのHDMI入力ポートは4K信号の入力には非対応だが、Yaber Ace K1のポートは対応している。

例えば「PlayStation 5」や「Amazon Fire TV Stick 4K Max」などの4K対応機器を繋げた場合、Yaber K2sではフルHD入力、フルHD出力(投影)だが、Yaber Ace K1なら4K入力、フルHD出力ができる。コンテンツを4Kで再生しつつダウンコンバートでフルHD出力できる。この機能を求めるならYaber K2sではなくYaber Ace K1になる。ただ、4K入力→4K出力ではないので、大差ないと言えば大差ない。

本体デザインは好み次第だが、個人的にはYaber K2sの方がワンランク上の質感に見える。システムのUIもYaber K2sの方が洗練されている。というか、Yaber K2sからUIが刷新されていて、オシャレなデザインになっている。Yaber Ace K1以前の機種のUIは、比較すると野暮ったい。ただ、実用上の差はなくYaber Ace K1のUIでも問題ない。

結局の所、ゲーム機やブルーレイレコーダー、Fire TVなどを繋げずにAndroid TVで「YouTube」「Netflix」「Hulu」「Disney+」「Amazonプライムビデオ」などの動画配信サービスやChromecast機能を楽しむことが中心なら、明らかにYaber K2sの方が良いと思う。

一方で、 機能が不要かつ、プロジェクターの冷却ファンの静音性をそこまで求めないのであればYaber Ace K1の方が良いと思う。


Yaber K2sの概要と基本スペック

Yaber K2sの概要と基本スペックを確認したい。

「Yaber K2s」の特徴(※メーカー公式資料より)
<▲写真:「Yaber K2s」の特徴(※メーカー公式資料より)>

Yaber K2sはYaberのプロジェクターとしては初のAndroid TVプロジェクターだが、Android TV自体は本体に収納できるAndroid TVドングル「Yaber HAKO mini」で対応している。ドングルは完全収納できる。Android TVへの遷移もホーム画面からスムースだし、本体リモコンでAndroid TVの操作もできる。使い勝手はとても良い。

もちろんHAKO miniではGoogleアカウント、Google Play、Chromecast機能も利用できる。Android TVのOSバージョンは12(※2024年3月11時更新:出荷時は10でしたがシステムアップデート12.2.2を導入することでAndriod TVのOSバージョンは12になります)。

「Yaber K2s」はAndroid TVドングル「HAKO mini」を内蔵(※メーカー公式資料より)
<▲写真:「Yaber K2s」はAndroid TVドングル「HAKO mini」を内蔵(※メーカー公式資料より)>

実はYaber K2s本体のシステムOSもAndroidベース。YaberのプロジェクターはAndroidベースのOSを採用していて、Yaber K2sも同様。だが、本体システムではGoogle Playは利用できない。Yaber K2sでGoogle Playを利用する際には、ホーム画面からAndroid TVに遷移し、そちらでGoogle Playからアプリをインストールして使う。

次に、Yaber K2sのプロジェクター性能だが、明るさは前述したように最大800ANSIルーメン。投写(投影)解像度はフルHD(1080p)、搭載方式はLCDで、実用スクリーンサイズは40~200インチ。フォーカスとキーストーン調整についてはオート対応しているので、電源を入れた後やプロジェクターを移動した直後には自動的にフォーカスとキーストーン調整をしてくれる。もちろんマニュアルでの調整も可能だ。

スピーカーは10WのJBWスピーカーを2機搭載する。Dolbyオーディオ対応なのでスピーカーは2機だがバーチャルサラウンドで臨場感あるサウンドを楽しめる。プロジェクター搭載スピーカーとしては音質も良いので、Yaber K2sをBluetoothスピーカーとして活用することもできるようになっている。例えばスマホでの音楽などをYaber K2sのスピーカーに飛ばして楽しむことができる。

JBLステレオスピーカー搭載で、「Dolby Audio」対応
<▲写真:JBLステレオスピーカー搭載で、「Dolby Audio」対応>

入出力端子は、HDMI入力ポートが1つ、USB 2.0ポートが1つ、USB Type-Cポートが1つ、3.5mmオーディオ出力ポートが1つ、ミニAVポートが1つ。

システムOSがAndroidベースということもあり、Yaber K2s本体自体も多機能。Android及びiPhoneのスクリーンミラーリングも行うこともできる。また、単独で各種ファイルの扱いもできる。例えばUSBメモリに写真や動画ファイルを入れておいて、Yaber K2sのUSBポートに挿し、それらを読み込んでプロジェクターで投影するような使い方だ。オフィス文書、スライド資料などを投影することもできる。ただ、プレゼンの場合はミラーリングの方がスライドの表示が崩れる恐れがなくていいかもしれない。

基本スペックをまとめると下記の通り。

  • 製品名:Yaber K2s
  • 投影方式:LCD
  • 投影解像度:1,920 x 1,080(フルHD)
  • 最大輝度:800ANSIルーメン
  • 光源:LED
  • フォーカス:オート及びマニュアル
  • 台形補正:オート及びマニュアル
  • 最小投影距離:1.37m
  • 推奨投影距離:1.4m~6.8m
  • 推奨スクリーンサイズ:40インチ~200インチ
  • デジタルズーム(縮小):100% - 50%
  • 前後角度調節:前部搭載のアジャスターで対応
  • 天吊り:対応。M5 x 10mmのネジ穴(x4)
  • 入出力端子:HDMI入力(x1)、ミニAV入力、USB 2.0(x1)、USB Type-C(x1)、3.5mmオーディオ出力、Micro HDMI入力コネクタ(※HAKO mini用)
  • Wi-Fi:対応(Wi-Fi6まで)
  • Bluetooth:5.0(送受信対応)
  • Bluetoothスピーカーモード:対応
  • NFC:対応
  • Alexa:対応
  • スピーカー:JBL 10W(x2)、Dolby Audio対応
  • リモコン:本体リモコン(x1)、HAKO miniリモコン(x1)
  • 定格消費電力:140W
  • サイズ:約291 x 270 x 126mm
  • 重さ:約3.2kg
  • パッケージ内容:Yaber K2s本体、レンズカバー、電源ケーブル、リモコン、HDMIケーブル、AVケーブル、HAKO mini(専用リモコン含む)、クイックスタートガイド(日本語あり)、クリーニングクロス

なお、細かな仕様や機能は製品マニュアルでも確認できるので、購入検討している方は事前にチェックしておくことを勧めたい。マニュアルは多言語対応で、日本語のページは後半の方にある。

Yaber/製品マニュアル(PDF)リストページ


投写距離とスクリーンサイズ

Yaber K2sの投写距離とスクリーンサイズの関係は下記の通り。カッコ内はデジタルズーム機能で50%表示にした場合。

  • 1.4m:40インチ(20インチ)
  • 2.1m:60インチ(30インチ)
  • 2.7m:80インチ(40インチ)
  • 3.4m:100インチ(50インチ)
  • 4.1m:120インチ(60インチ)
  • 5.1m:150インチ(75インチ)
  • 6.8m:200インチ(100インチ)

デジタルズームは100%から50%まで縮小できる機能。

例えばプロジェクターとスクリーン間の距離を1.4m離した場合には、デジタルズーム機能を利用することで20インチから40インチまでのサイズ調整ができるということになる。

逆にスクリーンサイズ基準でいえば、100インチにしたい場合には、スクリーン間距離を3.4mから6.8mまでの範囲にすればいい。

デジタルズーム機能で100%の状態
<▲写真:デジタルズーム機能で100%の状態>

上の写真と同じスクリーン間距離においてズームを50%にした状態
<▲写真:上の写真と同じスクリーン間距離においてズームを50%にした状態>

ただし、デジタルズームには注意点もある。プロジェクターをスクリーンの正面に置いてキーストーン補正(台形補正)をしないでも済む場合には最小の50%まで設定できるが、キーストーン補正を行うと、その補正分だけ縮小可能な量が減る。52%まで、55%までなどだ。


角度調節

Yaber K2sには前後に角度をつけられるようにアジャスターが用意されている。アジャスターは底面の前部側に設けられている。マニュアルには最大で前後の傾斜を60度までつけることができると書かれているが、記載ミスだと思う。実際には写真のように10~20度くらいの範囲だと思う。

アジャスターを使い、前後の傾斜をつけることができる
<▲写真:アジャスターを使い、前後の傾斜をつけることができる>



天吊り

Yaber K2sは天吊りにも対応している。

「Yaber K2s」の底面。スピーカー口が左右にあり、右上にはAndroid TVドングルの収納スロット、そして4つのゴム足がある
<▲写真:「Yaber K2s」の底面。スピーカー口が左右にあり、右上にはAndroid TVドングルの収納スロット、そして4つのゴム足がある>

天吊りする場合は、底面のゴム足のパッドを外す。パッドを外すと、M5 x 10mmのネジ穴が設けられているので、その4つのネジを利用して固定具を使って天吊りする。なお、今回はゴム足を実際に外して天吊りを試すことはしていない。


パッケージと付属品

Yaber K2sのパッケージと付属品は写真の通り。HAKO miniの分、Yaber Ace K1と比べると内容物が多い。

「Yaber K2s」のパッケージ
<▲写真:「Yaber K2s」のパッケージ>

パッケージにはYaber K2s本体、レンズカバー、電源ケーブル、リモコン、HDMIケーブル、AVケーブル、HAKO mini一式、クイックスタートガイド、クリーニングクロスが入っている。

「Yaber K2s」の付属品。「HAKO mini」は本体に収納済み
<▲写真:「Yaber K2s」の付属品。「HAKO mini」は本体に収納済み>

レンズカバーは本体のレンズ部にハメ込むシンプルなもの。ツマミを掴んで引っ張れば外れる。また、Yaber K2sの電源ケーブルはケーブルのみでACアダプターは無いので電源周りはスッキリする。

リモコンについては、実はHAKO miniのリモコンと合計2つある。しかし、本体リモコンでHAKO miniのAndroid TV側も操作できるので、HAKO miniのリモコンはあまり使わないかもしれない。ただ、HAKO miniのリモコンにはGoogleアシスタントボタンやYouTubeボタン、Netflixボタンなど個別サービスの専用ボタンがあるので、それらのサービスを頻繁に使う場合には便利だ。

左から順に本体用リモコン、「HAKO mini」のリモコン
<▲写真:左から順に本体用リモコン、「HAKO mini」のリモコン>

なお、どちらのリモコンも単4型乾電池2本での駆動だが、電池は付属していないので注意して欲しい。合計で電池は4本必要になる。

HAKO miniの詳細は後述する。


本体デザイン、入出力端子、操作ボタンなど

Yaber K2sの本体デザインは同社の過去の製品とは比べられないほどワンランクもツーランクも進化し、洗練された質感の高いものに仕上がっている。ついに低価格メーカー感を全く感じさせないレベルになった。

「Yaber K2s」のデザインは非常に洗練されていて質感も高い。レンズカバーはハメ込み式
<▲写真:「Yaber K2s」のデザインは非常に洗練されていて質感も高い。レンズカバーはハメ込み式>

もちろん人それぞれ好みの差はあれど、とても優れたデザインと質感だと思う。

側面の一部にはファブリック素材を採用する
<▲写真:側面の一部にはファブリック素材を採用する>

素材はプラスチックだが、表面の仕上げが素晴らしく、金属パネルに見える質感。側面はファブリック素材で覆うなど、非常に気を配ったオシャレなデザインだ。

天面は金属に見えるような質感で仕上げられている
<▲写真:天面は金属に見えるような質感で仕上げられている>

操作ボタンは天面にまとめられている。また、スマホのミラーリングに便利なNFCのセンサーエリアも操作ボタンの左に設けられている。操作ボタンは左から順にBluetoothスピーカーモードボタン、静音モードボタン、音量調節ボタン、電源ボタンの並びだ。

NFCセンサー、操作ボタンは天面の右下にまとめられている
<▲写真:NFCセンサー、操作ボタンは天面の右下にまとめられている>

入出力端子は背面に搭載。左から順に、HDMI入力ポート、USB 2.0ポート、USB Type-Cポート、3.5mmオーディオ出力ポート、ミニAV入力ポート。HDMI入力ポートの左にはリモコン信号の受光部が設けられている。リモコンの受光部は背面の他、前面にも搭載されている。

電源ケーブルの差し込み口、吸気口、入出力ポート類が左から順に並んでいる
<▲写真:電源ケーブルの差し込み口、吸気口、入出力ポート類が左から順に並んでいる>

背面の左側には電源ケーブルの差込口と冷却のための吸気口がある。Yaber K2sは珍しいことにフィルターのメンテナンスをユーザー自身で手軽に行えるようになっている。右上部を押すとフィルターカバーを取り外せ、その内側のエアフィルターも外せる。

吸気口はカバー、エアフィルターを取り外し、自分で埃の除去ができるようになっている
<▲写真:吸気口はカバー、エアフィルターを取り外し、自分で埃の除去ができるようになっている>

エアフィルターは水洗いはできないが、丁寧に扱えば掃除機などで埃を除去して構わないようだ。


HAKO mini及びAndroid TVについて

HAKO miniは下の写真の通り、一見して分からないように収納できる。小型のドングルで、電源はmicro-USB端子から取り、映像出力はMicro HDMI出力ポートから行う。そして、Yaber K2s本体には、専用のスリーブケースを装着した上でセットする。

Android TVドングル「HAKO mini」の収納部。スロットカバーは「PUSH」と書かれた場所を押せば外せる
<▲写真:Android TVドングル「HAKO mini」の収納部。スロットカバーは「PUSH」と書かれた場所を押せば外せる>

スリーブケースは挿入ガイドの役割を担い、本体に用意されたスロットの奥にあるMicro HDMI入力コネクタにスッと接続できるようになっている。また、micro-USBコネクタは手で差し込む。言葉だけではよく分からないと思うので写真を参照して欲しい。

スロットカバーを外したところ
<▲写真:スロットカバーを外したところ>

電源はmicro-USB(B)コネクタで供給。「Pull」と書かれているのはスリーブケースを引き出すタブ
<▲写真:電源はmicro-USB(B)コネクタで供給。「Pull」と書かれているのはスリーブケースを引き出すタブ>

micro-USBコネクタを外し、スリーブケースを引き出し、「HAKO mini」をケースから取り外した状態
<▲写真:micro-USBコネクタを外し、スリーブケースを引き出し、「HAKO mini」をケースから取り外した状態>

「HAKO mini」は上部側面と下部側面にMicro-HDMI出力ポート、micro-B充電ポートが用意されている
<▲写真:「HAKO mini」は上部側面と下部側面にMicro-HDMI出力ポート、micro-B充電ポートが用意されている>

スロットの底にはMicro-HDMI入力コネクタがある。スリーブケースがガイド役を担い、「HAKO mini」の出力ポートに上手い具合にスッと差し込むことができる
<▲写真:スロットの底にはMicro-HDMI入力コネクタがある。スリーブケースがガイド役を担い、「HAKO mini」の出力ポートに上手い具合にスッと差し込むことができる>

また、HAKO miniには専用リモコンもある。とはいえ、前述したように、Yaber K2s本体リモコンでもAndroid TVの操作ができる。

そして、HAKO miniは単体で使うこともできる。すなわち、テレビやモニターなどでChromecast代わりに使っても構わない。しかも、HAKO miniは4K対応しているので、「Amazonプライムビデオ」などの4K HDRコンテンツを、4K HDRテレビなどでそのまま再生/視聴することもできる。

HAKO miniのハードウェア仕様は、CPUがARM Cortex-A53ベースのクアッドコア、OSはAndroid TV 10、Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠、電源は5V/1.5Aといったもの。

「Android TV」のホーム画面
<▲写真:「Android TV」のホーム画面>

HAKO miniは普通のAndroid TVなので、普通にGoogleアカウント、Google Playなどを利用できる。この「普通にAndroid TVを使える」という点がとても大きな魅力だと思う。YouTube、Netflix、Hulu、Disney+、DAZN、ABEMAなど、様々な動画配信サービスを全く問題なく利用できるし、もちろんChromacast機能も利用できる。


メニューと設定

Yaber K2sのメニューは下の写真の通り。

「Yaber K2s」のホーム画面
<▲写真:「Yaber K2s」のホーム画面>

実はYaber K2sはYaber Ace K1までの機種のUIから刷新されている。Yaber Ace K1までのUIは良くも悪くも地味だったが、Yaber K2sのUIはグラフィカルで垢抜けたデザインに進化している。使い勝手も悪くない。

また、壁紙画像やスクリーンセーバーはいくつか用意されているので、好みに応じて変更できる。

ホーム画面の壁紙はいくつか用意された画像から変更できる
<▲写真:ホーム画面の壁紙はいくつか用意された画像から変更できる>

主な機能は2段横並びにパネル表示されるので、リモコンの十字キーで選んで決定ボタンを押せばいい。例えばAndroid TVは「Android TV」ボタンを押すだけで、ほぼ待ち時間無しで画面遷移する。他のメニューも1、2秒のレスポンスで画面遷移する。

ホーム画面の壁紙を変更したところ
<▲写真:ホーム画面の壁紙を変更したところ>

AmazonのAlexaでの音声操作にも対応しているのでスマートスピーカーを持っている方は、Alexa経由でプロジェクターの操作ができる。初期セットアップは右上のアイコンから行う。

Alexa対応のスマートスピーカーなどを持っていれば、Alexaを介して音声操作でプロジェクターの操作ができる。これは「Yaber K2s」側でのAlexa設定画面
<▲写真:Alexa対応のスマートスピーカーなどを持っていれば、Alexaを介して音声操作でプロジェクターの操作ができる。これは「Yaber K2s」側でのAlexa設定画面>

プロジェクターの各種設定は「設定」メニューで行う。ネットワーク設定に始まり、プロジェクター設定、サウンドモード、言語設定、ソフトウェアアップデートなどの項目が用意されている。

「Yaber K2s」の設定画面例
<▲写真:「Yaber K2s」の設定画面例>

ちなみに、UIは日本語に設定変更できるが、個人的には英語のままを勧める。

というのも日本語の翻訳精度が低いためだ。日本語に設定することで、むしろ意味が分かりにくくなる項目もある。せっかくデザインとUIを一気に洗練させたのに、ローカライズの精度が低い点は本当に残念でならない。とはいえ、大したワード数ではないし、英語でも実用上問題になることはないと思う。

UIの使い勝手自体は十分に良い。Yaber Ace K1以前の機種よりずっと使いやすい。また、Android TVに関しては普通に全く問題のない日本語で利用できる。


4K対応

Yaber K2sで最も使う入力ソースはAndroid TVかHDMI入力だと思うが、HDMI入力に関しては注意点がある。それはYaber Ace K1との違いの項でも触れたように、4K信号の入力に対応していないことだ。

なぜ、わざわざ4K入力非対応に言及する必要があるのかというと、Amazonの製品ページを見ると誤解する恐れがあるからだ。YaberのフルHDプロジェクターにはYaber Ace K1、Yaber Aurora Sなど、4K信号の入力に対応したHDMI入力ポートを持つ製品がある。そしてYaber K2sの製品ページにも「4K対応」という文字が掲載されている。

ところがYaber Ace K1やYaber Aurora Sが4K入力→1080p出力に対応している一方で、Yaber K2sは対応していない。PS5やFire TV Stick 4K Maxなどの設定で4Kは選べず、1080p入力→1080p出力となる。下の写真はFire TV Stick 4K Maxでの診断画面だが、最大解像度は1080pになっている。Yaber Ace K1の場合もFire TVに関してはスムーズな再生のために1080p 60Hzでのストリーミングになるが、HDMIポート自体は4K対応と認識される。

HDMI入力ポートに「Fire TV Stick 4K Max」を繋ぎ、「オーディオ/ビデオの診断」画面を表示されたところ
<▲写真:HDMI入力ポートに「Fire TV Stick 4K Max」を繋ぎ、「オーディオ/ビデオの診断」画面を表示されたところ>

ただ、4Kからの1080pダウンコンバートでの投影と比べて汚いかというと、そんなことはなく、普通に綺麗に表示される。とはいえ、誤解を招く点の一つだと思うので、注意して欲しい。

なお、Yaber K2sは、USBメモリなどに4K動画(H.265)を入れて、それを再生することはできるようだ。このことを4K対応だと謡っている模様。


明るさ

Yaber K2sの明るさは最大800ANSIルーメン。Yaber Ace K1の最大650ルーメンと比べても、より明るくなっている。

部屋の照明を消した状態での投影例
<▲写真:部屋の照明を消した状態での投影例>

部屋の照明をある程度点灯させた状態での投影例
<▲写真:部屋の照明をある程度点灯させた状態での投影例>

部屋の照明をある程度つけた状態でも大きな支障なく視聴できるレベルの明るさなので便利だと思う。もちろん照明を落とした方がコントラストはハッキリするが、照明下での視聴も十分可能だということが上の写真からも伝わると思う。


投写画像のクオリティ

Yaber K2sの投写画像のクオリティは実売4万円程度のプロジェクターとは思えないほど綺麗で、Yaber Ace K1よりも描写力が高い。Yaber Ace K1も実用十分なレベルのクオリティだが、直接並べて比較するとYaber K2sの方が色の濃淡の細かな表現ができている。

「Fire TV Stick 4K Max」でのサンプル動画の再生時
<▲写真:「Fire TV Stick 4K Max」でのサンプル動画の再生時>

チラつき、モーションブラーも少なく、アクションシーンもストレスなく視聴できると思う。

一応「Amazonプライムビデオ」ではDolbyオーディオでのバーチャルサラウンド再生はできていた
<▲写真:一応「Amazonプライムビデオ」ではDolbyオーディオでのバーチャルサラウンド再生はできていた>



スピーカー

Yaber K2sの魅力の一つはスピーカーだと思う。JBLの10Wスピーカーを2機搭載する。

他のYaberのプロジェクターの場合、スピーカーはある程度「おまけ感」があったが、Yaber K2sのスピーカーは結構満足感をもってサウンドを楽しめる品質。それもあってBluetoothスピーカーモードも搭載しているのかもしれない。

「Yaber K2s」の底面。2つの丸い所はスピーカー。若干前後位置にズレのある配置
<▲写真:「Yaber K2s」の底面。2つの丸い所はスピーカー。若干前後位置にズレのある配置>

上の写真のように、左右スピーカーの配置自体は完全な対称ではなく、主に前後方向で若干ズレている。しかし、聴いている限り、アンバランスさは特に感じず、問題のないサラウンド感も出ている。そしてパワーも十分。むしろ昨今のテレビ内蔵スピーカーなどと比べても結構良いと思う。サブウーファーを搭載しているわけでもないが、低音もそれなりに出ているし、何よりDolbyオーディオ対応で、かなり迫力あるバーチャルサラウンドで臨場感が生まれている。

また、冷却ファンの音が小さ目なので、音量を過度に上げずともサウンドを楽しめる点も良い。


騒音レベル、静音モード、熱

Yaber K2sの冷却ファンはかなり静か。DLP方式のプロジェクターだと結構静かなものが多いが、LCD方式だと爆音の製品もあると思う。Yaber K2sの冷却ファンは十分に静かな方だと思う。

簡易測定ながらプロジェクターの背面から1mの場所でスマホアプリで騒音レベルを測定すると38dBだった。Yaber Ace K1が同条件で44dBだということと比べても静かなことが分かると思う。

通常のモードでの画面の明るさ
<▲写真:通常のモードでの画面の明るさ>

さらに、Yaber K2sには静音モードが搭載されていて、ファンの回転数を落とし、若干静かにすることができる。その代わり、明るさが少し下がる。

下の写真は静音モードにした場合。正直な話、写真では差が伝わりにくいと思うが、写真よりは実際にはもう少し暗くなる。とはいえ、部屋の照明を落としていれば、あまり気にならないと思う。しかし、照明をつけた状態だと、静音モードの明るさは暗いと感じると思う。

静音モード時の画面の明るさ
<▲写真:静音モード時の画面の明るさ>

静音モードだと冷却ファンの回転数が下がり、騒音レベルも36dBくらいまで下がる。

排気口。内側にヒートシンクが見える
<▲写真:排気口。内側にヒートシンクが見える>

次にYaber K2sの発熱だが、本体の真上から見た場合に右下側を中心に発生する。電源ボタンの周辺だ。しかし、手で触れないような熱さではないし、熱くなる範囲も狭い。吸気は前述したエアフィルターが設けられている背面から主に行い、排気は右側面の前部から行われる。外からヒートシンクが見えるが、結構大きなヒートシンクに見えるので、冷却性能は比較的高いのだろう。


スマホのミラーリング

Yaber K2sへのスマートフォンのミラーリングについて見ていきたい。実はYaber K2sでのミラーリングは主に2系統ある。一つはYaber K2s本体のシステム上で行うこもの。もう一つはHAKO Mini、すなわちAndroid TVのChromecast機能を介して行うもの。

スマホをミラーリングし、Chromeを表示しているところ
<▲写真:スマホをミラーリングし、Chromeを表示しているところ>

Chromecastを使ったことがある方の場合は、Chromecastを介してのミラーリングが楽だと思う。動画配信サービスに関してもAndroid TVにインストールしたアプリで直接視聴するほか、スマホからのキャストでも構わない。Yaber K2sはミラーリング含め、使い方に結構自由度があるので、その点便利だと思う。


総括

Yaber K2sは実売4万円台のフルHDプロジェクターとしては、基本的に文句無しレベルにあると思う。それでいてAndroid TVも使えるので、プロジェクターだけで各種動画配信サービスも楽しめてしまうし、スマホからのキャスト/ミラーリングも手軽にできる。

「Yaber K2s」
<▲写真:「Yaber K2s」>

投影画像のクオリティも正直な話、この価格なら文句無しだと思うし、ハイエンド機と比べても大して違いを感じない方もいると思う。それくらい品質が底上げされていることを感じた。また、従来のYaberの製品からワンステップもツーステップも全体的な品質が高まったことも見逃せないポイントだと思う。もう安っぽさを感じない仕上がりなので、見た目からの所有欲も満たしてくれる。

スピーカーの音も十分に良く、迫力あるサラウンドサウンドを楽しめる(もちろんサラウンドはオフにもできる)。欠点らしい欠点はほとんどない。せいぜいがメニューの日本語ローカライズが微妙な点くらいだが、文中で触れたように、実用上の問題はない。

Android TV内蔵プロジェクターを探している方には有力候補の一つになると思う。


情報元、参考リンク
Amazon/Yaber K2s製品ページ
Amazon/Yaber K1製品ページ
Amazon/Yaberストアページ
Yaber/Yaber K2s製品ページ
Yaber/製品マニュアル(PDF)リストページ
Yaber公式サイト

読者&編集部コメント欄

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