Androidニュース&アプリ情報メディア

【せう先生のスマホ講座】第57回:急速充電技術「Quick Charge」が3.0にバージョンアップ! 2.0と何が違う?

GAPSISをご覧の皆様、「せう」です。こんにちは。前回の記事において、USB 2.0/3.1のオプション規格「USB Power Delivery(USB PD)」について解説しましたが、USBの給電能力を上げる技術(規格)は他にもあります。

<▲図:Quick Charge 2.0をより高速にした「Quick Charge 3.0」>

その中で一番有名なのが、Qualcommが策定した「Quick Charge(クイックチャージ)」(※Quick Chargeについての公式サイトはこちら)です。その名の通り、スマートフォンやタブレットの急速充電に特化したもので、Qualcomm製のチップセットを採用している機種の一部で利用できます。

その最新版である「Quick Charge 3.0」に対応する機種が、ちらほら出てきました。

実はすでにさらに新バージョンの「Quick Charge 4.0」(※Qualcommの発表記事)の足音も聞こえてきていますが、まずはQuick Charge 3.0について解説したいと思います。


■Quick Charge 2.0よりさらに38%の効率アップに成功

<▲図:通常のUSB給電の4倍の高速充電を実現>

Quick Charge 3.0は、前バージョンの2.0と比較してさらに充電の効率化を進めています。公式ブログの説明(こちらの記事)によると、38%の効率改善を実現しているそうです。

これにより、通常のUSB給電の約4倍、初代Quick Chargeの約2倍の充電速度を実現しました。


■充電モードを細かくすることでバッテリー寿命にも配慮

<▲図:充電モードを細分化してよりムダを省く>

充電効率の改善には、新たに導入された「Intelligent Negotiation for Optimum Voltage」(略して「INOV」)という技術が貢献しています。

Quick Charge 2.0では、3つまたは4つの電源モードを機器に応じて切り替えて使っていましたが、3.0では電圧は3.6~20Vを0.2V単位で調整することで、バッテリーに過剰な負荷をかけずに効率良く充電できるようにしました。この調整は充電アダプターと充電する機器間通信で行います。


■スマホ・タブレット側の対応はメーカー次第

<▲図:主なQuick Charge 3.0対応機種>

端末側は、最新のSnapdragon 8/6/4シリーズのプロセッサーを搭載していればQuick Charge 3.0に対応可能です。ただし、回路設計の配慮が必要なことや、「Quick Charge 2.0対応でも十分」といったメーカーごとの開発ポリシーもあるため、「最新プロセッサー採用=Quick Charge 3.0対応」とは限りません。

なお、Quick Charge 3.0対応機器は従来のQuick Chargeの上位互換を有しています。Quick Charge 3.0対応充電器でQuick Charge 2.0対応端末を充電できますし、Quick Charge 2.0対応充電器ではQuick Charge 3.0対応端末をQuick Charge 2.0モードで充電できます。

ということで、Quick Charge 3.0対応端末を買ったら、対応の充電器を買うとより効率的な充電ができますよ!!


※編集部注:Quick Charge 2.0/3.0対応スマートフォンでも本体パッケージにQuick Charge対応のUSB-ACアダプター及びUSBケーブルが同梱されていない機種もあります。また、本体はQuick Chargeに対応していても、同梱品はコストカットのためにQuick Charge非対応品のACアダプターということもあります。機種によって異なりますので、Quick Chargeを利用したいときには確認が必要です。また、合わせてUSBケーブルもQuick Chargeに対応したものにする必要があります。古いUSBケーブルを使いまわしている場合には注意が必要です。


記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

「せう先生のスマホ講座」の他の記事はこちら
本コラムは毎月第1・第3日曜日更新予定!

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:0 件