<▲画像:「Gear VR」は専用コントローラーの登場を機に非常に使いやすいVRゴーグル/プラットフォームへと進化し、長く活躍した> |
それは「Gear VR」関連のアプリが全て使えなくなってしまうこと。起動してもアンインストールが促させる注意メッセージが表示され、Gear VRプラットフォームが根本的に使えなくなる。
<▲画像:Android 12へのアップデートを適用した後に「Gear VR」をアンインストールするよう通知が表示される> |
Gear VRはサムスン電子がMeta(旧Facebook)傘下のOculusと提携することで実現していたデバイス及びプラットフォーム。すでに契約終了によって一部のアプリの新規インストールはできなくなっていたし、ブラウザの更新も止まっていたが、購入/ダウンロード済みのアプリは継続使用できていた。ただ、いずれ完全に使用できなくなるタイミングが迫っていることは以前から告知されていた。それがGalaxy S10、Galaxy S10+のOSをAndroid 12にアップデートすることで訪れる。
<▲画像:「Gear VR」に関する一連のアプリは使えないのでアンインストールへ(強制削除ではない)> |
Galaxy S10、Galaxy S10+はGear VR用途のためだけに継続利用中の方もいると思う。
正に筆者が昨年途中までそうだったが、私の場合は昨年「Oculus Quest2」を購入して完全移行したことで今回のダメージは無かった。そうでなければアップデート適用を後悔したことだろう。
なお、Oculus Quest2はそれ自身にCPU、メモリ、ストレージ、バッテリー、通信機能を内蔵して単独で駆動可能なデバイス。「Oculus Quest」及び「Oculus Quest2」向けのアプリを使える他、Wi-FiもしくはUSBケーブルでPCと繋ぎ、PC向けのVRソフトウェア、具体的には「Oculus Rift」「Oculus Rift S」向け、「Steam VR」向けのゲームなどのプレイもできるので、用途はGear VRよりも明らかに多く、ゲームも豊富かつ非常にクオリティの高いタイトルも複数存在している。
また、スクリーンドア現象(網戸のように網目が見える現象)もGear VR+Galaxy S10の組み合わせよりも少ないので、見やすい。
一方でGalaxy S10の有機ELディスプレイの発色はOculus Quest2よりも圧倒的に優れていて、VR動画視聴時の画像のコントラスト、鮮やかさは明確にGear VR+Galaxy S10の方が上。人によっては動画だけはOculus Quest2よりもGear VR+Galaxy S10を好む場合もあると思う。私も暫くの間は網目は多くともGear VRを使い続けていた。
とはいえ、最終的には基本パフォーマンス、すなわち操作に対するレスポンスの速さ、視聴アプリやブラウザを使うときの快適性なども含めてトータルで考えるとOculus Quest2の方が上なので、徐々にGear VR+Galaxy S10の方に面倒さを感じ始めてOculus Quest2に完全移行してしまう人が多いとは思う。
Gear VR+Galaxy S10/Galaxy S10+からの移行先のVRプラットフォームは現実的にOculus Quest2しかないと思うので、個人的にはOculus Quest2がオススメだ。
もしくは、ひとまず市販のスマホ向けVRプラットフォームで一時しのぎをして、恐らく来年出るであろう「PlayStation VR2」を待つか、となるだろう。
いずれにしてもGalaxy S10、Galaxy S10+のユーザーでGear VRのヘビーユーザーなら、Android 12へのアップデートは先延ばしにした方がいいだろう。
なお、Oculus Quest2にはストレージ容量が128GBと256GBのモデルがあるが、個人的には多くのユーザーが128GBで十分だと思う。筆者も128GBモデルだが全く問題ない。というのも、Oculus Rift/Rift SやSteam VR向けゲームと違い、Oculus Quest2用ゲームアプリには100GB近い容量を要求する作品は基本的に存在しないため。動画コンテンツを直接Quest2に保存しておきたい場合には256GBモデルの方が良いかもしれないが、動画コンテンツをNAS(ネットワーク接続型のHDD)やPCに保存し、Quest2からWi-Fi経由で視聴するのであれば128GBモデルで十分だし、ストリーミング視聴が中心なら尚更だ。