NTTドコモ(以下、ドコモ)は25日、エリア毎に存在する携帯電話端末の台数を集計することで人口を推計する技術「モバイル空間統計」を用いた大阪北部地震前後の大阪府における人口分布の統計データを公開した。
今回のデータは地震当日の人口分布の変化だが、今後の防災計画分野において有用であるとの思いから期間限定で公開される。
まずは「モバイル空間統計」を改めて説明したい。
ドコモでは携帯電話サービス提供のため、各基地局のエリア内に所在する携帯電話端末を周期的に把握している。その仕組みを利用して携帯電話端末の台数を集計し、ドコモの普及率を加味することで人口を推計するのが「モバイル空間統計」だ。日本全国のエリアで1時間毎の人口分布を把握可能となっている。しかも、性別・年代別の人口分布まで把握できる。
今回発表されたデータは、「平時」と「地震発生日」の大阪府を対象としたもの。
平時は2018年5月21日(月曜日)のデータで、地震発生日は2018年6月18日(月曜日)のもの。大阪府全域で500mメッシュのデータとなっている。
大阪北部地震が発生した日時は18日7時58分頃。ドコモの統計データによれば、それから約6時間後の14時における大阪市中心部の人口は平時と比べて約50万人減少しているという(記事冒頭の図を参照)。
そして、14時台は主に大阪府北部に滞留している人が多い。地震発生が通勤・通学時間と被っていたこともあり、通勤・通学が困難となった方が多く滞留していると思われる。そのため、中心部の人口は平時よりも少なくなった。
さらに、大阪府外に居住する方の大阪府への流入人口は、地震発生直後の8時から平時に比べて少なくなり、ピーク時には30万人弱減少している。
それから4時間が経過した18時以降のデータでは、大阪市中心部の人口はなだらかに減少しており、夜間まで滞留しなければならなかった方は限定的ではないかと推測されている。
携帯電話が普及しきった現在、携帯電話及び基地局を活かした人口分布の推計データの正確性の高さは容易に想像できるだけに、今後も災害時などには公開して欲しいところだ。
【情報元、参考リンク】
・NTTドコモ/大阪府北部地震に関するモバイル空間統計を用いた分析レポート(PDF)
・NTTドコモ/モバイル空間統計について
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