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ソフトバンクが唾液PCR検査のための新会社設立。グループ4万人規模で検査実施へ。将来的には自治体・法人向けに実費負担だけで検査提供へ

ソフトバンクグループは29日、新型コロナウイルス検査のための検体を安全に採取できる唾液PCR検査を低価格・高頻度で提供することを目指す新会社「新型コロナウイルス検査センター株式会社」を設立したと発表した。

新型コロナウイルスが日本でも猛威を振るい始めてから、同グループを率いる孫正義氏は久方振りにTwitterでのツイートを度々行うようになり、様々な対策及び支援活動などの取り組みを明らかにしてきた。中でも今回はさらに本格的な動きだ。

新会社となる新型コロナウイルス検査センターは、PCR検査を高頻度で実施することによってクラスターの抑制や、新型コロナウイルスの早期発見及び拡大防止に関する効果がどれほどあるのか検証することを目的とする共同研究を国立研究開発法人 国立国際医療研究センターと共に進めるための協議を行っている。

まずは国立国際医療研究センターの協力を得て、ソフトバンクグループの従業員を対象に、唾液を用いた新型コロナウイルスのPCR検査を試験的に開始し、その後はプロ野球チームである福岡ソフトバンクホークスの選手への検査も提供していくという。

様々なプロスポーツがシーズンを開始し、試合を行い始めているが、選手の中からも新型コロナウイルスへの感染例が出ており、野球だけでなく全ての競技で全選手へのPCR検査の需要が高まってきている。また、一般人でも自己負担でPCR検査を受ける方が増えてきており、国内全体でのPCR検査への需要が高まる一方だ。

それだけにソフトバンクグループだけでなく、様々な企業や団体が検査体制拡充に動くというのは非常に重要なことだ。

ソフトバンクグループが設立した新型コロナウイルス検査センターでは、前述したように、まずは検査数を増やすことでクラスターの抑制に効果があるか、拡大防止に効果があるか、といったことを検証していくようだが、将来的には希望する自治体や法人などへの検査サービス提供に向けた環境整備も進めるという。しかも、実費負担だけでの提供を予定しているとのことで、仮に利益が出た場合には医療機関などへ寄付をする。

医療機関によっては自費負担でのPCR検査を提供しているところがあるため、ソフトバンクの新型コロナウイルス検査センターによるサービス提供料金の妥当性はそれらとの比較によって判断できるだろう。実際、少なくとも同社では低価格での提供を目指すとしているため、高い料金設定にはならないと考えられる。

効果検証に向けた唾液PCR検査の実施対象は、最初はソフトバンクグループの従業員だ。

同社ではすでに取引先などに所属する者も含めた44,066人を対象に抗体検査は行っている。6月9日に公表された結果は、各局のテレビニュースや大手新聞各紙でも報じられたので、ご存知の方も多いだろう。今回は抗体検査ではなく唾液PCR検査なので、検査時点で新型コロナウイルスに感染している人間がどれくらいいるのかが分かる。検査人数が多いので、統計データとして活用できる重要な情報になるはずだ。唾液PCR検査自体の精度なども見えてくるだろうし、抗体検査結果との比較検証で分かってくることもあるはずだし、グループ内のどのような職種、職場環境において感染率が高いか、といったことも見えてくるだろうし、性別や年齢層による違いなどの情報も貴重だ。

何より検査規模が約4万人という点が肝だ。新型コロナウイルスの脅威にさらされ始めてから早数ヶ月が経過したが、それほどの規模のまとまった統計データは日本では中々出てこない。放っておいたら年を越してもまともな大規模データは集まりそうにない。それだけに今回の動きは貴重だし、同じ人間に定期的に複数回検査を行うことが可能であれば、さらなる新事実も見えてくるかもしれない。

また、ソフトバンクグループでは抗体検査と唾液PCR検査を組み合わせた自主検査をグループ全社員に徹底することで、社員の感染リスクを低減し、安心して働ける社内環境を整備していきたい、としている。

【情報元、参考リンク】
ソフトバンクグループ/プレスリリース

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