<▲画像:「Lenovo Tab M10 Plus (3rd Gen)」> |
レノボの製品の場合、直販モデルと販売代理店モデル(家電量販店等で販売されるモデル)の両方もしくは一方が販売されるが、今回のLenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)については現時点では販売代理店モデルの情報しか公開されていない。
販売代理店モデルのうち、Wi-Fiのみに対応するモデルの型番は「ZAAM0080JP」、3G及び4G LTEに対応するセルラーモデルは「ZAAN0158JP」。標準価格(税込、以下同)は「ZAAM0080JP」が43,780円、「ZAAN0158JP」が49,280円とされている。
最終的に実売価格帯がどの辺りに落ち着くのかは分からないし、直販モデルの登場も気になるところ。
Lenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)を購入するかどうか考える際に注意したいのは、「Lenovo Tab P」シリーズにおいて最もディスプレイサイズが小さい11インチの「Lenovo Tab P11 Plus」の直販モデルがすでに4万円前後(現在は43,780円)だということ。
<▲画像:「Lenovo Tab P11 Plus」は11インチのディスプレイを搭載する> |
とはいえ、まずは第3世代になったLenovo Tab M10 Plusの仕様を確認していきたい。
OSはAndroid 12で、CPUは「Qualcomm Snapdragon 680」、メモリは4GB、ストレージは64GB。外部メモリとしてmicroSDカードスロットが用意され、最大1TBまで対応する。ディスプレイは約10.61インチ、解像度2,000 x 1,200ドットのIPS液晶。
<▲画像:ディスプレイは約10.61インチ、2,000 x 1,200ドットのIPS液晶> |
Lenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)はWi-Fi Display対応なので、パソコンなどの映像をWi-Fi経由で出力し、サブモニターとして使うこともできる。
通信に関してはWi-FiモデルはIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠のWi-Fiのみで、セルラーモデルは4G LTEと3Gに対応する。具体的な対応バンド(周波数帯)は下記の通り。
- FDD LTE:Band 1/3/5/8/19/26/28
- TDD LTE:Band 41
- W-CDMA:Band 1/5/6/8/19
サウンド面は「Dolby Atmos」(ドルビー・アトモス)対応の4スピーカー構成。3.5mmのマイク/ヘッドホン・コンボ端子も搭載する。Bluetoothは5.0。
<▲画像:左右側面に2つずつ計4つのスピーカーを搭載。3.5mmオーディオ端子も備える> |
カメラはインカメラ、アウトカメラどちらも800万画素のセンサー。
<▲画像:「Lenovo Tab M10 Plus (3rd Gen)」の背面> |
搭載するその他のセンサー類は加速度センサー、光センサー、ジャイロセンサー、GPS、GLONASSで、セルラーモデルのみ追加でA-GPSも搭載している。いずれにしてもLenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)では位置情報も利用できる。
入出力端子は、前述した3.5mmオーディオ端子の他、USB 2.0 Type-C(OTG対応)が1つ。
バッテリー容量は7,500mAhで、連続使用時間はカタログスペック上は約12時間とされている。
本体サイズは約251.2 x 158.8 x 7.5mmで、重さは約465g。
Lenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)は、ドルビー・アトモス対応のクアッドスピーカーとフルHD+のディスプレイによってエンターテインメント用途に適した点が魅力だろう。
そして動画視聴に関してはNetflixが公開している「AndroidスマートフォンまたはAndroidタブレットでNetflixを利用する方法」ページにて、HD視聴が可能な端末として記載されている。
Netflixのページを詳しく見て頂ければわかるが、実はAndroidタブレットでNetflixをフルHD解像度で視聴できる製品はそう多くない。そもそもAndroidタブレット市場が近年は活況とは言えず、ハイエンド製品のラインナップが少なかったことが最大の要因ではあるものの、非常に少ない。
レノボはAndroidタブレット市場が萎んでいた時代も含めて継続的に製品展開してくれているが、数年前の製品は軒並みHD非対応だ(※ディスプレイの解像度はフルHD以上でもNetflixのフルHD再生ができない)。要するに、デジタル著作権保護管理規格「Widevine」のセキュリティレベルが下位の「L3」止まりだった。一方、昨年来のミドル/ハイエンドタブレットに関しては上位レベルの「L1」を取得しているため、Netflixに限らず「Amazonプライムビデオ」などもフルHD視聴可能となっている。
例えばNetflixのHD視聴に対応しているレノボのタブレットは下記の通りだ。
- Lenovo Tab M10 Gen 3
- Lenovo Tab M10 Plus (3rd Gen)
- Lenovo Tab P11
- Lenovo Tab P11 5G
- Lenovo Tab P11 Plus
- Lenovo Tab P11 Pro
- Lenovo Tab P12 Pro
- Lenovo Yoga 3 Pro
- Lenovo Yoga Tab 11
- Lenovo Yoga Tab 13
ようやくレノボのミドル/ハイエンドのAndroidタブレットがWidevine L1になってきたことがリストからも分かる。
レノボ以外ではファーウェイの「MediaPad M5」シリーズ、「MediaPad T5 10」、サムスン電子の「Galaxy Tab S」シリーズ、シャオミの「Xiaomi Pad 5」くらいしかない。後は厳密にはAndroidタブレットは言えないがAmazonの「Fire」シリーズだ。ただ、Fireシリーズの場合、非常にコストパフォーマンスに優れるもののレノボやGalaxy Tab S、Xiaomi Pad 5などと比べてディスプレイ品質もスピーカー品質も落ちる。Fire HDだけを見ていれば気にならないが、並べて比べると違う。
ともかく、それだけNetflixはじめ主要動画配信サービスを高画質で視聴できる10インチ、11インチクラスのAndroidタブレットは貴重だということだ。
そして話を価格とレノボの上位機であるLenovo Tab P11 Plusに移そう。さすがにLenovo Tab P11 ProやLenovo Tab P12 Proのように「HDR10」での視聴まではできないが、Lenovo Tab P11 Plusは、僅かにパフォーマンスの良いCPUを積み、ストレージが2倍の128GB、そしてキーボードを取り付けられるスマートコネクタを搭載し、Bluetoothが5.0ではなく5.1、アウトカメラのセンサーが1,300万画素、IPX2/IP5X相当の防水(防滴)・防塵対応といった違いがある。
何を求めるかにもよるが、Lenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)の購入検討時にはLenovo Tab P11 Plusも選択肢に入ってくると思う。最終的には価格差がつくと思うが、それにはある程度待つ必要があるだろうし、セールなどへの期待も必要だろう。
仮にLenovo Tab M10 Plus(3rd Gen)が35,000円前後あたりまで下がれば、「11インチ前後のAndroidタブレットの内、コスパに優れて、動画視聴を含むエンターテインメントをそれなりに高いクオリティで体験でき、Webブラウジングなどの一般的用途もそつなくこなす」機種としては最有力候補になりそうだ。
意外とそれを満たす製品が少ないので本当に貴重で楽しみな新製品だと言える。