<▲画像:「irumo」「eximo」「ahamo」の3つで構成されるドコモの新料金プラン体系> |
なお、現行プランを利用中の方に対して新プランへの強制自動移行がされるということはないので、その点については安心して大丈夫だ。しかし、現行プランである「ギガホ」シリーズの料金プランの新規受付は6月30日をもって終了となるため、現行プラン内での変更を希望する方は早めに行う必要がある。
7月1日以降はスマートフォンの利用においては基本的にはirumo、eximo、ahamoの3系統になり、ギガホシリーズへの変更はできない。
さらにirumo、eximo、ahamoで構成される新たなドコモの料金体系では、ドコモメール(@docomo.ne.jpアドレスのメールサービス)、ドコモショップでの店頭サポートの一部、ファミリー割引グループ内の家族間無料通話の扱いが異なるなど、以前よりも付随機能やオプションサービスに関してプラン毎の違いが複雑になっている。
また、適用できる割引施策に関しても、irumoでは「みんなドコモ割」での割引がないなどプラン毎の違いがある。
<▲画像:ドコモの新しい料金戦略のイメージ> |
ドコモの新料金プランについて
irumo
<▲画像:「irumo」の位置づけとターゲット> |
まずはirumoから。irumoはNTTドコモが7月1日に吸収合併するNTTレゾナントが運営する格安SIMサービス「OCN モバイル ONE」の料金プランにとても似た内容。まさにドコモが手掛ける格安SIM対抗プランと言っていいだろう。
<▲画像:「irumo」では4つのデータ容量別コースを用意> |
irumoでは、月間の利用可能データ容量別に4つのコースを用意している。0.5GB、3GB、6GB、9GBで、料金は順に550円(税込、以下同)、2,167円、2,827円、3,377円。OCN モバイル ONEでは無条件でもっと安いので格安プランとは一見思えないが、割引施策を適用できれば格安SIM並みの料金になる。
具体的には下記の割引施策が適用できる。
- dカードお支払割 または ビジネスメンバーズ割:187円引き/月
- ドコモ光セット割 または home 5Gセット割:1,100円引き/月
「みんなドコモ割」については、他プランに加入している家族の割引カウント対象にはなるが、irumo自体の割引はない。
上記2つ、特にドコモ光セット割/home 5Gセット割を適用できれば、格安SIMに対抗する低料金を実現できる。逆に、適用できない場合には格安SIMほどは安くない。
しかし、現行プランの「ギガライト」の通常料金よりは安い。というのも、ギガライトは1GBまでは3,465円、3GBまでは4,565円、5GBまでは5,665円、7GBまでは6,765円だからだ(定期契約2年有の場合)。割引施策を全て適用した状態でも、1GBまでが2,178円、3GBまでが2,728円、5GBまでが3,278円、7GBまでが4,378円。
すなわち、割引施策を適用できない場合でも、一応ギガライトよりは安く、割引施策を適用できれば格安SIM級の料金ということになる。
ただし、ドコモのサービスとしてみた場合の注意事項がirumoにはある。
まず、5G対応についてコース別で違いがある。0.5GBコースのみ5Gには非対応で、4G LTEまでの通信となる。しかも、0.5GBのコースは、通信速度が送受信最大3Mbpsに制限される。これは0.5GBを超える前でもだ。しかも、3GB以上のコースに関しても、ネットワークの混雑時にはドコモの他の料金プランを優遇し、irumoの通信速度が制限される場合がある。OCN モバイル ONEは格安SIMの中では決して遅い方ではなかったので、恐らくirumoでも不満に感じる速度ではないと考えられるが、生活圏が都心部の方は注意が必要かもしれない。
また、「@docomo.ne.jp」メールアドレスのメールサービス、「ドコモメール」が有料オプションとなり、必要な場合は月額330円掛かる。時代の流れとしてキャリアメールを使っている方は非常に減っているとは思うので、むしろ標準化せずに料金を下げる方がいいのかもしれないが、標準で使えると思っていると後で驚くはずで注意が必要だ。
キャリア決済サービスも注意点の一つで、irumoでは「spモードコンテンツ決済」を利用できない。現在利用中の方は注意が必要。
さらに、ファミリー割引グループ内の国内通話に関しても無料ではないので注意したい。ファミリー割引グループ設定とカウントだけはできるので、例えばeximoやギガホなどのプランの家族からの通話は今まで通り無料だ。しかし、irumoから家族への発信に関しては普通の通話と同様、30秒あたり22円で課金されるので注意したい。
音声通話について割引オプションを利用したいのであれば、1回5分以内の国内通話がかけ放題の「5分通話無料オプション」が880円、1回あたりの時間制限のない「かけ放題オプション」が1,980円となっている。
通話かけ放題系のオプションへの加入者には特典があり、「留守番電話」と「キャッチホン」に関してはそれぞれ330円割引、220円割引が適用される。
また、irumoの場合、ドコモショップでの受付や基本サポートは無料で受けられるが、設定サポートは有料となっている。初期設置サポートは1回2,200円、アプリ設定サポートは1回1,650円など。
そしてirumoについては加入後の手続き等に関しては「My docomo」ではなくirumo公式サイトを介して行う形となる点にも注意したい。
irumoの対応機種については、ガラケーやキッズケータイも含めてドコモが販売してきた機種の多くが対応しているが、詳しいリストは下記ページで確認して欲しい。
→irumo対応端末について
<▲画像:「irumo」の料金表> |
eximo
eximoは現行のギガライト、ギガホ プレミア系プランからの置き換えとなる新プランと言っていいだろう。irumoの場合には0.5GBコースで5G通信ができなかったり、家族間通話であっても無料ではなかったり、ドコモメールが有料オプション扱いだったりするなど注意点が複数あるが、eximoは現行プラン同様、それらが付随したまま、月々の使用データ通信量に応じた3段階制の定額プランとなっている。eximoは長くドコモを継続利用してきたユーザーにとっては最も分かりやすいプランだと思う。少なくとも、「これができなくなる」「これには注意が必要」といった点が少ないので、あまり細かく考えずに選びたい場合にはeximoが最も無難で安全だろう。
<▲画像:「eximo」は実際の使用データ量に応じて月々の料金が変動する3段階制> |
料金は使用データ通信量が1GBまでなら4,565円、3GBまでなら5,665円、3GBを超えた場合は無制限で7,315円止まりとなっている。すなわち使い放題でも7,315円に収まる。
実際には「みんなドコモ割」で1,100円割引、「dカードお支払割」または「ビジネスメンバーズ割」で187円引き、「ドコモ光セット割」または「home 5Gセット割」で1,100円割引できるので、最大で月々2,387円割引までが可能となっている。
そのため、最安だと1GBまでが2,178円、3GBまでが3,278円、3GB超が4,928円だ。
全ての割引を適用できれば魅力的だ。
irumoの場合は「みんなドコモ割」での割引はないが、eximoならある。
ドコモショップでの店頭サポートについても一部有料だが、irumoでは有料のものが無料になっていたりと、スマホの機種変更などに自信がない方には安心だ。
<▲画像:「eximo」は現行プラン同様、大体のサービスが無料でついてくる> |
<▲画像:「eximo」の料金表> |
コメント
発表会で内容を見た第一印象は値上げだと感じたが、落ち着いてから見ると、当然下がる人は下がる。第一印象が悪かった理由は、irumoをOCN モバイル ONEと比べたことにある。irumoをOCN モバイル ONE並みの料金に下げるには固定回線とのセット割が必須だということが筆者にとって印象を悪く感じた最大の要因だと思う。ところが、ギガライト、5Gギガライトと比べると安い。OCN モバイル ONEは同じグループとはいえ別会社が運営するサービスだった。一方のirumoは最初からドコモのプランとして登場し、ドコモショップで料金相談をした上で普通に加入でき、サポートも受けられる。通信サービスとしての中身や品質はOCN モバイル ONE基準ではないかと想像されるが、実際のところは始まってみないことには分からないし、より良い可能性も十分ある。
現在ギガライト/5Gギガライトに加入している方が将来的にirumoかeximoに切り替える場合、固定回線のセット割を適用できるかどうかで選択が変わると思うが、仮にirumoでも大抵のユーザーが特に不満を持たない通信品質かもしれない。
とはいえ、個人的にはOCN モバイル ONEをとても気に入っていただけに新規受付終了することが非常に残念だ。irumo、eximoというプラン名も中身を表現した名称ではないため、ギガライトやギガホ プレミアと比べても分かりにくい気がする。
<▲画像:ドコモは「エコノミーMVNO」の取り組みも継続> |
最終的には慣れるのだろうが、今までとは異なる点で少し分かりにくくなったため、今後料金プランを変更する方は、細かな注意書きも含めてチェックすることを勧めたい。
なお、ドコモは「エコノミーMVNO」についても止める予定はなく、少なくとも当面はドコモのirumo、eximo、ahamoに加えてエコノミーMVNOも含めてユーザー毎のニーズに合わせて通信サービスを訴求していくとのこと。
また、ドコモは発表会の質疑応答において現在のOCN モバイル ONEのユーザーに対して強制的にirumoへ移行させるような措置を採ることは無いとし、今後も継続利用はできるという。仮にOCN モバイル ONEからirumoに移行したとして、同じ月間データ容量で同じ料金を維持するにはドコモ光セット割かhome 5Gセット割が必須だ。セット割を適用できるなら全く問題ないが、できない場合、ドコモには同じ料金を満たすプランが無い。となると、他の格安SIMやLINEMO、楽天モバイルなどが次の候補となるだろう。当面はOCN モバイル ONE継続で全く問題ないと思うが、将来的にユーザーが他社に移る可能性がありそうで、その点をドコモがどう考えているのか気になるところだ。そもそも新規申込受付を終了したサービスからは徐々にユーザーが出ていくのが常ではないかと思う。