<▲写真:「BigBlue Cellpowa500(CP500)」本体と付属品収納ポーチ> |
最大の特徴は安全性の高さや長寿命などが魅力のリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)を採用している点と高出力対応、さらには超急速充電に対応している点です。
リン酸鉄リチウムイオン電池はリチウムイオン電池の種類の一つですが、スマートフォン等に使われているリチウムポリマー電池と比べて発火しにくく安全性が高い上、長寿命、自然放電が少ないなどの特徴を持つとされています。
<▲写真:「BigBlue Cellpowa500(CP500)」本体> |
寿命は2,000回以上の充電サイクルが可能とされています。自然放電は実際に極めて少なく、筆者が実機を約2カ月間放置しても表示上は1%も減りませんでした。
高出力で出力系統が多い点も魅力です。
<▲写真:出力ポートについて(公式製品紹介画像より)> |
AC出力ポート(日本のコンセントと同じ形状です)は2つ搭載し、最大500W出力対応(瞬間最大出力は1000W)。暖房器具や調理器具等、消費電力の高い家電製品もある程度カバーできるでしょう。DC出力は12V/10A対応のシガーソケットが1つと12V/5Aの5.5mm径のポートが2つ、USB出力はUSB PDの60W対応のUSB Type-Cポートが2つ(2つ合計で最大120W)、「Quick Charge 3.0」対応のUSB Type-Aポートが2つ(各ポート最大18W、合計最大36W)となっています。
2つのUSB Type-Cポートは入力にも対応しています。すなわち、USB Type-C端子からBigBlue Cellpowa500の内蔵バッテリーを充電することもできます。
仮にUSB Type-Cポート1つで充電すると最大60W、2つで最大120Wです。2つの端子で充電すると5~6時間でフル充電できます。勿論、付属のACアダプター(96W)での充電も可能です。さらに併用も可能です。120W + 96W = 216Wでの超急速充電ができます。60W以上の出力に対応するUSB PDアダプターを2つ所有している方は少ないかもしれませんが、最近はノートPC用のアダプタも出力が高くなっていますし、スマホやタブレット用の高出力アダプタをお持ちの方もいると思うので、それらを使ってBigBlue Cellpowa500を充電できれば便利だと思います。
216W充電なら2.8~3.2時間で537.6Wh(168,000mAh)のバッテリーをフル充電できます。
実際に超急速充電しているところが下の写真です。付属のACアダプター、「RAVPower RP-PC128」(最大90W対応)、「MATECH Sonicharge 100W」(最大100W)で同時充電したところ216Wは出ませんでしたが、207W前後で充電できていました。
<▲写真:ACアダプター、USB PDアダプタ2つの計3つのアダプタで同時充電しているところ> |
また、非常時やアウトドアで役立つLEDライトも搭載されています。
私は2017年に400Wh(120,000mAh)の容量のバッテリーを搭載するSuaokiのポータブル電源を購入し、今でも現役機として使用していますが、それから5年以上が経過し、ポータブル電源の進化を感じました。当時は手頃に購入できる(手頃といっても確か4、5万円しましたが……)大容量・高出力のポータブル電源はAnkerとSuaoki位しか選択肢がなく、確かAC出力の高さからSuaokiの製品を選択した記憶があります。
<▲写真:「BigBlue Cellpowa500」と「Suaoki」の400Whポータブル電源> |
話を充電に戻すと、BigBlue Cellpowa500は、BigBlue Techのソーラーパネルでの充電にも対応しています。同社の100Wのソーラーパネル製品「BigBlue Solarpowa100」のレビューも後日公開予定なので、そちらもあわせて参照下さい。私はソーラーパネルもSuaokiの製品を所有していますが、明らかにBigBlue Solarpowa100の方が優れていて時の流れを感じます。
<▲写真:「BigBlue Solarpowa100」> |
なお、BigBlue Techの製品はAmazonや楽天などで販売されています。Amazonでは2022年2月8日時点ではBigBlue Cellpowa500が49,999円(税込み、以下同)ですが9,000円のクーポンが配布中なので、実際には40,999円で購入できます。ソーラーパネルのBigBlue Solarpowa100は23,999円ですが、10%オフのクーポンが配布中です。
→AmazonでのBigBlueのストアページはこちら
なお、本レビューではBigBlue Techから提供されたBigBlue Cellpowa500、BigBlue Solarpowa100を用いています。
「BigBlue Cellpowa500 ポータブル電源」のレビュー
製品の基本スペック
まずはBigBlue Cellpowa500(CP500)の基本スペックをご紹介します。主なスペックは下記の通りです。- メーカー:BigBlue Tech
- 製品名:Cellpowa500
- 型番:CP500
- バッテリー容量:537.6Wh(24Ah/22.4V)
- バッテリー種別:リン酸鉄リチウムイオン電池
- バッテリー寿命:充電サイクル2,000回以上
- 液晶ディスプレイ:搭載。輝度は最大450nit
- 冷却ファン:3つ搭載(出力/入力が180W超、もしくはバッテリー温度が45度を超えると稼働)
- 充電可能温度:0度~45度
- 放電可能温度:-15度~45度
- 安全機能:短絡保護、過充電保護、過放電保護、過電圧保護、過電流保護、過熱保護
- LEDライト:4W(3モード)
- 本体サイズ:約287 x 208 x 208mm
- 重さ:約7.8kg
- 付属品:ACアダプター、シガーライターケーブル、USB Type-Cケーブル、付属品収納用のポーチ、取扱説明書(日本語含む)、保証書
- 出力ポート:
- AC(x2):100V/5A(単ポート最大500W、2ポート最大500W、ピーク1000W)、60Hz、純正弦波
- USB Type-A(x2):5V/3A、9V/2A、12V/1.5A(単ポート最大18W、2ポート最大36W)。Quick Charge 3.0対応
- USB Type-C PD(x2)※入力にも対応:5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3A(単ポート最大60W、2ポート最大120W)
- DC 5.5mm(x2):12V/5A(単ポート最大60W、2ポート最大60W)
- シガーライターソケット:12V/10A(最大120W、DC 5.5mmと合わせて最大120W)
- 対応する充電方法:
- ACアダプター(Input端子へ接続):24V/4A(96W)
- ソーラーパネル(Input端子へ接続):12-30V/4A(最大110W)
- 自動車のシガーライターソケット(Input端子へ接続):12V-24V/4A(最大96W)
- USB PD(USB Type-Cポートへ接続):5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3A(単ポート最大60W、2ポート最大120W)
パッケージ、付属品
BigBlue Cellpowa500(CP500)の本体パッケージはピタリと収まる段ボール箱に収納されて配送されます。外箱に隙間なく入っているので本体パッケージを取り出すのは少々難儀ですが、床に置いてゆっくりと引き抜きます。<▲写真:左上が配送状態。右上は外箱を開封したところ。その中に下の写真の本体パッケージが入っている> |
本体パッケージには、厚みのあるクッションで上下にサンドイッチしたBigBlue Cellpowa500(CP500)本体が収納されています。クッションの上側には付属品が収納されています。
<▲写真:本体パッケージの開封の様子> |
内容物は下の写真の通りです。BigBlue Cellpowa500(CP500)本体、ACアダプターとケーブル、シガーライターソケットケーブル、USB Type-Cケーブル、取扱説明書、保証書、付属品一式を収納できるポーチです。
<▲写真:「BigBlue Cellpowa500(CP500)」本体と付属品> |
記事冒頭の写真にあるようにポーチには付属品一式が綺麗に収まります。質感も良く、強度もあり、とても良くできています。
本体デザイン、ディスプレイ
BigBlue Cellpowa500(CP500)の本体デザインはシンプルで高品質な仕上がりです。<▲写真:「BigBlue Cellpowa500」の本体デザインはシンプルながら安っぽくなく高品質> |
上面には取っ手が搭載されていますが、引っ張り上げると出てきて、押し込むと収納されます。
<▲写真:上面の取っ手は収納可能> |
また、両手で持ち運ぶときのために左右側面に窪みが設けられていて、手を掛けることができます。数秒程度なら上面の取っ手で問題ありませんが、長い時間持ち運ぶ場合には両手で持つ方が明らかに楽です。約7.8kgの重さなので、成人男性でも結構疲れると思います。
<▲写真:側面は窪んでいて、両手で持ち上げることもできる> |
ディスプレイは前面に搭載されていて最大輝度は450nitで、視認性は良好です。屋内/屋外どちらの環境下でも見やすいです。
<▲写真:「BigBlue Cellpowa500」のディスプレイ> |
ディスプレイには入力と出力それぞれの電力状態、バッテリーの残量、ACやDCなどの出力のオン/オフを示すインジケーター、過熱保護や故障インジケーターなどが表示されます。
なお、BigBlue Cellpowa500(CP500)には冷却ファンが内蔵されていますが、その配置は下図が参考になると思います。
<▲写真:「BigBlue Cellpowa500」の構造(※公式の製品紹介画像より)> |
入出力端子
基本スペックの項でも述べましたが、改めて入出力端子をチェックしていきます。<▲写真:入出力端子。シガーソケットのみカバーが付いている> |
入出力端子をリスト化すると下記の通りです。
<入力端子>
- Input端子:ACアダプターやソーラーパネル等を接続する端子
- USB Type-C PD(x2)※出力と兼用:5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3A(単ポート最大60W、2ポート最大120W)
<出力端子>
- AC(x2):100V/5A(単ポート最大500W、2ポート最大500W)、60Hz、純正弦波
- USB Type-A(x2):5V/3A、9V/2A、12V/1.5A(単ポート最大18W、2ポート最大36W)。Quick Charge 3.0対応
- USB Type-C PD(x2)※入力と兼用:5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3A(単ポート最大60W、2ポート最大120W)
- DC 5.5mm(x2):12V/5A(単ポート最大60W、2ポート最大60W)
- シガーライターソケット:12V/10A(最大120W、DC 5.5mmと合わせて最大120W)
USB Type-C PD端子のみ入力と出力が兼用となっています。入力と出力の切替ボタンはなく自動識別されます。
Input端子は充電用のポートで、付属のACアダプターの他、ソーラーパネル BigBlue Solarpowa100を接続したり、自動車からBigBlue Cellpowa500(CP500)を充電するときに付属のシガーライターケーブルを接続する際に用います。
BigBlue Cellpowa500の充電について
BigBlue Cellpowa500(CP500)の内蔵バッテリーの容量は537.6Whです。スマホやタブレットなど一般的なモバイル機器向けのモバイルバッテリーと比べると桁違いに大容量です。それだけにCP500のバッテリーを充電する時間も気になると思います。前述したように、BigBlue Cellpowa500(CP500)は複数ポートからの同時入力をサポートしています。これによって超急速充電を実現し、最短で2.8時間~3.2時間ほどでフル充電できます。改めて3ポートでの同時充電の写真を掲載しますが、理論上は最大216W、実際でも207Wで充電できました。
<▲写真:3ポートでの同時充電> |
具体的な組み合わせ例は下記の通りです。併記したのはフル充電に要する時間です。前述したようにクルマのシガーライターソケットからの充電も可能です。
- ソーラーパネル(80Wの場合):8-9時間
- ACアダプター(96W):6-7時間
- USB Type-C 2つ(合計120W):5-6時間
- ACアダプター+USB Type-C 1つ(合計156W):3.5-4.2時間
- ACアダプター+USB Type-C 2つ(合計216W):2.8-3.2時間
ACアダプターだけでも6~7時間でフル充電できるので、使用頻度の高い方でもACアダプターで十分だと思います。寝る前に充電開始すれば、朝までには終わっているはずです。ただ、先ほど3ポート同時充電で207W程度だったと書きましたが、どうもACアダプターでの充電が理論値の96Wより若干低めのようです。下の写真のように88W前後でした。
<▲写真:ACアダプターのみで充電> |
一方、USB PDは理論値に近く、単ポートで60W、2ポートで120Wが安定していた印象です(下の写真参照)。ACアダプターを使わずUSB PDだけでも十分充電できるので、ACアダプターは仕舞っておいても構わない、という方も出てくると思います。
<▲写真:「MATECH SonicCharge 100W」と「RAVPower RP-PC128」で充電> |
超短時間で充電したければACアダプターとUSB PD端子の同時充電をすればいい訳ですし、いずれにしても充電の選択肢が豊富です。
USB PDに関しては手元のアダプターを幾つか試してみました。結果、低出力のUSB-ACアダプターでも一応充電は可能でした。世の中にあるほとんどのUSB-ACアダプターで充電できるかもしれません。
私が試したのはHPのノートPC用の45Wアダプター、「Nintendo Switch」付属のACアダプター、「Oculus Quest 2」付属の10Wアダプター(非USB PD)、RAVPowerの90W対応アダプター「RP-PC128」、MATECHの「SonicCharge 100W」、Appleの29Wの「USB-C Power Adapter」です。
実際に何Wで充電できたのかは下記の通りです。
- HPのノートPC用の45Wアダプター:48W
- 「Nintendo Switch」付属のACアダプター:40W
- 「Oculus Quest 2」付属の10Wアダプター:3W
- Matech SonicCharge 100W:60W
- RAVPower RP-PC128:60W
- Apple USB-C Power Adapter(29W):30W
実際の出力について
AC、DC、USB Type-A、USB Type-C(USB PD)と、いずれの出力も申し分なく、安定しています。スマホやタブレット、ノートPCを充電するのも全く問題ありません。私が気になっていたのは暖房器具や調理器具を使えるかどうかという点ですが、こちらもスペック通りの能力を持っているようです。
<▲写真:アラジンの「CAH-G42GA」で400Wモードにしたところ> |
アラジンの400Wのヒーター「CAH-G42GA」は全く問題なく動きましたし、非常時用に所有している190Wの調理器具「カシムラ ワールドクッカー3 TI-132」もACポートで問題なく使えました。クルマのシガーライターソケットからの給電で動く調理器具「直流炊飯器 タケルくん」も動きました。
<▲写真:「カシムラ ワールドクッカー3」も問題なく使えた> |
<▲写真:車中泊などで定番の「タケルくん」も使えた> |
これだけ動けば、車中泊用のポータブル電源としても活躍できると思います。
LEDライト
4W出力のLEDライトも搭載されていて、3モードで駆動します。「高輝度」「中輝度」「SOS」という3つのモードです。SOSモードでは点滅します。<▲写真:背面に「LEDライト」が搭載されている> |
かなり明るいので停電時にはちょっとした照明代わりに使えますし、アウトドアでも活躍すると思います。
総括
BigBlue Cellpowa500は文句無しに良いです。本当に良くできています。充放電サイクルも2,000回以上とされているので、相当長期間使えます。これだけ持つのなら非常時だけでなく普段から使っても全く問題ないでしょう。
ACポートも最大500W(ピーク1000W)対応なので幅広い家電製品が動きますし、USB Type-C PDポートも入出力対応で便利です。そして3ポート合計で最大216Wでの充電に対応している点も特筆すべき魅力です。