グーグルは10日、広告配信プラットフォーム「Google Adsense」において、米国税務情報の入力を促すメッセージの表示を始めた。一見、米国の税務情報の入力は日本人にとっては無関係に思えるが、非常に大きな内容なので、Google Adsenseを導入しているWebサイト運営者、「YouTube」で収益を得ているYouTuber、Google Playで何らかのコンテンツを配信して収益を上げている方は基本的に入力が必須だ。
本記事はAndroid、スマホとは基本的に関係のない話題だが、今ではブログ、YouTubeは誰でも手軽に公開できることもあり、そこに広告を導入している個人も数多いと思う。そのような場合にはとても重要だ。
というのも、本来であれば条約による優遇措置として米国での源泉徴収は0%に抑えられるはずなのに、未登録状態のままであれば、2021年6月以降の収益からは、その全体に対して一律で24%が源泉徴収となる場合があるからだ。
日本のユーザー向けのWebサイト、YouTube 動画、Google Playのコンテンツであっても米国のユーザーが視聴等の行為によって収益をもたらす可能性はある。Webサイトの場合は基本的に日本語なので米国のユーザーが閲覧する機会は少ないと思うが、米国在住の日本人や米国人であっても日本の情報を求めている方は閲覧しているかもしれない。YouTubeの場合はより顕著で、日本人向けの動画であっても海外や米国で再生数が伸びることは多々あるはずだ。
そのように米国からの収益が発生する場合があるため、Googleとしては対象となる収益に対しては源泉徴収する必要があり、米国の内国歳入法第 1441 項(第 3 章)および第 3406 項の義務を遵守するため、米国税務情報の入力を案内している。この情報を入力することで、Googleは正しい源泉徴収税率をコンテンツパブリッシャーに対して掛けることが可能になる。
そして前述したように、入力されなかったパブリッシャーの収益に対しては一律で全体収益の24%が源泉徴収されてしまう。これは、仮に全体収益の99%が日本のユーザーがもたらしたものであり、米国からの収益分が1%だったとしてもだ。それこそ他の国のユーザーからの収益が含まれていようが、区別なく、全体収益に対する24%が徴収される。一方で、正しく入力・設定すれば、日本と米国は所得税に関する租税条約が締結されているため、源泉徴収税率は0%になる。ただし、コンテンツパブリッシャーによっては、米国での活動がある場合もあるかもしれないので、入力内容も条件も異なってくるかもしれない。いずれにしても、各自Google お支払いセンターのヘルプページを参照するなどして対応する必要がある。
繰り返しになるが、通常、日本を軸にコンテンツを提供している場合は、優遇措置で源泉徴収税率は0%に設定できる。
入力操作自体は、Google Adsenseのメニュー→「お支払い」→「設定」→「設定を管理する」→「アメリカ合衆国の税務情報」から行うことができる。入力フォーム内の説明は全て日本語だが、一般人にとっては馴染みのない言葉も多く、分かりづらい部分も多い。
例えば、個人の場合、最初に「個人」を選び、「米国民であるか、米国に居住していますか?」を「いいえ」に、そして「W-8BEN」という納税申告用紙タイプを選んで入力ステップを進めていくことになる。また、氏名や市区町村以下の住所は英語表記、租税条約下での軽減税率の項目では適用に関してのチェックボックスを「はい」に、「特別な料率や条件」の項目では該当部分のチェックボックスにチェックを入れて、0%を選ぶ。途中、「納税者番号」を入力する段階では、個人の場合には「外国のTIN」欄にマイナンバーを入力する必要もあるので、手元にマイナンバーカードもしくは通知カードを用意しておこう。
万一入力を間違えて送信してしまった場合でも、最初から入力をやり直すこともできる。
源泉徴収が始まるのは6月からなので、基本的には5月末までに入力を終えておく必要がある。しかし、仮に遅れた場合でも入力完了以後の対象収益からは入力した税率での源泉徴収となるようだし、年末までに入力した場合には状況次第では源泉徴収額の一部または全てが返金される可能性もあるという。とはいえ、早めに忘れずに行っておく方が無難であることは間違いない。
なお、本記事の内容を参考に入力した結果何らかの不備が生じてもその責任を負うことはできない点は了承して欲しい。記載した入力例は、あくまでも参考程度に留めて、各自ヘルプを参照して入力して欲しい。入力内容は個人、企業、団体等によって異なるからだ。ちなみにヘルプは最初に「YouTube ヘルプ」から閲覧することを勧めたい。そちらの方が最初に読む文章としては分かりやすくまとめられているからだ。
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<編集後記>
返信削除本件については他にも具体的な入力例を紹介するサイトやYouTube動画も出てきているみたいですから、それらも参照して頂ければと思います。日本でも税金を納め、米国でも税金を納め、となると余計に徴収される形になりますから、設定しておくことをお勧めします。