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【レビュー】スマホの未来に真剣に取り組んだTSUTAYAのスマホ「TONE」

多くの人にとって、スマホのチェックポイントは運用コストだのスムーズに動くかだの、画面が大きいとか小さいとかいうようなものだと思うが、言うまでもなく、これらの点はレイヤーレベルの低いポイントだ。より重要なポイントは、自分の使い方で自分の生活の中でマッチするのか? ということだと思う。

<▲図:トーンモバイルのスマホ「TONE m15」>

とはいえ、このようなことは、単純に最新技術を投入したGoogleの「Nexus」シリーズなどを見ていても、判断しにくい問題だ。初期のAndroidのように快適に動くこともままならなかった時代であれば、スペックに目を見張るということも必要だったが、今やそんな時代ではない。例えば、今やASUSの3万円スマホである「ZenFone Max」程度のパフォーマンスがあれば、普通のユーザーには十分なのだ。

しかし、そこには、ただ「動く」というだけで、「何をどうする?」という明確な意志があるわけでもない。

そんな状況の中で、明確な意志を感じるスマホがある。それが「TONE」(トーン)だ。TONEもAndroidスマートフォンだが、多くの面で普通のスマホとは違っている。

ちなみに、TONEは「TSUTAYA(ツタヤ)」のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)とフリービットの合弁会社「トーンモバイル」のスマホだ。そのため、「ツタヤのスマホ」という形で紹介されることが多い。TSUTAYAの大型店舗で販売されるので、日本全国で手軽に入手できる。オンラインショッピングと違って、実際に手に取って、店員に説明してもらってから購入することができる。

TONEは、通信面とソフトウェアで独自の特徴を持っている。まずは通信の話をしよう。

普通のスマホでは、例えば月間3GBまで高速データ通信ができる料金プランで契約しているSIMカードであれば、3GBの契約容量まで通常の通信速度で通信した後は、通信速度制限が掛かって、速度が下がることになる。制限速度はキャリアによって異なり、200kbpsだったり、128kbpsだったりするのが一般的だ。

この制限速度レベルになると、まあ、メールを使う程度のことはなんとかできるが、それ以外のことではかなり不便だ。そのため、どの程度の通信容量で契約をするのか? ということが重要な問題になってくる。

さて、普通のユーザーのスマホの用途を考えてみよう。

ほとんどの場合はメール、FacebookなどのSNS、スケジュール、Googleマップ、ウェブサイトの閲覧などではないだろうか? そして、音声通話もある。メールやSNS、スケジュール、マップなどはそれほど速い通信速度がなくても十分に使える。普通のユーザーのほとんどの用途というのは、あまり通信速度が速くなくても使えるわけだ。

現在のTONEの最新機種である「TONE m15」はLTEに対応しているのだが、TONEのプランでは、通常時の通信速度は300kbps程度だ。普通のユーザーが普通に使うような用途であれば、問題のない速度だ。

TONEの月額1,000円(税別)のプランで、容量無制限に通信ができるという秘密はこの低速通信にある。そして、もし高速通信が必要な場合は、有料のチケットを購入すれば、高速(普通のLTEの速度だが)で通信することができる。重いウェブサイトを閲覧したり、動画を視聴したりする場合には、300kbpsではストレスを感じるかもしれないが、そういう時にはチケットで対応できる。

このTONEの戦略は最近、他のMVNOサービスの中でも追従するものが出てきている。TONEはこれをすでに2年間やっているが、他の事業者がトーンモバイルの戦略の良さに気づくのに2年以上掛かったことになる。

次はTONE自体の話だ。

TONEは独自のホーム画面を搭載していたり、2台あれば親が子供のスマホを管理できるモードも搭載している。

そして最近、ヘルスケア関連の機能も強化された。多くのスマホでは万歩計アプリを搭載しているが、TONEではさらにそれを一歩進めている。ジョギングなどを日常的に行っている人であれば、「エアロビクス理論」という言葉を聞いたことがあると思う。というか、言葉自体は今や非常にポピュラーだ。

「エアロビクス理論」では、同じ距離を走ったり歩いたりしても、速度が速いほうが「運動強度」が高くなる。この「運動強度」は、「エアロビクス理論」ではポイントで表される。

これと同じように、ある程度以上の「運動強度」になったときの時間を計測するのがTONEの「ライフログ」アプリにおける「活動量」だ。

<▲図:トーンモバイル向けの「ライフログ」アプリ。左がダッシュボードで右はカロリー。ダッシュボードには活動量、歩数、カロリー、心拍という4つのデータが並ぶ>

例えば、8,000歩とか1万歩歩いても、「運動強度」が高い場合と低い場合では体への負荷が異なるわけだ。TONEのライフログアプリでは、ある程度の速さでの早歩きの時間を活動量として計測しているようだ。

TONEでは、健康を維持するための1日の運動量は、歩き8,000歩と早歩き(活動量)20分としている。これをクリアすると「Tポイント」1ポイントがゲットできる。また、心拍数に関しては、カメラ用のLEDフラッシュを使って計測することができるようになっている。

<▲図:活動量記録。「Tポイント」マークが表示されている日は、基準の運動量をクリアしたので1ポイント付与されている。仮に8,000歩歩いても早歩きが20分未満だと付与されない。8,000歩の徒歩の中に早歩きが20分含まれていればOK>

<▲図:TONEではカメラ用のLEDライトを使って心拍数を測定できるようになっている>

TONEは健康な生活や子供のスマホ管理、効率的に使えて実用的でコストパフォーマンスの高いランニングコストを実現するなど、今までにないビジョンを持ったスマホだ。その誕生が約2年も前なのには驚かされる。これからもTONEの動向には要注目だ。

(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
TSUTAYAのスマホ 「TONE」

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