<▲図:スマホ定期券のイメージ> |
「スマホ定期券」は、スマートフォンだけで手軽に定期券を購入して乗車もできてしまう、というサービスだ。
現在、JR東日本では首都圏や仙台・新潟などのエリアにおいて「モバイルSuica」を使うことで窓口に行かずに定期券を購入できるサービスを提供している。
ところが、Suicaなどの交通系のICカードが導入されていない路線/地域においては、依然として定期券購入の際には販売窓口のある駅まで足を運ばなければならない。窓口のある駅がせめて家から近ければいいが、遠い場合には大変であり、社会問題の一つとも言われている。
しかし、今回、JR東日本はウェルネットと連携して「スマホ定期券」を開発。
駅の窓口に行かずとも、スマートフォンだけで定期券を購入できて乗車時にはスマートフォンの画面を改札で提示(見せる)するだけでいい。購入時の代金支払い方法はクレジットカードのほか、コンビニ支払いや金融機関のATMなど複数の方法に対応する。
<▲図:購入の流れ> |
早期導入が期待されるサービスだが、まずは一部の路線に試験的に導入し、運用面での課題などを洗い出す。
実証実験は今年の9月1日から来年の3月31日まで行われる予定で、対象路線/区間は下記の通りだ。
- 水郡線:矢祭山~磐城守山間
- 奥羽本線:大石田~真室川間
- 陸羽東線:新庄~最上間
- 陸羽西線:新庄~古口間
- 気仙沼線 BRT:柳津~気仙沼間
- 羽越本線:本楯~西目間
- 上越線:越後湯沢~浦佐間
- 小海線:清里~小諸間
- 飯山線:豊野~森宮野原間
なお、今回のモニタリング実験での対象となる定期券の券種は高校生向けの通学用定期券(1か月、3か月、6か月)のみとなっている点には注意が必要だ。
「通学証明書」の提出をどのように行うのかも気になるところだが、スマートフォンを使って資格確認情報を入力し、本人確認用写真を撮影し、画面表示を行うことで代替するという。窓口へ通学証明書を持参・提出する必要はない。
一方、乗車時の定期券の使用方法については非常にシンプルで、アプリを使って画面に定期券を表示し、改札で提示するだけだ。
画面表示だけと聞くと、あまりに簡単に偽造できてしまうように感じるが、もちろん対策されている。静止画、動画による複製対策機能が導入されている上、友人同士の貸し借りができないように券面画像に顔写真が表示されるようにもなっている。
また、定期券の有効期間が過ぎると、画面への表示もできなくなる。
Suicaを導入すればいいのでは? とも思うが、おそらく導入コストは「スマホ定期券」の方が圧倒的に低いはず。それでいて十分便利に見える上、導入にかかる期間も短く済むだろう。サービスの運用面で大きな課題が生じなければ、早く広まるかもしれない。
【情報元、参考リンク】
・JR東日本/プレスリリース(PDF)