Androidニュース&アプリ情報メディア

日本HP、11インチ画面・3ピース型の2-in-1「HP Chromebook x2 11」を発売へ。21.5インチの製品も投入

日本HPは7日、Googleが開発するOS「Chrome OS」を搭載する「Chromebook」の新モデル2機種を日本市場に投入すると発表した。一つは11インチのディスプレイを搭載する2-in-1タイプの「HP Chromebook x2 11」、もう一つは21.5インチディスプレイ一体型の「HP Chromebase All-in-One Desktop」。

<▲図:「HP Chromebook x2 11」(カラーはWi-Fiモデルとセルラーモデルとで異なる)と「HP Chromebase All-in-One Desktop>

日本でも昨年来、Lenovoの2-in-1タイプのChromebook「IdeaPad Duet Chromebook」が大ヒット商品となり、その後、同タイプの製品「ASUS Chromebook Detachable CM3」がASUS JAPANからリリースされ、やはりヒットした。両製品に共通するのは、Chromebook本体はタブレットで、キーボード、スタンド機能付きの背面カバーが脱着式になっているという点。タブレット本体、キーボード、スタンドカバーの3点で構成される3ピース型の端末だ。

そして今回日本HPから登場するHP Chromebook x2 11も3ピース型の製品となっている。

<▲図:セルラーモデルのカラーは「ナチュラルシルバー&ナイトティール」>

本体はストレートのタブレットで、キーボードはマグネットで脱着可能で、ディスプレイを保護する役目も担う。タブレット本体にはスタンドはなく、脱着式のスタンド付き背面カバーをマグネットで本体背面に装着することで、背面を保護するとともにスタンドも使えるようになる。

パーツ構成は下記のYouTube動画の8分辺りの所から確認できる。


筆者はLenovo IdeaPad Duet Chromebookを愛用しているが(軽量化のレポート記事を参照)、個人的には3ピース型よりも本体にスタンドが内蔵されている「Surface Pro」や「Surface Go」シリーズの形式の方がシンプルかつトータルでの軽量化に繋がり、好ましいと思うものの、3ピース型にも利点はある。

<▲写真:「Lenovo IdeaPad Duet Chromebook」。前面にキーボード、背面に純正の「キックスタンド付きマグネットカバー」を装着した状態>

それはキーボードと背面カバーを外した状態での本体を軽くできることだ。とはいえ、例えば同じサイズ帯の「Surface Go2」と比べて軽いということもないので、判断は難しいところ。もちろんディスプレイサイズやバッテリー容量など異なる点は多々あるが、HP Chromebook x2 11の本体の重さは約560g、Surface Go2はWi-Fiモデルが544g、そしてLenovo IdeaPad Duet Chromebookに至っては450g。3ピース型については賛否両論あると思う。

3ピース全てをドッキングさせた状態での重さはHP Chromebook x2 11は約1.03kg、Surface Go2 + Signatureタイプカバーで約786g、Lenovo IdeaPad Duet Chromebookは約920g、ASUS Chromebook Detachable CM3は約915g。

<▲写真:「Lenovo IdeaPad Duet Chromebook」。本体同梱の「キックスタンド付きマグネットカバー」と「フォリオカバーキーボード」を装着した状態が左上。右上は本体と液晶保護フィルム、左下はキーボードのみ、右下はマグネットカバーのみ>

ディスプレイサイズはこれらのライバル機種の中で最も大きいし、実際の作業性も良いだろう、という事を考慮すれば、全ドッキング状態での重さの差は無視できるかもしれない。

また、HP Chromebook x2 11の大きな魅力の一つは、非常にスタイリッシュでカッコいいデザインを採用している点だろう。

<▲図:Wi-Fiモデルのカラーは「ナチュラルシルバー&シェイドグレー」>

<▲図:背面の「マグネティックキックスタンド」は最大で170度まで自由に角度を変えられる>

個人的にはLenovo IdeaPad Duet ChromebookやASUS Chromebook Detachable CM3よりもスタイリッシュで高級感が漂っていると感じる。それもそのはず、値段も高い。Lenovo IdeaPad Duet Chromebookと比べると、約2倍、実売価格では現時点では2倍以上だ。HP Chromebook x2 11にはWi-Fiモデルと、モバイル通信に対応するセルラーモデル(4G対応)が用意され、Wi-Fiモデルが82,500円(税込、以下同)、セルラーモデルが99,000円だ。

Lenovo IdeaPad Duet Chromebookのヒット要因は、製品そのものの良さに加えて低価格という点が挙げられると思うが、HP Chromebook x2 11は、Surface Goシリーズ並みの価格なので、少々手を出しにくいかもしれない。

しかし、高価な分、デザイン品質だけでなくスペックも高い。

CPUはQualcomm Snapdragon 7c、メモリはWi-Fiモデルが4GB、セルラーモデルが8GB、ストレージはWi-Fiモデルが64GB、セルラーモデルが128GB、ディスプレイはどちらも11インチ、解像度2,160 x 1,440ドットのIPS液晶。Lenovo IdeaPad Duet ChromebookやASUS Chromebook Detachable CM3と大きく違う点の一つがディスプレイで、HP Chromebook x2 11には縦横比3:2の11インチ液晶が搭載されているので、仕事や学生のレポート作成など、様々な作業はとてもしやすいはずだ。

また、Wi-FiはIEEE802.11ac 2x2 MU-MIMOまでサポートしているので、Wi-Fiの電波の掴みも強力だろう。

<▲図:キックスタンド装着時(スタンドを閉じた状態)

ChromebookはGoogle PlayからAndroidアプリをインストールできるため、特に本記事で紹介したHP Chromebook x2 11、Lenovo IdeaPad Duet Chromebook、ASUS Chromebook Detachable CM3の3機種はキーボードと背面カバースタンドを外せばタブレットになるので、AndroidタブレットやiPad代わりにもなる。それでいて、AndroidタブレットやiPadよりもPCに近い作業もできる。

2-in-1タイプのChromebookはタブレットとセミPCといった顔を持つ、非常に便利な製品なのでお勧めだ。

なお、発売は12月末までの予定とのことで、現時点では具体的な日にちまでは分かっていない。しかし、すでにHP公式サイトにて予約受付は始まっている。高価ではあるが、現状ではタブレットとしても使える2-in-1タイプのChromebookの選択肢はLenovo IdeaPad Duet Chromebook、ASUS Chromebook Detachable CM3と今回のHP Chromebook x2 11の3つしかないので、予約の殺到は十分に予想される。

なお、ChromebookではAndroidアプリに加えて、Linux向けのソフトウェアも使えるので、Linux用ソフトである程度補うこともできる。また、Chromebookをまだ使ったことがない方に向けた参考情報として、CPUパワーを判断する際、WindowsやMac、Androidの感覚で考えると実際のパフォーマンスは異なるので注意して欲しい。WindowsやAndroidでは実用レベルに達しないだろう低スペックのCPUでもChrome OSだと意外とまともに動く。Lenovo IdeaPad Duet Chromebookが、「MediaTek Helio P60T」に4GBメモリでも普通にストレスなく動くことはChromebook未体験の場合には想像しにくいと思う。

そして今回登場するHP Chromebook x2 11のパフォーマンスは明らかに上だろう。

また、HP Chromebook x2 11は、デンマークの老舗オーディオブランド「Band & Olufsen」エンジニアと共同でチューニングしたデュアルアップファイアリングスピーカーを搭載しているので、動画視聴用途などでも満足できそうだ。Lenovo IdeaPad Duet Chromebookは音に関しては必要十分レベルに留まっていて、悪くはないものの良くもない。

さらに日常利用で相当便利になりそうな機能もある。

HP Chromebook x2 11では電源ボタンに指紋認証センサーが搭載されているので、スリープ解除とロック解除を非常に素早くできて便利だろう。

もう一点Lenovo IdeaPad Duet Chromebookにはない魅力が、USB Type-C端子を2つ備えている点だ。Lenovo IdeaPad Duet ChromebookやASUS Chromebook Detachable CM3には1つしかない。筆者自身はChromebookで本格的な仕事まではしないので、実際には実用上不便を感じたことはないが、できれば2つあれば、と思わなくはない。

<▲図:「HP Chromebook x2 11」の入出力端子>

また、3.5mmオーディオ端子はHP Chromebook x2 11にも、Lenovo IdeaPad Duet Chromebookにもない。両製品の場合は、USB Type-C to 3.5mm変換アダプタを使えば一般的な有線ヘッドホン/イヤホンを繋げられる。ASUS Chromebook Detachable CM3には3.5mmオーディオ端子は装備されている。

しかし、Bluetoothヘッドホンやイヤホンを使う場合にはオーディオ端子の有無は気にならないだろう。

また、HP Chromebook x2 11は本体側面にマグネットで「HP ワイヤレスリチャージャブル USIペン」を装着することができるようになっている。ペン自体は別売りだが、普段本体にドッキングしておけるので便利だろう。一方、ASUS Chromebook Detachable CM3にはスタイラスペンが標準で付属し、本体に収納スペースも用意されているという魅力がある。

この3機種はそれぞれに魅力とそうでない部分があり、人によって好みが完全に分かれると思う。そしてHP Chromebook x2 11は製品としては相当ハイクオリティだが、Lenovo IdeaPad DuetやASUS Chromebook Detachable CM3の約2倍の値段なので、その点が最大のネックかもしれない。セールキャンペーンである程度安価になった時が最大の狙い目かもしれないが、セールがいつ行われるのかは当然全く分からない。

さて、HP Chromebook x2 11の話が長くなったが、日本HPは21.5インチのモニタ一体型のChromebook製品もリリースする。こちらも12月末までに発売予定。価格は96,800円だ。

<▲図:「HP Chromebase All-in-One Desktop」には日本語キーボードが付属する>

21.5インチ、フルHDのIPS液晶(10点タッチ対応)にコーン型スタンドで構成される製品で、コーンスタンド部にはスピーカーが内蔵され、ひずみの少ない自然なオーディオ品質でサウンドを楽しめるという。

<▲図:縦で使うこともできる>

また、ディスプレイは90度回転も可能なので縦表示にもできる。スタンドには3.5mmオーディオ端子、USB Type-C端子が2つ、Super Speed USB Type-A端子も2つ搭載されている。

<▲図:「HP Chromebase All-in-One Desktop」のスタンド背面>

Windows PCやMacほど本格的な仕事用途にはChromebookは現状では適さないと思うが、マルチアカウントでの利用にはとても適していて、データの扱いも楽なので、例えば家族複数人で使う予定で、できるだけ大画面が良いといった場合にはHP Chromebase All-in-One Desktopは適していると思う。

筆者自身、ChromebookはLenovo IdeaPad Duet Chromebookが初めてというビギナーだが、特に2-in-1スタイルのChromebookは非常に優れた製品だと思うし、初Chromebookにもベストだと思う。それだけに非常に優れたデザインかつ11インチ、3:2のディスプレイを持つHP Chromebook x2 11が登場するのは楽しみなニュースではないかと思う。

情報元、参考リンク
HP公式オンラインストア
日本HP/プレスリリース
Lenovo IdeaPad Duet Chromebook製品ページ
ASUS Chromebook Detachable CM3製品ページ

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:0 件