<▲写真:Speed Wi-Fi NEXT W06> |
UQコミュニケーションズが提供する通信サービス「WiMAX 2+」に対応したモバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W06」を今回はご紹介したい。W06はWiMAX 2+とau 4G LTEの2つの通信方式を同時に使うことでダウンロード(「受信時」「下り」と表記することも多い)最大1.2Gbpsに対応する超高速ルーターでもある。
外出先でノートPC、タブレットなどの端末でインターネットを利用するには、カフェなどの人が多く集まる場所なら無料のWi-Fiサービス(公衆無線LANサービス)を利用するという手もある。しかし、公衆無線LANサービスには、スマートフォンのWi-Fiテザリング機能のように料金プランで定められた通信量を気にせずに利用できるというメリットがあるものの、問題点が2つある。
ひとつは、通信速度がモバイル回線よりも遅いケースが多いことで、もう一つはみんなで一つのネットワークに接続することに起因するセキュリティーリスクだ。
公衆無線LANは、サービス事業者が提供する通信回線をみんなでシェアするため、接続する人数に応じてレスポンスが変化する。例えばゲームをプレイしようにも、混雑時にはゲーム起動のログインチェックのためだけに数分待たされることもある。それならモバイル回線を利用した方が快適だ。
セキュリティーリスクは、例えばネットワークの共有フォルダが閲覧される懸念、通信をモニタリングしてデータを読み取られる懸念などがある。基本的にはセキュリティソフトや暗号化通信でそうしたリスクを回避できるが、業務で利用するのはできれば避けたい。
そこで便利なのがWiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーターだ。
自分が使用する機器だけをネットワーク上に繋いでおける安心感と、大容量の通信が可能であるためノートPCとの相性が良い。もちろんスマートフォンの通信量を節約するために、ゲームアプリやYouTubeなどの動画視聴の際にはWiMAX 2+対応モバイルWi-Fiルーターに繋ぐというのも良いだろう。
スマートフォンのテザリング機能との大きな違いは、WiMAX 2+のサービス及び料金プランにあり、大容量通信をしやすい条件となっている。ノートPCやタブレットではスマートフォンよりも通信量が大きくなりがちなので、WiMAX 2+はとても適している。
そして今回紹介するSpeed Wi-Fi NEXT W06は、WiMAX 2+対応モバイルWi-Fiルーターの最新モデルで、超高速通信に対応しているのが大きな特徴だ。
早速チェックしてみよう。
<Speed Wi-Fi NEXT W06の概要>
まずは機器の概要から。先ほども触れたようにSpeed Wi-Fi NEXT W06はWiMAX 2+とau 4G LTEに対応したモバイルWi-Fiルーター。
通信モードが2つあり、「ハイスピードモード」ではWiMAX 2+のみに繋ぐ。「ハイスピードプラスエリアモード」だとWiMAX 2+とau 4G LTEの両方の電波に繋ぐ。通信速度は、ハイスピードモードでは受信時最大で558Mbpsだが、ハイスピードプラスエリアモードだと最大1,237Mbps。これは理論的最大値であって、実際にその速度が出るわけではない。また、上り(送信時)速度は最大で30Mbpsだ。ハイスピードプラスエリアモードだと最大75Mbpsとなる。
<▲写真:W06の画面では通信量の確認もできる> |
詳しくは後述するが、基本的にはハイスピードモードでの運用を勧める。ハイスピードプラスエリアモードに切り替えて通信を行うと、その瞬間にその月のデータ通信量の上限が7GBに切り替わってしまうからだ。これはW06に限らない話だが、注意が必要な点だ。
<▲写真:通信モードの切り替えは端末だけで手軽に行える> |
また、Speed Wi-Fi NEXT W06はアンテナ性能が向上しており、「高性能ハイモードアンテナ」によって電波を掴みやすい。
Wi-Fiに関しても「TXビームフォーミング」という機能によって、場所が定まらない端末(移動の多い端末)、ノートPCやスマホなどでも都度位置を検出して、その端末に向けてWi-Fi電波を飛ばせるので、高速かつ安定したWi-Fi通信ができるようになっている。そのため、ホームルーターとしての利用でも活躍できるだろう。
同時に接続できるWi-Fi機器の台数は16台までで、USBによる有線接続も1台できる。ちなみに受信時最大1,237Mbpsを最大限利用するにはUSBによる有線接続が必要となっている。とはいえ、実際の使用時には1Gbps超の速度は出ないので、Wi-Fi接続で問題ない。
本体サイズは約128 x 64 x 11.9mmで、重さは約125gだ。
<実際の使い勝手や速度などは?>
角を落としたデザインのSpeed Wi-Fi NEXT W06は、鞄への出し入れも楽で、使い勝手が良い。
手のひらサイズのコンパクトなボディながら、連続通信時間は約9時間。今回の記事作成にあたっての試用時は、途切れなく連続で通信し続けたわけではないものの、スマートフォンやノートPCを接続して利用したところ、約7時間の使用後にバッテリーが30%ほど残っていた。ノートPCとの利用であれば、USBで給電しながら最高のパフォーマンスで動作させるのも良いだろう。
スペックとしては、前述したように下りの理論値は最大1.237Gbpsだ。とはいえ、対応する地域はまだ少ないし、現実的には10~100Mbpsの通信速度になるだろう。もちろん、使用エリアによって電波の掴みは異なるが、東京近郊ではそれくらいだろう。
「Hulu」「Netflix」「dTV」や「YouTube」などの動画を高画質で楽しむのに十分な速度が出ている。YouTubeは4Kの高画質でも外出先で安定した視聴ができたのが動画好きにはたまらない。
<▲写真:W06にWi-Fiで繋いだ状態のスマホ。YouTubeの高画質動画も楽々再生> |
注意したいのは通信量だ。
WiMAX 2+は固定回線代わりに使われることも多いため、月々のデータ量の制限は携帯電話回線と比べると緩く設定されている。実際、使い放題のプランでは月間での上限は設けられていない。しかし、注意すべきは直近3日間での通信量だ。
直近3日間で10GBの通信を行うと、翌日の夜間(18時頃から翌2時頃まで)に通信速度が1Mbps(最大1Mbpsではなく、概ね1Mbpsとされている)に制限されてしまう。
1Mbpsというのは、YouTubeの標準画質を視聴するのに必要な速度とされているが、もちろん速くはない。長時間動画を視聴する場合は、若干画質を下げて視聴するなど、データ量を抑える工夫が必要になってくるだろう。もちろん、夜間にあまり使わないのであれば、この制限を気にすることはないだろう。
WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーターの利用シーンとしては、出先でのノートPCの利用という、ビジネスや学生向け、最近ではクリエイター向けの用途が多いと思うが、大容量のデータ通信を可能としていることで、スマートフォンのデータ通信用の回線としても利用価値が高い。
スマートフォンの料金プランを1GBの最安プランと音声通話にして、普段のデータ通信をWiMAX 2+対応モバイルWi-FiルーターとのWi-Fi接続で行い、動画や音楽を楽しむという使い方もオススメだ。
さらに、あまり通信速度が速くない格安SIMとの組み合わせも便利だ。格安SIMは常に遅いというわけではないが、朝や昼、夜など利用者が急増する時間帯は遅すぎて、SNSですらなかなか表示されないこともある(※もちろん事業者や場所にもよる)。
<▲写真:比較的余裕がある時間帯の秋葉原駅付近では格安SIM(写真=下)でも下り18.9Mbps出ているが、WiMAX2+(写真=上)なら259Mbpsも出ている!> |
上と下に掲載した通信速度の計測結果も見て欲しい。
<▲写真:同日の19時前に東京駅付近ではWiMAX 2+(写真=上)なら37.2Mbps出ているが、格安SIM(写真=下)は2.39Mbpsまで落ち込んでいる。さらに混雑している場所や格安SIMの事業者によってはもっと遅くなることもある> |
スマートフォンのSIM(通信サービス)を格安SIMにすることで月々の出費を抑え、その代わりに大容量・高速の通信をWiMAX 2+にする、という組み合わせもオススメだということが分かると思う。特に、今述べたように、格安SIMが遅い時間帯はSpeed Wi-Fi NEXT W06があればストレスなくインターネットを楽しめるはずだ。
さて、WiMAX 2+の高速通信が可能なSpeed Wi-Fi NEXT W06だが、建物やエリアによっては通信できない場所もある。
そうした場所では、auの4G LTE回線を利用して通信を行う「ハイスピードプラスエリアモード」が役立つ。先ほどから何回かハイスピードプラスエリアモードについて述べているが、実はこの機能は月額1,005円(利用した月のみの課金。UQ Flatツープラス ギガ放題3年プランなら無料)の有料機能だということに加えて、月間7GBの通信量の上限が設定されている。これは使い放題のプランに加入していても、ハイスピードプラスエリアモードを使ってしまうと、その月は適用されてしまう。
「WiMAX2+による直近3日間での10GB」という制限とは異なり、ハイスピードプラスエリアモードによる通信が7GBを超えると、その月は全ての通信モードにおいて最大128kbpsに速度制限される。
128kbpsは理論値であるため、実際には数10kbpsの超低速通信となるので、よほど緊急時でない限り、ハイスピードプラスエリアモードでの通信は控えておきたいところである。
<▲写真:実際に上限を超えてしまった場合の表示例> |
128kbpsの速度制限がかかると表示が遅くなるだけではなく、ゲームなどのアプリの場合は通信エラーと見なされて起動しないこともある。
なお、ハイスピードプラスエリアモードを利用しすぎないよう、端末で制限をかけることも可能なので、うまく機能を使っていくと良いだろう。また、W06のディスプレイに常時直近3日間の通信量が表示されるので便利だ(設定で表示内容を変えることもできる)。
<▲写真:最大128kbpsの速度制限がかかった時の速度計測結果例> |
Speed Wi-Fi NEXT W06を使って感じたのは、自宅と同じような使い勝手でインターネットを使えることだ。
オンラインストレージサービスでのデータの同期も、動画視聴も、外出先ということをあまり意識せずに使うことができる。そして、バッテリーの持ちを心配することなく使えたことも良い点だろう。Speed Wi-Fi NEXT W06は3,000mAhの容量のバッテリーを搭載している。
一方で、ハイスピードプラスエリアモードをオンにしたままデータのやりとりをしてしまうと、速度制限が掛かってしまうことがある。さすがに実質128kbpsは遅すぎて使い物にならない。それはW06に限らず、WiMAX 2+対応ルーター全ての製品で言える話だが、利用に当たっては通信モードを基本的にはハイスピードモードにしておくことだけは、注意したい。
<Speed Wi-Fi NEXT W06の販売チャネルは?>
Speed Wi-Fi NEXT W06に限らず、WiMAX 2+製品は、回線のインフラ提供元であるUQコミュニケーションズが運営する通信サービス「UQ WiMAX」のほか、WiMAX 2+のインフラを借り受けてサービスを展開する各社(GMOとくとくBB、Nifty、So-net、BIGLOBE、家電量販店など)、そしてauでも販売されている。WiMAXサービスの利用が初めての方には分かりにくいかと思うが、NTTの光回線を他社が借り受けて光通信サービスを提供しているのと同じようなイメージだ。
端末の販売価格、実施されているキャンペーンは各社で違うので、購入の際はいくつか比較検討した方がいいだろう。
例えば、GMOとくとくBB、So-netなどの事業者では、2万円や3万円台のキャッシュバックなどの還元キャンペーンが行われていることも多いし、月々の通信費から同等額を割り引くようなキャンペーンもある。その上、端末代は0円などだ。一方のUQ WiMAXではそこまでの特典はないものの、回線提供元という安心感がある。とはいえ、GAPSIS編集長が各社のWiMAX 2+を使ってきた限りでは、回線速度・安定性でも大差なく、特典内容、サービス会社へのイメージなどで選んでも大きな問題が生じることはないだろう、とのこと。ただし、キャンペーンを実施している各社ではそれぞれ途中解約時の違約金が設定されているので、そのあたりにも必ず目を通して欲しい。
下にいくつかの事業者のキャンペーンページへの画像リンクを掲載しておく。
■GMOとくとくBB
■So-net、BIGLOBE
(記事:mi2_303)
【情報元、参考リンク】
・au Online Shop
・UQコミュニケーションズ/W06についてのプレスリリース
・UQコミュニケーションズ/L02についてのプレスリリース