<▲図:「SIMロックの原則禁止」について> |
例外的にSIMロックを掛けるには、その理由が正当かつ背景や目的などを説明した資料を事前に総務省に提出し、確認を得ることなどが必須となっている。しかも、SIMロックが許可されたとしても、通信キャリアはその事実を一般消費者に周知徹底する必要がある。
周知もカタログやWeb上の製品ページで提示するだけでなく、言葉通りの徹底が必須とされている。具体的には、テレビ広告(CM)、インターネット広告などの手段を活用するなど積極的な周知及び情報発信によってユーザーが確実に理解できる取り組みを行うことが求められている。すなわち、Webサイトやカタログ上でSIMロックを示すマークを表示する程度では不十分だということになる。
SIMロックを掛けることによって通信キャリアには余計なコストが発生することになりかねないこともあり、基本的にSIMロックを掛けた状態での端末販売は終了することになりそうだ。ただし、改正ガイドラインの適用は10月1日なので、もう暫く先のことではある。
例外は他にもある。モバイル通信が可能な機器といってもホームルーターについては対象外となるようだ。
その基準は「汎用性」で、スマートフォン、タブレット、フィーチャーフォン(ガラケー、ケータイ)、モバイルWi-Fiルーター、USBモデムは汎用的に通話/通信を行うことのできる端末とされ、今回のSIMロック原則禁止の対象機種だが、ホームルーターのような据え置き型の機器の場合には汎用性が高いとはいえず、SIMロックもしくは何らかの機能制限を掛けても構わないようだ。
また、9月末までに発売される機種については何らかの変化があるのか? というと、基本的には改定前のガイドラインの規定に従い、販売時の対応としては、一括払いの場合にはSIMロックを解除した状態で販売し、分割払いの場合には「信用確認措置」を行った場合にはSIMロックを解除した状態、行わない場合にはSIMロックを掛けた状態でも構わないとされている(※正確には販売時期が9月末までと10月以降では若干規定が異なる)。
「信用確認措置」とは、割賦代金の不払い行為等が行われる恐れが低いことを確認できる措置のことで、具体的には、割賦払いの2回分に相当する額以下の保証金の支払いを求めること、または2回分の前払いを求めること、クレジットカードや口座振替等の自動的な支払方法の設定を確認することなどとされている。
そして、今後はSIMロックが掛かった製品について、無料で手軽にSIMロックを解除できるようにしたり、ロックの有無を手軽に確認できる方法を用意する必要もある。
具体的には、9月末までに販売/発売された機種のうちSIMロックが掛かった端末について、11月1日以降はユーザーがインターネットや電話による簡易な方法でロックの有無を確認できる手段が提供されなければならない。加えて、10月以降はSIMロック解除手続きを無料で受け付けることも義務化される。さらに、Webサイトで行うSIMロック解除手続きに関しては、来年5月1日からは受付時間を制限せずに24時間受付とすることが義務化される。現在はSIMロック解除手続きは24時間対応ではないので、ユーザーが思い立った時に解除手続きを進められないことがある。また、解除完了までに時間が掛かる場合であっても、少なくとも翌日までには処理を完了させることも求められる。
ガイドラインを読むとかなり細かく規定されているので、しばらくの間はユーザーにとってもやや複雑で分かりにくい状況が続くと思うが、いずれにしても「SIMロック」が過去にものになることは確実で、SIMロックの有無を確認したり、解除することに気を遣う時代は終わることになる。
<編集後記>
返信削除SIMロックやSIMフリーという言葉は、SIMフリーが一般的になってしまえば意識することすらなくなるでしょうから、来年の今頃にはすっかり使われなくなりそうな感じですね。