<▲図:ZenFone 3 Max。パッケージと本体> |
ちなみにZenFoneシリーズは特に「ZenFone 2」ファミリーから派生機種が多くなっていて、名称だけからではファミリーの中でどのグレードに位置する機種なのか分かりにくくなっている。しかもデザインもバラバラで、正直な話、ちょっと製品展開が多すぎる気がするし、場合によっては全てをZenFoneにせず、ブランドを分けて欲しいとも思うが、このZenFone 3 Maxはバッテリー容量が大きな「Max」シリーズの新モデルということになる。
<スペックと基本的レビュー>
<▲図:ZenFone 3 Max ZC553KLのゴールドモデル> |
さて、そのZenFone 3 Maxだが、実は同じZenFone 3 Maxという名称でもディスプレイサイズ違いで大きく2系統に分かれる。ディスプレイサイズが5.2インチの「ZC520TL」と5.5インチの「ZC553KL」だ。今回はZC553KLを紹介するわけだが、最初にリリースされたのが5.2インチモデルで、後発が5.5インチモデルとなっている。
5.2インチのZC520TLは2017年1月、5.5インチのZC553KLは4月に発売されている。
<▲図:ディスプレイは約5.5インチのフルHD-IPS液晶> |
5.2インチモデルと5.5インチモデルは実は基幹部分が異なっていて、5.2インチモデルはMediaTek製のクアッドコアCPU「MT6737M」を積み、メモリも2GB(RAM)、16GB(ROM)と少ない。ディスプレイ解像度もHDだ。一方の5.5インチモデルはQualcommのSnapdragon 430、3GB(RAM)、32GB(ROM)を積み、ディスプレイ解像度もフルHDとなっている。
5.2インチモデルはよくある「SIMフリーのエントリークラスモデル」のスペックと基本的に同じようなものなので、同じZenFone 3 Maxを名乗っていても全く違う機種といってもいい。正直な話、価格差を見ても5.2インチモデルよりも5.5インチモデルの方が明らかに良いので、後者を薦める。
5.5インチモデルのパフォーマンスは大抵の用途には十分で、ウェブサイトの閲覧なども特に大きなストレスなくこなせる。カメラ機能により多くのものを望まない方にはパフォーマンス面でも無印のZenFone 3ではなくZenFone 3 Maxで十分だと言えるほどだ。
面白いのはバッテリー容量については5.2インチモデルと5.5インチモデルは同じだということ。4,100mAhだ。
私は5.2インチモデルは少ししか触っていないので何とも言えないが、おそらく5.2インチモデルの方が実使用上の連続駆動時間は長いのではないかと思う。しかし、5.5インチモデルも相当持つ。正直な話、毎日持ち歩きはしても時計やメールの確認くらいしかしない人の場合、1週間近く持つと思う。一日に2、3時間ウェブサイトを閲覧したりSNSを使ったりする場合でも2、3日は普通に持つ印象だ。このバッテリーの持ちはZenFone 3 Maxの大きな魅力だと感じる。
OSはAndroid 6.0.1での出荷だが、Android 7.1.1へのアップデートが提供中で、将来的にはAndroid 8.x(Oreo)へのアップデートが提供されることもメーカーから明らかにされている。そのため、ZenFone 3 Maxは今購入したとしても十分に2年間くらいは戦えると思う。
ボディは「ZenFone 3」のガラスパネルデザインとは異なり、アルミボディを採用していて、カラーバリエーションはグレー、ピンク、ゴールドの3色。今回はゴールドのモデルを紹介する。
<▲図:ZenFone 3(5.5インチ)とZenFone 3 Max(5.5インチ)を並べたところ> |
サイズは151.4×76.2×8.3mmで、重さは175g。サイズは一つ前のシリーズであるZenFone 2や無印のZenFone 3とほとんど同じで、重ねるとフットプリントはほぼ同じだと分かる。
個人的にZenFoneシリーズで好きな点はナビゲーションキーが独立していること。それはZenFone 3 Maxもそうで、ディスプレイの下に左から順に「戻る」キー、「ホーム」キー、「最近使ったアプリ(マルチタスク)」キーが並んでいる。このキーは残念ながら光らないので夜間などはちょっと使いにくいが、慣れると位置を感覚的に覚えるので問題ない。ちなみにタッチキーだ。
<▲図:ナビゲーションキーはディスプレイと独立してタッチキーで用意されているので使いやすい> |
<▲図:低価格機だからかナビゲーションキーのバックライトがないのは残念。このように角度、光の当たり方によってはキーが見えにくいが、慣れると感覚的に操作できるようになる> |
側面、背面はアルミボディで、角、背面側のエッジ部が丸みを帯びた形状になっているのでとても持ちやすい。この点に関しては無印のZenFone 3よりも良い。
<▲図:ZenFone 3 Maxの背面> |
<▲図:上部側から斜めに見たところ。丸みを帯びていて手にフィットして持ちやすい> |
どうも無印のZenFone 3の背面ガラスはあまりに摩擦が少なく落としそうで怖いのだが、こちらはそんなこともなく、適度な滑りと手にフィットする形状で持ちやすく扱いやすい。ただ、デザイン上の高級感は無印のZenFone 3の方が上だと思うが、好みの問題かもしれない。
背面上部にはメインカメラと指紋認証センサーが搭載されている。
<▲図:背面上部にはメインカメラ、指紋認証センサーがある> |
<▲図:指紋認証センサーはこの位置だと人差し指で使う方が多いと思う。指紋は5つまで登録できるので、左右の人差し指を登録しておくと便利> |
この位置の指紋認証センサーは個人的にはあまり好きではないが(なぜかこの位置にするメーカーが結構多いので止めてほしい)、慣れると大体位置を覚えるので、一応すんなりロック解除できるようになると思う。認証スピードはファーウェイの「P9」シリーズ以降の機種の方が速いと思うが、ソニーモバイルの「Xperia Z5」世代辺りと比べると全然良い。間違える率に関しても悪くない。それは、より高価なモデルであるサムスン電子の「Galaxy S8」と比べても良いと思う。Xperia Z5やGalaxy S8は指紋認証がなかなか通らずにストレスを感じることが多いので、この点ではZenFone 3 Maxはなかなか優秀な方だと思う。
メインカメラはボディ背面とツラになっていて出っ張っていないのでスマートで良い。センサーは約1,600万画素で、レーザーオートフォーカス、デュアルカラーLEDフラッシュを搭載する。前面にあるインカメラは約800万画素だ。
<▲図:右側面から見たところ。このように真横から見るとわかると思うが、メインカメラは背面とツラになっていて出っ張っていない> |
カメラは良くも悪くもないという感じで、あまり特筆すべき点はない。無印のZenFone 3は光学式手ブレ補正を搭載していて、その恩恵を明確に体感できるが、ZenFone 3 Maxの電子式手ブレ補正はそこまででもなく、普通という感じ。ちょっとしたスナップ写真撮影には十分だと思うし、決して悪くはないが、最近のミドルレンジ以上のスマートフォンと比べると物足りないかもしれない。
ただ、HDR機能や「美人エフェクト」「ローライト」「夜景」モードなどの機能はあり、それなりに使える感じだ。
<▲図:カメラアプリのモードは色々とある> |
ボリュームと電源ボタンは右側面で、こちらも使いやすい。3.5mmオーディオ端子は上部左側、microUSB端子は下部中央にある。
<▲図:左にはSIM/microSDカードスロット> |
<▲図:下面にはmicroUSB端子。Type-Cではなくmicro B> |
対応する通信方式は下記の通り。
- FDD-LTE:B1/B2/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B26/B28
- TD-LTE:B38/B41
- W-CDMA:B1/B2/B5/B6/B8/B19
- GSM/EDGE:850/900/1,800/1,900MHz
VoLTEはauのVoLTEもサポートする。ドコモでもauでもどちらの通信方式でも利用できるので、格安SIMの選択肢が増えて助かる。Wi-FiはIEEE802.11b/g/n準拠で、残念ながらacには非対応。家でスマートフォンを使ってYouTubeなどの動画視聴時間が長い方はac非対応はネックに感じるかもしれない。ただ、家の固定回線の速さ、Wi-Fiの品質(隣近所も含めたWi-Fi環境も考慮した上で)による部分も大きいので、必ずしもネックとは言えない部分もある。Bluetoothは4.1。
先ほどバッテリー容量は4,100mAhと言ったが、本当にかなり持つ。ZenFone 3 Maxの電力マネジメントは優秀だ。不思議なことに同じASUS製品でも大容量バッテリーを積みながらもバッテリーの持ちが悪い製品もあるが、ZenFone 3 Maxは良い。普段からバッテリーが余る人の場合、外部給電機能も便利かもしれない。ZenFone 3 MaxのmicroUSB端子にOTGケーブル(同梱のケーブルでも市販のものでもOK)を介してUSBケーブルで繋いだ機器へZenFone 3 Maxから給電できる。すなわち、ZenFone 3 Maxをモバイルバッテリー代わりにできる。
私は大容量で急速充電に対応した市販のモバイルバッテリーを持ち歩いているので、ZenFone 3 Maxの外部給電機能を必要とする機会はなかったが、何かの折に使えるかもしれない、とも思う。ないよりはあった方が良い。
ZenFone 3 Maxの価格は27,800円(税抜。税込だと30,024円)だが、ASUS Shopでは専用バンパーケースと16GBのmicroSDカードとミニ三脚がセットになった「秋のお得セット」が35,200円(税込)で販売されている。こちらを選んでも良いだろう。また、ZenFone 4ファミリーが登場するとZenFone 3ファミリーは値下げする可能性があるので、それを待ってもいいかもしれない。
→ASUS Shop/ZenFone 3シリーズ秋のお得セットのページ
ハイエンド機を常に求める方には新機種登場の前後のタイミングだと間違いなく新機種を薦めるが、大抵の一般ユーザーには今でもZenFone 3ファミリーで良いんじゃないかと思う。
実際ZenFone 3 Maxはかなり良い。5インチや5.2インチのHD液晶を搭載する「よくあるエントリークラス向けのSIMフリースマホ」の場合は、正直物足りない部分もあって、ストレスを感じることもあるが、ZenFone 3 Maxは大抵の用途でストレスなく動いてくれる。
もうちょっと安ければ、とも思うが、ZenFone 3 MaxはSIMフリースマホの無難な選択肢の一つだ。
<▲図:ZenFone 3 MaxにはUSB-ACアダプタ、USBケーブル、OTGケーブル、イヤホンなどが同梱される> |
ちなみに、パッケージにはZenFone 3 Max本体の他、USB-ACアダプタとUSBケーブル、OTGケーブル、イヤホンなどが同梱されている。最近はUSB-ACアダプタが同梱されない機種も多いが、やはりあった方がいいと思う。イヤホンは普通には使えるが、5,000円以上、特に1万円以上のそれなりのイヤホンを持っている方の場合、そちらの方が音が良いと思う。とは言え、同梱イヤホンに関してはそんなにコストも掛けられない訳で、大体どのメーカー・どの機種でも似たり寄ったりだと思う。
<まとめ>
良くも悪くもオーソドックスでソツのないパフォーマンスを示す。ライバル機種が多くなってきた今日この頃では、価格がもう少し安ければとも思うが、オススメしやすい機種であることは確か。何もかも普通にこなしてくれるパワーを持っていて、バランス良くできている。ただ、ZenFone 3 Maxにしかない、といった尖った特徴はなく、何とも紹介しにくい部分もあるが、その中では大容量のバッテリーを積むという点がやはり最大のアピールポイントになるのかもしれない。
カタログスペックで超長時間持つと書かれていても実際には持たない機種も多い中、ZenFone 3 Maxは現実にバッテリーが長時間持つので、日々スマートフォンを長時間使う方や、頻繁な充電が面倒臭い方には特にオススメできる。
「とにかくバッテリーが持つ」というのがこのZenFone 3 Maxの一番の魅力だと思う。そしてそれでいてパフォーマンスも良好で、バランスに優れた良機だ。
【情報元、参考リンク】
・ASUS公式オンラインショップ「ASUS Shop」
・ASUS Shop/ZenFone秋のお得セットについて