メインブランドである「SoftBank(ソフトバンク)」、サブブランドである「Y!mobile(ワイモバイル)」、そしてMNO(移動体通信事業者)品質の通信サービスとして誕生する新たなブランドコンセプト「SoftBank on LINE」を基に誕生予定の新ブランド、それら計3ブランドで新しい料金プランを提供する。
<▲図:ソフトバンクの「メリハリ無制限」プラン> |
簡単にいえば、ソフトバンクでは4Gと5Gに両対応する「メリハリ無制限」というデータ量無制限で月額6,580円のプランを用意。ワイモバイルではデータ量が3GB・月額1980円の「シンプルS」、同10GBで2,980円の「シンプルM」、同20GBで3,780円の「シンプルL」が用意され、新ブランドでは20GBで月額2,980円のプラン「LINEがギガノーカウント」が登場する。なお、ワイモバイルも新ブランドも、前述のプランは4G/5G共通プランとしての提供となる。
<▲図:新ブランド「SoftBank on LINE」のプラン> |
先日発表されたNTTドコモ(以下、ドコモ)の新料金プラン「ahamo(アハモ)」(こちらの記事参照)や「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」(こちらの記事参照)に対抗する形となる内容で、ドコモはこれら3プランをドコモブランドで扱う一方、ソフトバンクは3ブランドで対抗する。とはいえ、ahamoは、従来プランとは扱いが異なり、切り替えには若干の手間が生じる上、オンライン申込限定などの細かな制約があるので、実際のところはソフトバンクとそれほど大きな違いはないと言ってもいいかもしれない。
少々ややこしいのは、「SoftBank on LINE」はブランドコンセプトであってブランド名ではないという点。最終的な正式ブランド名・サービス名は後日お披露目されるものと予想される。そのため、ひとまず本記事では以降、単に「新ブランド」と記したい。
この新ブランドはサブブランドとはいえ、現行の「LINEモバイル」のようなMVNO品質ではなく、MNOとしてのソフトバンク及びワイモバイルと同一品質のサービスになるという。通信速度の面で妥協する必要はないわけだ。
<▲図:新ブランドの通信品質はMNOと同一> |
また、ドコモのahamoがオンライン受付限定、店舗でのサポート無しという点と同様、新ブランドもオンライン限定での受付となる。加えて、LINEアプリからの申し込みも可能にするという。
3ブランドでの新料金プランの発表ということで、やや混乱してきたかもしれない。
しかも、データ量無制限の「メリハリ無制限」やワイモバイルの3GB・1,980円の「シンプルS」には特に疑問は生じないと思うが、ワイモバイルの「シンプルM」「シンプルL」と新ブランドの「LINEがギガノーカウント」については、内容も料金も完全に被るので、どのような違いがあるのか気になると思う。
単純に月間データ通信量と国内音声通話の扱い、月額料金だけで比較すると下記の通りだ。
- ワイモバイル、シンプルM:10GB、無料通話なしで30秒あたり20円、2,980円
- ワイモバイル、シンプルL:20GB、同上、3,780円
- 新ブランド、LINEがギガノーカウント:20GB、5分以内国内通話は何度でも無料、2,980円
しかも、新ブランドでは、現行の「LINEモバイル」と同様で「LINE」アプリのデータ通信量はカウントされないので実質的にはLINEは使い放題だ。明らかにワイモバイルの「シンプルM」「シンプルL」よりも新ブランドの方が良いように見える。
結局大きく異なるのは、実店舗での申込受付やサポートの有無だ。ワイモバイルのプランは、従来通り、店舗でもオンラインでも申し込みができるし、サポートも受けられるが、新ブランドは完全にオンライン限定なので、WebサイトやLINEアプリからしか申し込めないし、店頭でのサポートも無い。
また、新ブランドでは「@softbank」のメールアドレスのキャリアメールが提供されないといった違いもある。海外におけるローミングサービスについても現状では対応可否が明らかにされていないなど、細かな点でソフトバンク、ワイモバイルとは異なる形となりそうなので、注意は必要かもしれない。とはいえ、ドコモのahamoも従来プランとは細かな点で違いがあるので、同じようなイメージではある。
いずれにしても、ahamo同様、オンライン申込やオンラインサポートだけで十分だという方を対象としたサービスなので、その点は注意して欲しい。
以下、3ブランドの料金プランをもう少し詳しく紹介したい。
<ソフトバンク>
ソフトバンクが新たに提供するのは月々のデータ通信量が無制限の「メリハリ無制限」プランで、4Gと5Gどちらにも対応する共通プランだ。
スマートフォン/タブレットなど自身での通信は無制限だが、テザリングに関しては月間30GBまでなので、例えばソフトバンクのスマートフォンをルーター代わりにして(テザリング機能の利用)、固定回線のようにパソコンやゲーム機で通信し放題といった使い方はできない。
音声通話は国内通話は30秒あたり20円での従量課金となる。要するに無料通話分は含まれていない。
提供開始時期は2021年3月の予定で、料金は通常6,580円。
また、仮に使用データ量が少なく、3GB以下だった場合には、その月は1,500円引きされる。
<▲図:割引適用も可能> |
割引適用も可能なので、条件が合えば更に安くできる。「新みんな家族割」と「おうち割 光セット」を適用可能で、「新みんな家族割」は2人の場合は600円引き、3人だと1,100円引き、「おうち割 光セット」は1,000円引きだ。最大限適用すると月額4,480円にまで下げられることになる。さらに、「SoftBank学割」の併用も可能とされているので、若い方は相当料金を下げられるかもしれない。ただし、学割の割引額については現時点では未定とのことで、発表まで待つ必要がある。
<ワイモバイル>
ワイモバイルもソフトバンクの「メリハリ無制限」プランと同様、4G/5Gの共通プランとして新しい料金プランが用意された。「シンプルS」「シンプルM」「シンプルL」で、前述したように、データ量・料金は順に、3GB・1,980円、10GB・2,980円、20GB・3,780円だ。提供開始時期は2021年2月の予定。
<▲図:ワイモバイルでは小中容量のプランを用意> |
音声通話は無料通話分は含まれないので、国内通話は30秒あたり20円での従量課金となる。
ワイモバイルのプランも全く割引を適用できないということはなく、「家族割引サービス」か「おうち割 光セット(A)」のどちらか一方を適用できる。両方の同時適用はできない。しかし、学割は別で、「ワイモバ学割」は対象者であれば併用できる。ただし、割引額については今回の発表時点では明らかにされていないので、もうしばらく待つ必要がある。
<「SoftBank on LINE」コンセプトの新ブランド>
まず、本サービスについてはソフトバンクグループにおける体制変更から説明する必要がある。現在、MVNOとして、他社から回線インフラを借り受けて通信サービスを展開しているLINEモバイルだが、運営会社のLINEモバイル株式会社にはソフトバンクとLINEが出資している。そしてそのLINEは2021年3月1日付けでヤフーの親会社であるZホールディングスと経営統合する。それを機に、LINEモバイルはソフトバンクの100%子会社化になる予定だ。
結果、ソフトバンクは、ソフトバンク、ワイモバイルに加えて新ブランド、3つの通信ブランドを直接抱える体制に移行する上、現行のMVNOのサービス「LINEモバイル」も継続提供する。ただし、現行のLINEモバイルのサービスへの新規受付終了がどうなるのか、という点に関しては今後の協議となる。ただし、前述したように、現行サービスは新ブランドのサービスが登場以降も継続提供されるので、既存ユーザーは心配しなくても大丈夫だ。
新ブランドのサービスの詳細はまだ分かっていないものの、少なくともMNO品質の通信サービスになるということで、一般的な格安SIM/スマホサービスとはその点で全く異なるサービスだといえる。
そして料金プランは、ひとまず「LINEがギガノーカウント」が提供される予定で、月額2,980円だ。
ソフトバンクやワイモバイルと同様、4G/5G共通プランとなるので、5Gも利用できる。さらには物理SIMカードが不要でオンラインで情報の書き換えができる「eSIM」に対応する。
データ通信量は月々20GBで、音声通話は国内通話が1回5分以内なら何度でも追加料金なしで利用できる。1回5分を超えた分については30秒あたり20円かかる。
そして、気になるオンライン申込限定という点だが、前述したように公式Webサイトのほか、LINEアプリからもできるようになるという。さらに、契約後のサポートについてもオンラインチャットなどを中心に対応するという。
【情報元、参考リンク】
・ソフトバンク/「メリハリ無制限」に関するプレスリリース
・ソフトバンク/ワイモバイルの新プランに関するプレスリリース
・ソフトバンク/「SoftBank on LINE」に関するプレスリリース
・ソフトバンクオンラインショップ
・ワイモバイルオンラインストア
・LINEモバイル