<▲図:Chromecast UltraとStadia用コントローラー> |
ところが最初に書くと残念なことに日本でのサービス提供開始時期は未定だ。Googleは11月に14カ国でサービスを開始する予定だが、その初期ローンチエリアに日本は含まれていない。とはいえ、2020年以降にサービスエリアは順次拡大される予定とのことで、日本でも来年は楽しめるようになることを期待したい。
初期ローンチエリアを具体的にリストアップすると、ベルギー、イタリア、フィンランド、オランダ、カナダ、ノルウェー、デンマーク、スペイン、フランス、スウェーデン、ドイツ、英国、アイルランド、米国の14カ国。ご覧の通り、欧州と北米のみだ。
<▲図:コントローラーにはカラーバリエーションもある> |
Stadiaはストリーミング型のサービスなので、常時インターネット接続をしながらのゲームプレイとなり、グラフィックのクオリティは回線速度に依存する。
最も低クオリティの720p 60fps ステレオは10Mbps、1080p HDR 60fps 5.1chサラウンドだと20Mbps、4K HDR 60fps 5.1chサラウンドで35Mbpsだ。
<▲図:必要な回線速度> |
同じくストリーミングゲームサービスである「PlayStation Now」、もしくは「PlayStation 4」のリモートプレイ機能を普段から利用している方はストリーミング型のゲームサービスのイメージをある程度掴めていると思う。PlayStation 4のリモートプレイもワイヤレスで普通に問題なくプレイできるので、Stadiaもサーバさえ十分に構築されれば問題なくプレイできるのだろうな、と推測できる。ただし、PlayStation 4のリモートプレイでも外出先でモバイル回線を使うと、当然ながらYouTubeなどでの動画視聴と同じことで、データ通信量が嵩むので、超長時間LTEでプレイするのは厳しいかもしれない。とはいえ、720p程度なら大容量の定額プランに入っていれば長時間プレイするのでなければ問題ないだろう。
一般に豪華なグラフィックのゲームをプレイするには高性能ハードが必要だが、ストリーミング型サービスの場合はプレイヤー自身が高価なハードウェアを購入する必要はない、という点が大きな利点。プレイヤーはStadiaに対応したクライアント機器とネット回線とコントローラーだけあればいい。
Stadia対応のクライアント機器は「Chromecast」、WindowsやMacなどのChromeブラウザ、スマートフォンなど。スマートフォンはローンチ時点では「Pixel 3」及び「Pixel 3a」シリーズしか対応しないということだが、いずれは増えるはずだ。
となると、最終的にはスマートフォンとコントローラーだけあればStadiaをプレイできることになり、中長期的には「PlayStation 4」「Xbox One」「Nintendo Switch」などのコンシューマーゲーム機の手強い競合になるかもしれない。というのも、GoogleがStadia向けに準備しているサーバのスペックは優れているからだ。しかもGoogleの企業規模を考えれば、随時サーバをグレードアップしていくことも可能だろう。
しかし、いくら各社のゲーム機やGoogleのサーバがスペックアップしても、ゲームメーカーがどこまで予算を確保できるかでグラフィックのグレードは基本的には決まってしまうので、必ずしもStadiaのサーバのスペックが良いからといってPlayStationやXboxを上回るレベルのグラフィックのゲームが揃う、と言い切れるわけでもない。おそらくStadiaで配信される多くのゲームはPlayStation、Xbox、PCなどとのマルチプラットフォームになるものを予想される。
もちろん、PlayStation専用タイトル、Xbox専用タイトルがあるように、Stadia独占タイトルも続々と登場すると思うので、ゲームプラットフォーム市場がどのように変化していくのか、今の所は分からない。今回の発表時点でも「Get Packed」「Gylt」といったStadia独占タイトルが発表されている。
一方、StadiaにはGoogleならではの独自の魅力もある。
なんと、YouTubeで配信されているゲームのプレイ動画や紹介動画などからすぐにゲームをプレイできてしまうようになっている。
YouTubeで動画を視聴しながらボタンをポチッと押すだけですぐにプレイできる、というのは素晴らしいサービス連携だろう。PlayStation 4でも配信中の動画からすぐにプレイに移行できるし、途中参加なども可能だが、Stadiaではゲームデータのダウンロードすら不要というのが大きいし、パソコンでもスマートフォンでもChromecastでもできる、というのも独自の魅力だろう。
ただ、PlayStation、Xbox、そして任天堂のプラットフォームをどこまで脅かすことができるのかは先ほども触れたが、最終的にはタイトル次第かもしれない。
また、料金プランは少なくとも「Stadia Pro」と「Stadia Base」が用意される。4K HDR 60fps 5.1chサラウンドでのプレイが可能な「Stadia Pro」プランは月額9.99ドルだが、Stadia Baseは月額料金は不要だ。ただし、Stadia Baseの提供は来年から。
<▲図:料金プランについて> |
Stadiaのローンチに向けてGoogleはお得な限定パック「Stadia Founder's Edition」を用意している。コントローラーと「Chromecast Ultra」、「Stadia Pro」3ヵ月分が2つ(1つは自分用、もう1つは友人などへのプレゼント用)、「Destiny 2」(FPS)、ユーザーネームを好きに付けられる権利がパッケージされて129ドルだ。
Stadia Base提供が2020年ということもあり、Stadiaの本格始動は2020年なのだろう。となると、日本が初期ローンチエリアに入っていないことも、さして残念なことでもないかもしれない。
なお、気になるタイトルだが、日本でもある程度知られたIPをピックアップすると主に下記の通りだ(五十音順)。実際にはもっと多くのタイトルが発表されているので、詳しくは下記リンク先の公式サイトをチェックして欲しい。
- アサシン クリード オデッセイ
- NBA 2K
- ゴーストリコン ブレイクポイント
- サムライスピリッツ
- The Elder Scrolls Online
- ディビジョン2
- デスティニー2
- トゥームレイダー トリロジー
- ドラゴンボール ゼノバース2
- バルダーズゲート3
- ファイナルファンタジーXV
- ボーダーランズ3
なお、発表会の模様はYouTubeで配信されているので、関心がある方は動画もチェックしてみよう!
記事の途中でStadioをPlayStation、Xbox、任天堂の競合と考えた記述をいくつかしているが、一番直接的な競合になるのは「Steam」なのかもしれない。
ゲームタイトルのラインナップに関しても、ソニーのファーストパーティと任天堂には有力なIPが数多くあるし、今後も爆発的ヒットを飛ばせるIPが出る可能性は十分にある。マイクロソフトも任天堂、ソニーほどではないにしても、ゲーム事業を長く行っている分、Googleより先行している。マイクロソフトがXbox事業を始めた時に苦労したのがやはり独占タイトルの確保で、Googleも同じ課題に当たるかもしれない。Google Play、App Storeで配信されるモバイルゲームと違い、Stadiaではコンシューマーゲーム機で配信されているような、腰を据えてじっくり楽しむハイグラフィックのゲームが中心になるとするなら、ショボいグラフィックの作品は売れない可能性が高い。となると、莫大な予算を投じることができて、技術力のあるゲームメーカー、デベロッパーに頼ることになるが、その数は限られる。しかも、ソニー、マイクロソフトのファーストパーティー外から集めなければならないわけで、意外とGoogleも苦労するかもしれない。
とはいえ、一ゲーマーとしてはソニー、任天堂、マイクロソフトにも落ちて欲しくはないし、Googleも先行他社に並ぶほど台頭して欲しいと思う。次世代機では各社がこれまで以上に違いを打ち出していくことになるかもしれない。
【情報元、参考リンク】
・Stadia公式サイト