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実用レベルの13.3インチE Inkモニター「BOOX Mira」発売。25.3インチの「BOOX Mira Pro」は今年後半の予定

Android搭載E Inkタブレット「BOOX」シリーズを手掛けるONYX Internationalは、E Inkディスプレイ(E Ink社製の電子ペーパーディスプレイ)搭載のモニター製品「BOOX Mira」シリーズを発売した(※9月24日追記:日本向けに販売代理店SKTからも発売となった)。

<▲図:「BOOX Mira」シリーズ>

BOOX Miraシリーズには、13.3インチのE Inkディスプレイ(2,200 x 1,650ドット、207ppi)を搭載する「BOOX Mira」と25.3インチのE Inkディスプレイ(3,200 x 1,800ドット、145ppi)を搭載する「BOOX Mira Pro」の2機種がラインナップされ、まずはBOOX Miraから販売開始となっている。

<▲図:「BOOX Mira」。13.3インチはメインモニターとしても十分使えるサイズ>

<▲図:「BOOX Mira Pro」の使用イメージと背面端子部>

同社公式ストア「BOOX SHOP」ではBOOX Miraの注文はすでに可能で、販売価格は779.99ドル(本記事執筆時点の為替レートでは、約87,984円)。BOOX Mira Proは1,799.99ドル(約197,828円)。送料は本体価格に含まれていて、日本への発送も可能だ。ただし、BOOX SHOPでは支払い方法が「PayPal」しか対応していないので、PayPalのユーザーではない場合にはPayPalアカウントを作成/各種情報登録しておく必要がある。

BOOX Miraの出荷予定時期は9月下旬。そう遠くない内に入手できるだろう。一方、25.3インチのBOOX Mira Proは現時点では具体的な発売日は明かされていない。しかし、年内にはリリース予定とされている。

E Inkディスプレイについて

E Inkディスプレイは、電子ペーパーディスプレイの一つで、E Ink社が手掛ける製品。同社のE Inkディスプレイは非常に多くの電子書籍リーダー端末に採用されている。ONYXの製品では、電子書籍リーダー兼Android汎用タブレットである「BOOX」シリーズ、Amazonの「Kindle」シリーズ、そして筆者が最近感動した富士通の「クアデルノ」シリーズ(後日新型のGen.2をレビュー予定)、昨年来愛用している「Supernote」シリーズ、楽天の「Kobo」シリーズなど、数え上げればキリがない。

E Inkディスプレイは液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのようにバックライト等の発光がないので、非常に目に優しい。近年の製品は暗い場所でも見えるようにフロントライトを搭載する端末が多いが、フロントライト自体がバックライトよりも目に厳しくないし、そもそも明るい場所では普段はフロントライトをオフにして全く問題ない。

しかし、E Inkディスプレイには長年抱える厄介なネックがある。それは書き換え速度、描画速度の遅さ、そして残像だ。

そのため、PC用モニターとして実用に耐えられる製品の数は極めて少ない。DASUNGがONYXに先行してモニター製品やタブレット兼モニターをリリースしているくらいだ。ちなみに筆者が所有する「Lenovo Yoga Book C930」も2019年後半リリースのE Inkファームウェアとソフトウェアのアップデートによって、Windowsのクローンモードが搭載され、E InkディスプレイでWindowsを動かすことが可能になったが、動作は緩慢。それでも、Windowsの様々なソフトウェアがE Ink上で手軽に表示されるのは感動だし、じっくり資料を閲覧するなどの用途には全く問題ないのでYoga Book C930も良い製品だ。

<▲図:「Yoga Book C930」はE Inkファームウェア及びアプリのアップデートがリリースされ、Windowsのクローンモードが実装され、E Ink側にWindowsを表示/操作できるようになった>

<▲図:単独でE Ink - Windows PCとして使えるコンシューマー製品はYoga Book C930(ファームウェアアップデート後)が初かもしれない。遅くとも用途次第では使える>

話が逸れたが、今回登場するBOOX MiraシリーズはPC向けのメインモニターとして実用に耐えるリフレッシュ速度を実現している点、残像低減、そして大型のE Inkディスプレイを搭載する点が最大の魅力だ。前述のDASUNGも今年12月に25.3インチの「Paperlike 253」を出荷予定(すでに予約販売中)。

日本市場での販売に関してはBOOXシリーズの販売代理店を務めているSKTが今後行うかもしれないので、それを待つのも一つ。SKTはAmazonでのストアやYahoo!ショッピングでも通常は販売するので、同社次第ながら購入先はいくつか選べるようになると予想される。


BOOX Miraシリーズの概要

BOOX Mira

<▲図:13.3インチの「BOOX Mira」。カバーを外した状態>

BOOX Miraは、13.3インチ、解像度2,200 x 1,650ドット(207ppi)のE Inkディスプレイを搭載し、タッチパネルも備えているので、タッチ操作も可能だ。

<▲図:「BOOX Mira」にはタッチパネルも搭載されているので、タッチ操作もできる。「Surface」シリーズなどWindows 2-in-1でタッチ操作に慣れた方には便利なはず>

フロントライトも備えているので、暗い場所でも使える。もちろん、日中など明るい場所ではフロントライトをオフにする方が個人的には最も目に優しく良いと思う。

<▲図:フロントライト搭載なので暗い場所でも使用できる>

入出力端子はMini HDMI、USB Type-C(2つ)で、背面にはVESAマウント穴(75 x 75mm)も設けられている。

<▲図:「BOOX Mira」シリーズのボタンなど。下段は「BOOX Mira」の右側面の端子>

本体サイズは約308.4 x 231 x 8.0mm(最薄部は5.6mm)で、重さは約590g。

パッケージにはBOOX Mira本体の他、スタンド代わりになるマグネティックケース、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、クイックスタートガイド、保証書が同梱される。

<▲図:「BOOX Mira」に「マグネティックケース」を装着した状態。折り畳みスタンド搭載>

映像入力はHDMIとUSB Type-Cの2系統に対応しているので使いやすいだろう。

<▲図:「BOOX Mira」の使用イメージ。カバー装着状態>

<▲図:「BOOX Mira」の使用イメージ。カバー装着状態を裏側から見たもの>

また、BOOX Miraシリーズ向けにはWindows PC、Mac用の「Mira Software」が用意される。このMira Softwareをインストールし、適宜リフレッシュモードを切り替えたり、細かくリフレッシュ速度やコントラスト等を調整することで、自分の使い方に適した状態に仕上げられる。例えば、動画視聴も実用十分なレートで表示可能だが、それはリフレッシュモードを「Video Mode」にしたときの話。他にも「Normal Mode」「Text Mode」「Slideshow Mode」がある。単に4つのモードを切り替えるだけでなく、前述したように細かな設定を任意で調整することもできる。

本体前面の右下と右側面にはE Ink特有のネックである「残像」を消すためのリフレッシュボタンも用意されている。

なお、BOOX Miraシリーズは、あくまでもモニターであり、BOOXシリーズの他の製品のようにAndroid OSを搭載して単体利用するようなことはできない。13.3インチのBOOX Miraに関してはAndroidタブレットである「BOOX Max Lumi」に搭載されたHDMI入力を使ったセカンドモニタ機能のみを抜粋した製品、逆にいえばAndroidタブレット部分を省いた製品と捉えそうになるかもしれないが、モニタ利用の性能に関しては明らかに段違いのようなので、モニタ機能を重視するならBOOX Max LumiよりもBOOX Miraを選択すべきだろう。

また、BOOXシリーズにはアプリを入れてワイヤレスでセカンドモニタ機能を使うこともできるが、もちろん、それらと比べてもハードウェアとして対応するBOOX Miraシリーズのそれは圧倒的に上に見える。

ただし、注意したいのは、E Inkディスプレイの解像度は2,200 x 1,650ドット(207ppi)だが、Windows PCやMac用のメインディスプレイとして実用レベルで使うには、Windowsの場合には1,400 x 1,050、Macの場合には1,600 x 1,200などでの動作が推奨されている点だ。リフレッシュ速度を上げると、どうしても画質が粗くなるためだろう。もちろん、静止状態が多いなど、用途によっては解像度を落としたりスケーリングを必要以上に大きくする必要はないかもしれない。その辺りも含めて人それぞれ設定が変わってきそうだ。

<▲図:システム対応表>



BOOX Mira Pro

持ち運びも可能なサイズのBOOX Miraと違い、25.3インチのBOOX Mira Proは完全に据え置き型のモニターだ。

<▲図:25.3インチの「BOOX Mira Pro」>

パネルサイズは約594.2 x 349.2 x 26.5mm(最薄部は11mm)、重さは約2.75kg、スタンドのサイズは約222 x 152 x 380mmで、重さは約2.73kg。パネルとスタンドを合わせた重さは約5.48kgだ。

<▲図:「BOOX Mira Pro」の使用イメージ>

一目で分かるように一般的なPC用モニターと同スタイルの形状。しかし、デザインは非常にシンプルでスタイリッシュだ。

背面にはBOOX Mira同様、VESAマウント穴(75mm間隔)が設けられているので、市販のモニターアームなどに変えることもできる。

<▲図:「BOOX Mira Pro」の背面には75mm間隔のVESAマウント穴が設けられている>

また、付属のスタンドでは最大40度までのチルト調整、最大5cmの高さ調整、90度回転(ピボット)にも対応している。

<▲図:「BOOX Mira Pro」はチルト、高さ、回転(ピボット)対応>

25.3インチと大型のE Inkディスプレイを搭載するBOOX Mira Proには、Mini HDMI入力端子に加えてフルサイズのHDMI入力端子も搭載される。一方で、USB Type-C端子は1つ。他には、DisplayPort端子と電源アダプタ用端子が搭載されている。

また、デュアルスピーカーを搭載している。

なお、BOOX Miraシリーズの挙動を確認したい場合は、YouTubeにいくつかのレビュー動画がすでに上がっているので、それらが参考になるはずだ。日本での利用の場合には、日本語入力の変換候補の表示速度なども気になると思うが、中国語の場合も変換処理が入る点で同じなので参考になりそうだ。

まず、下に掲載した発表会「Onyx BOOX New Product Launch」の動画では45分辺りから実際のデモの様子がまったりと収められているので、リフレッシュ速度をある程度確認できる。


次の動画ではパッケージ、本体、スマホやWindows PC(Surface Pro)を繋いだ状態での表示性能を確認できる。Windows用のBOOX Mira Softwareの設定画面等も映っている(中国語)。15分20秒辺りからはタイピングの様子も収められている。


次の動画ではMacと繋いだ状態のBOOX Miraの表示クオリティを、Mac用のBOOX Mira Softwareを使ってカスタマイズする様子が収められている。


筆者も含めて慢性的な眼精疲労や偏頭痛に悩んでいる方にとっては、その対策として有力候補の一つになるのではないかと思う。

情報元、参考リンク
BOOX Shop/BOOX Miraシリーズ製品ページ
BOOX SHOP
SKT
Amazon.co.jp/BOOX Mira

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