<▲図:HUAWEI nova> |
nova、nova liteを知らない人のために簡単にこの2機種を説明すると(※詳細はこちらの記事参照)、今までにない若者向けのセグメントを埋めるための機種だ。現在、日本のスマートフォン市場では単純に機能と価格のピラミッドを築いているところがある。つまりは低機能で低価格、高機能で高価格というマーケティングだ。
それに対してファーウェイのマーケティングはやや異なっている。
ファーウェイは現在、日本市場では「P」シリーズ、「Mate」シリーズ、「honor」シリーズなどを展開しているが、この中でも「P」は高機能なだけではなく「高級機」なのだ。これに対して、「Mate」は高機能ではあるが、外装はコストがそれほどかかっていない実用機だと感じる。同社が公開しているスマートフォン・ポートフォリオによれば、公には「Mate」シリーズはビジネスエリートや上級ユーザー向け、「P」シリーズはデザインを気にする方向けとされていて、どちらも「高級機」なのかもしれないが。
<▲図:novaはダブルレンズカメラこそ搭載しないが高品質のメインカメラを搭載> |
一方、新たに登場するnovaは38,000円ぐらい、nova liteは22,000円ぐらいだ。この2機種は価格は安いのだが、単純に安い機種に区分できない。機能的には低価格なりの機種ではないからだ。ここには「若者向け」という明確なマーケティングがある。
さて、日本市場において、昨年ヒットした機種の一つにASUSの「ZenFone Go」がある。ZenFone Goは約2万円という低価格ながら、それなりに実用的な機能を持つことでそれなりにヒットした。しかし、正直に言えば、ディスプレイのクオリティが低く、長時間使うにはイマイチという印象を受けた。
ところが、同じくらいの価格帯のnova liteのディスプレイのクオリティは明らかにZenFone Goを超えている。そして、メモリ容量やプロセッサの処理速度も上だ。まあ、昨年半ば頃に登場した機種と比較すれば、性能的に上回るのは当然と言えるかもしれない。
今年も「Computex Taipei」あたりのタイミングでASUSは同じセグメントの新機種を出してくるかもしれないが、それまでの期間は確実にnova liteが勝つことになるわけだ。
<▲図:nova lite> |
<▲図:nova liteの背面> |
そして、実はASUSがこのセグメントに新機種を投入しても不利なポイントがある。それは、ファーウェイはプロセッサまでを自社で作るなど、生産コストをより低く抑えられる力を持っている点だ。そんなファーウェイとコスト競争が厳しい低価格帯の機種で戦うのはツライ。
僕は2万円程度のレンジでASUSがファーウェイに勝つのは極めて厳しいと思う。そしてnovaはASUSのもう一つのドル箱である「ZenFone 3」とぶつかる可能性もある。
このあたりの機種で負けてしまうと、「LEICA」(ライカ)との共同開発カメラを搭載する上位機種との勝負はもっと厳しい。
このままでいけば、昨年に続き、今年も日本国内においてファーウェイはASUSを超える出荷シェアを取ってしまうことだろう。
記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo、
ブログ:一条真人メモ
クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。
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本コラムは毎月第2・第4火曜日更新予定!
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