総務省は、中古のスマートフォンを通信回線に縛られず利用できる環境を整備するため、大手通信3社(NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー、ソフトバンク)に対して「SIMロック」の解除対応を義務付ける方針を示し、実際に2019年7月より導入する予定であると日本経済新聞が15日夕方に報じた。
SIMロックは自社が販売する端末を他社の通信回線で利用できないようにするものだが、現在はそれを解除する条件が緩和されてきており、昔と比べると解除しやすくなってきた。
しかし、それはあくまでも自分が購入/契約した端末の話で、SIMロックが掛かった中古品では状況が異なる。
中古の端末を購入した場合、SIMロックが掛かったままのものが多く、その場合にはそれを格安SIMサービスで使おうとしても、回線が縛られる状況が現実問題として存在する。近年のスマートフォンはハードウェアとしてはNTTドコモ(以下、ドコモ)、ソフトバンク、auといった大手通信3社の通信方式に対応するものが多く、SIMロックさえ解除されていれば、格安SIMでもドコモ系、au系、ソフトバンク系、いずれのサービスでも使える例が多い。
しかし、SIMロックが解除されていない場合、それを解除しない限り、ロックされた通信回線のサービスを提供する格安SIM事業者しか選べない。
ではSIMロックが掛かった中古のスマートフォンを入手した場合、どうすればいいか? というと現状ではそのロックを掛けた通信事業者の回線を使う通信サービスしか利用できない。ロック解除はドコモ、au、ソフトバンクで異なる上、端末によっても異なるが、基本的にはドコモとソフトバンクでは自分が購入/契約していた端末以外の場合、持ち込みでのSIMロック解除を受け付けていない。すなわち他人が使っていた中古端末のSIMロックの解除はできない、ということになる。
詳しくは通信事業者、機種によって異なるので、各社で調べて欲しいが、現状では不自由な環境にある。
とはいえ、今では格安SIM事業者によってはドコモ、au、ソフトバンクと、各回線別のサービスを手掛けるマルチキャリア対応をしているので、筆者個人としてはそれほど大きな問題とは思わないが、余計な縛りがある、というのは確かだ。では、通信事業者目線に立ち、現実問題としてSIMロックの有無が彼らのビジネスに大きな影響を与えるのか? と聞かれれば、一般ユーザー目線では大きな影響はないのではないか、とも思う。であれば、いっそSIMロック解除に関してもっと緩和しても構わないように思うが、我々一般ユーザーには思いもよらないメリットが依然としてSIMロックにあるのであれば、通信事業者にとっては状況を変化させたくないという思いもあるのかもしれない。
いずれにしろ、来年の夏をめどに、中古端末に関してのSIMロック解除が自由にできるようになる可能性があるので、中古スマートフォン市場は拡大するかもしれない。一方で、通信大手3社が販売する新品のスマートフォンの売り上げが下がる可能性は当然ながら懸念されるし、他にどのような影響があるのか、市場がどのように変化するのか注目したいところだ。
【情報元、参考リンク】
・日本経済新聞
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