楽天モバイルは5日、第5世代移動通信システム(以下、5G)の基地局装置用の無線機ベンダーとして日本電気(以下、NEC)を選定するとともに、同社と連携して世界初となる完全仮想化クラウドネイティブネットワークに対応した5GオープンvRAN(仮想化RAN)の構築を進めると発表した。
5G基地局装置に関してはファーウェイ排除の動きがグローバルで生じていることもあり、通信キャリア各社は改めて判断を問われている状況にあると思うが、そうした背景を踏まえて見ると、楽天モバイルがNECと組んで無線機を共同開発するというのは一つの大きなニュースかもしれない。もちろん無線機だけが必要なインフラ機器ではないとしても、重要な部分を占めることは確かだ。
具体的には今回の提携によって、楽天モバイルとNECは3.7GHz帯の周波数を扱う超多素子アンテナを搭載した小型で軽量、かつ低消費電力の5G無線機を共同開発するという。そして製造もNECが国内工場で行う。
これらの無線機を通じて、3.7GHz帯を利用した各種5Gサービスを提供するとともに、28GHz帯周波数との組み合わせによってユーザーの需要に合わせた5Gサービスを展開するとしている。
なお、楽天モバイルは今秋をめどに通信キャリア事業をスタートするが、2020年6月には5Gサービスの開始を目指している。2020年は先行3社、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー(au)、ソフトバンクも5Gの正式サービスを提供開始する予定で、楽天モバイルも追随する。
今回の提携について楽天モバイルの最高技術責任者(CTO)を務めるタレック・ミアン氏は次のようなコメントを寄せている。
「NECのような通信業界のリーディングカンパニーと共に、世界初の5GにおけるオープンvRANアーキテクチャを日本で構築できることを大変嬉しく思います。NECの技術により、楽天モバイルはコスト効率の高さ、安全性、高品質な5Gネットワークを実現できるだけでなく、日本国内のマーケットにおいて独自にアンテナを開発・製造できるようになります。私達の連携により、日本の通信産業を活性化し、経済発展に繋がることを期待します」
また、NECの執行役員常務を務める河村厚男氏は「NECは楽天モバイルの世界初となる完全仮想化クラウドネイティブネットワークに対応した5GオープンvRANの構築に貢献できることを大変うれしく思います。今後も5GオープンvRANのパートナシップを拡充することで、グローバルな通信事業者のビジネス拡大に貢献してまいります」とコメントしている。
楽天モバイルが参入することで携帯キャリアが1社増えることになり、今秋以降の各社の料金プラン及び通信サービス、周辺サービスでもこれまで以上に動きが出てくることが予想できるだけに、今後も楽天モバイルの動向には注目だ。
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