世界的にファーウェイを始めとした中国の企業の通信機器を排除する動きが続く中、日本政府も官公庁など政府調達に関しては情報漏洩対策として中国企業の通信機器を採用しない方針だと報じられている。こうした動きに対して、ファーウェイの日本法人であるファーウェイ・ジャパンから声明が発表された。
ファーウェイ・ジャパンは27日、「ファーウェイ・ジャパンより日本の皆様へ」と題した声明を公式ウェブサイトで公開した。
声明によればファーウェイは情報漏洩を目的としたバックドアの設置など、不正な仕様を製品に施したことはなく、「仕様書にないポートが見つかった」や「マルウェアが見つかった」等の報道は事実無根だとしている。また、日本市場に投入されているファーウェイ製品に関して、日本の顧客の厳格な導入試験をクリアしたものだと強調している。
日本市場におけるファーウェイは、一時は厳しい状況にあったが、SIMフリースマートフォン市場で力をつけ、徐々にシェアを拡大し、2018年には通信キャリアのラインナップにも本格的な前線復帰を果たすなど、強力な勢いを示していた。この勢いは何も日本市場だけでなくグローバルでの話で、スマートフォン市場での存在感を年々増してきた。
ファーウェイが一気に台頭したことで、それ以前のSIMフリー市場で元気があったASUSなどが苦戦し始め、数年前とは状況が大きく変わってしまった。ところが今度はファーウェイが苦境に。しかも、一気に新製品市場から消えかねない状況へと陥っている。
どのような終着点に至るのか依然として見えないが、最終的にどのようなことになるのか気になるところ。
そして、そうした状況を踏まえての今回の声明発表となる。声明は下記の通りだ(原文ママ)。
ファーウェイ・ジャパンより日本の皆様へ
華為技術(ファーウェイ)は世界市場をリードするICTソリューションプロバイダーとして、サイバーセキュリティの重要性を十分に認識し、各国政府やお客様のセキュリティに関する懸念を理解しております。
ファーウェイは事業を展開するすべての国や地域の法規制や国際電気通信規格を遵守しています。そして、技術開発から事業運営まですべての領域においてセキュリティとプライバシー保護を万全にするための取り組みに、会社の重要方針として注力してきました。
ファーウェイにとってサイバーセキュリティとプライバシー保護への取り組みは最重要事項であり、自社の商業的利益をこれに優先させることは決してありません。私たちは純粋な民間企業であり、これまでにいかなる政府や機関からも当社の技術へのアクセスを要求されたことはありません。
一部の報道において、「製品を分解したところ、ハードウェアに余計なものが見つかった」「マルウェアが見つかった」「仕様書にないポートが見つかった」といった記述や、それらがバックドアに利用される可能性についての言及がありましたが、これはまったくの事実無根です。日本に導入されているファーウェイの製品はファーウェイならびに日本のお客様の厳格な導入試験に合格しております。
ファーウェイ・ジャパンは2005年に設立して以来、日本のオープンかつ公平な投資環境を背景に、日本のお客様、パートナーの皆様とともに日本経済ならびにデジタル分野における発展に貢献してまいりました。日本法人では約1,000名の従業員を雇用しており、そのうちの75%が現地採用となっているほか、2011年には日本経済団体連合会(経団連)にも加盟するなど、この地に深く根ざした事業運営を行っています。
東日本大震災の際には、母国で一度も地震を経験したことのない中国人社員も多くいました。未曾有の災害に慄きながらも、大切な人の無事を確かめたいと願う方たちのために、私たちはいち早く被災地へ駆けつけ、通信ネットワークの復旧に尽力しました。
ファーウェイはまた、数多くの日本企業の皆様と協業してきました。私たちにとって、こうした協業はイノベーションの源泉です。志をともにする仲間たちがいてこそ、より早く、より多くのイノベーションを生み出すことができるからです。私たちは日本のパートナー企業の皆様のものづくりへの誇り、品質に妥協しない匠の精神に共感し、未来の情報通信技術の発展のためにともに切磋琢磨しています。その結果、2017年には日本企業から約4,900億円相当の部品を調達しました。2018年にはその額は6,700億円と、日本の対中国輸出額の4%に相当する金額となる見込みです。
日本政府はモバイルサービスの料金を消費者にとって利用しやすい適正なものとすることを求めています。そうした目標を達成するためには、公正な競争環境のもと、多くのベンダーや通信事業者が優れた技術の活用を推進していくことが必要です。
私たちは今後も安全性・安定性の高いネットワークの実現を企業使命とし、日本の通信事業者やパートナーの皆様とともに情報通信技術について研鑽を重ね、日本社会に貢献できるよう努めてまいります。
華為技術日本株式会社
代表取締役社長
王剣峰(ジェフ・ワン)
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