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【一条真人的Androidライフ】第118回:クールビズが日本のパソコンを後退させる?

先日、ファーウェイ・ジャパンが開催したWindows端末「MateBook X」の発表会に行ってきた。この製品はスマホではなく、タブレットでもなく、ラップトップPCなのだ。YouTubeを見ていると、ファーウェイがラップトップを出したとは知らなかったというようなアメリカ人の声もある。ファーウェイがノートPCを出したことを意外と感じる人もいるようだ。

<▲写真:スマホで培った技術を駆使して作ったという「MateBook X」>

パソコンメーカーが作るスマホはあまり売れないが、スマホメーカーが作るパソコンは結構売れたりする。これは、小さなものを作る方が色々と技術が必要なせいだろう。これからはスマホメーカーがバンバン作ってモバイルPC市場で存在感を見せるようになる予感もする。

まあ、スマホと比べてあんまり儲からないからやらないかもしれませんが。

このMatebook Xは超スリークなモバイルPCで、Core i7を搭載するモデルでもファンレスになっている。これは放熱に優れる先進的な素材をボディに使って実現しているという。クーリング技術もスマートフォンで培ったものが生かされているのだろう。素晴らしいことだ。

<▲写真:ファンレスなのも特徴。サイドにも排気口はない>

しかし、僕には懸念がある。

それは、Matebook Xにではなく、この国における使用環境にだ。

日本では「クールビズ」というものが広まっている。これは、夏なのだから暑苦しい服装をしないでいいという真面な考えと、冷房は28度に設定しようという実にバカバカしいことを推奨するものだ。右へ習えが好きな日本ではこれが広く普及している。

夏なのだから、暑苦しい格好をしなくて構わないというのは良いが、空調を効かせなくていいというのはどういう考えだろうか? 他の先進国では22~23度ぐらいに設定することだろう。まあ、日本では東日本大震災以降、夏場の電力消費を抑えるために冷房を高めの温度に設定しよう、という意味も加わってきたので、単純に考えられる問題でもなくなってきている部分もあるかもしれないが。

ともかく、この28度という高い気温の中でノートPCを常時動かす我が国では、

「ファンレスな高性能モバイルPCを作ろう!」

なんていう考えは出てきにくいのではないだろうか?

こうして、また我が国のパソコンメーカーは世界に遅れをとっていくのかもしれない。

【参考リンク】
GAPSIS/MateBook XとMateBook Eのレポート記事
ファーウェイ公式通販サイトVモール
Amazon/ファーウェイ


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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