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【一条真人的Androidライフ】第113回:見えてきた新しいボーダーライン

最近、スマホのカテゴリというか線引きに新しいルールが出てきたようだ。今までは大ざっぱに言えばハイエンドのスマホは全てがハイエンドだった。スマホには様々な要素がある。外装、ディスプレイ、プロセッサ、カメラなどなど、今まではハイエンド機であれば全ての要素がハイエンド、スダンダード機であれば全てがスタンダードという感じだった。

<▲図:凡庸なスペックにオシャレなボディを持つVAIO Phone A>

しかし、最近はこのバランスを大きく崩すスマホがいくつも登場するようになってきた。僕が最初にこの攻撃を受けたのはファーウェイの「nova lite」だ。nova liteは若者向けの端末ということで日本市場に投入された。

販売はMVNOオンリーなのだが、その価格は実に2万円と安い。今まで、2万円程度の機種というのは普通の人がストレス無しに使えるようなものではなかった。ところが、このnova liteはその常識を超えた使い勝手を実現していたのだ。

<▲図:nova lite>

大ざっぱな表現だが、nova liteのプロセッサ性能は、従来の感覚で言えば、ほぼ3万円級の機種という感じ。十分に実用的な性能を持っている。ただし、カメラは4K動画の撮影などには対応せずフルHDまでで、手ブレ補正機能も無しという感じだ。しかし、動画撮影などは、気にしない人にとっては別になんということはない。

このコスパの良さは、搭載しているプロセッサが自社製の「Kirin」であることも大きい。他のメーカーでは同等のスマホを2万円で販売するのは難しいだろう。

さて、次は「VAIO Phone A」だ。

<▲図:VAIO Phone Aのパッケージと本体>

VAIOはPCメーカーだが、スマートフォンも作っている。以前、VAIOはWindows Phoneである「VAIO Phone Biz」を投入したが、やはりメジャーな市場を目指して、最近Android端末を投入してきた。それがVAIO Phone Aで、価格は税抜きで約25,000円だ。

このVAIO Phone Aの驚くべき点は、25,000円という価格もあるのだが、ボディのクオリティが4万円級の機種に劣らないことだ。

<▲図:ボディはアルミの削り出しで、表面はマット仕上げ。「VAIO」ロゴも>

ボディはアルミの削り出しで表面はマット仕上げで非常に上品であり、かつ剛性が高い。このボディの外観はVAIO Phone Bizそっくりであり、金型なり、設計なりを流用することでコストを下げているのではないかと思う。

ベンチマークを取ってみると、大方のところはnova liteに負けるようなパフォーマンスだが、実用レベルはクリアしている。カメラに目を向けると、やはり、4K動画撮影や手ブレ補正などにも対応しない。

nova liteやVAIO Phone Aは一定のユーザーニーズを満たし、かつ定価が非常に安いのが魅力だ。現在、この2機種は「価格.com」で人気ナンバー1、2だ。

今後、一般ユーザー向けには、このように機能を絞り、コストの掛け方を特定の目的にフォーカスしたような製品が人気になっていくのかもしれない。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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