ソフトバンクは3日、「ダクト干渉キャンセラー装置」の開発に成功したと発表した。この装置は、例年3月初旬頃から11月頃までの間、夕方から深夜、早朝にかけて中国や韓国などの大陸から九州及び日本海沿岸に到来するダクト干渉波を効率よく低減するもの。
ダクト干渉は、気象条件によって東シナ海や日本海上空の空気の屈折率が反転した時に、反転層内を電波が閉じ込められるように伝搬することから、通常では届かない大陸からの電波が九州や日本海沿岸まで届く伝搬現象。最終的に、同一周波数帯を使用している無線システムに干渉妨害を与えることがある。
今回開発されたダクト干渉キャンセラー装置では、ダクト干渉を中継局で低減することができる。
ダクト干渉キャンセラー装置は、MCA(業務用移動通信サービス)中継局受信アンテナの直下に設置するアンテナ(副受信アンテナ)と制御装置で構成される。
副受信アンテナで受信したダクト干渉波を中継局受信アンテナに到来する干渉波と同一振幅、逆位相になるように制御装置で制御して、中継局受信アンテナの信号に加算することでダクト干渉波を低減するという仕組み。
今回、北九州市八幡東区現山(標高618m)の山頂付近にあるMCA北九州中継局にダクト干渉キャンセラー装置を設置しての実証実験も行われている。結果、中国や韓国方面から到来してきたダクト干渉波を15dB以上低減できることを確認したという。
今後は一般社団法人移動無線センター(MRC)と協力し、ダクト干渉を受けているMCA中継局に対して装置導入を検討するという。
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