総務省が携帯電話事業者向けに新たに割り当てる電波の取得を楽天が目指し、2018年1月にも申請を行う予定であることを国内の大手新聞各社が14日に報じた。
楽天は格安のモバイル通信サービス「楽天モバイル」を、NTTドコモ(以下、ドコモ)の回線網を借り受けて提供している。このように他社のインフラを借り受けてサービスを提供する事業者をMVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ぶが、楽天は同じくドコモ回線を使ってサービスを展開していたプラスワン・マーケティングの「FREETEL」を買収したばかり。FREETELの取得したことで、楽天モバイルの契約数は140万を突破し、MVNO市場では有力プレイヤーの一角を占める位置まで成長してきた。
ところが、MVNOの場合は通信インフラをドコモやKDDI、ソフトバンクらから借り受けてのサービス展開となるため、それらインフラ提供元への回線使用料を差し引くと利益率を上げにくい。しかも、MVNO市場には、ドコモ回線ではNTTグループが、au回線ではKDDIのグループ企業のUQコミュニケーションズが、ソフトバンク回線は「Y!mobile(ワイモバイル)」ブランドで料金を抑えた通信サービスを展開している。
これらの通信キャリア自身もしくはグループ企業が提供するサービスはやはり強く、楽天がMVNO市場でトップに立つ姿を想像するのは難しい。
報道によれば、楽天自身、MVNOでの利益率の低さから今後の大きな成長を見込めないと判断したという。そこで巨額の投資を行ってでも自前の回線インフラを持ち、携帯電話サービスを手掛けることを決めたようだ。投資額は今回の報道では2025年までに最大で6,000億円とされるが、実際にはより大きな投資が必要になる可能性も十分に考えられる。また、2020年にはドコモ、KDDI、ソフトバンクは5Gの商用サービスを始める予定だが、楽天ももちろんそれを見越しつつ、2019年度に自前のインフラを使った携帯電話サービスを始める予定とされる。
楽天の場合は「楽天市場」をはじめとする様々なサービスをすでに提供中で、それらのサービスで使えるポイントサービスもある。
これら既存の事業、ポイントサービスとの連携などを売りに携帯電話サービスのユーザー獲得に繋げていきたいようだ。
携帯電話市場は長らくドコモ、KDDI/沖縄セルラー、ソフトバンクの3社による寡占状況が続いていて、近年は大きな変化が見られなかったが、新たなプレイヤーが参入することで、再び変革期を迎えるかもしれない。サービスの改善、料金の値下げなど、ユーザーにとって魅力的な展開が連鎖的に起きることを期待したい。
【情報元、参考リンク】
・毎日新聞
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