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【レビュー】ASUS Zen AiO(Z240ICGK-I76700T)第3回:クリエイター向けに動画や写真編集、DTMに4K液晶は最適

ASUSのオールインワンPC「Zen AiO」(Z240ICGK-I76700T)のレビュー第3回目となる今回は、4Kディスプレイを中心に動画編集や写真編集、そしてDTM(デスクトップミュージック)などにどう活用できるかを探ってみたいと思う。

<▲図:高精細で美しい23.8型4K IPS液晶を搭載するZen AiO>

Zen AiOには、サイバーリンク製の写真編集ソフト「PhotoDirector 3 LE」と動画編集ソフト「PowerDirector 10 LE」が付属する。このソフトは、スマホで撮った写真や動画を簡単に編集できるので、入門ソフトとして十分楽しめるだろう。高精細な4K(3,840×2,160ドット)大画面で写真の編集をしてみるとZen AiOの良さを実感できるはずだ。

<▲図:写真編集ソフトPhotoDirector 3 LE、動画編集ソフトPowerDirector 10 LEが付属する>

PowerDirector 10 LEはスマホから転送した複数の動画をタイムライン上に並べ、要らない部分をカットして一本の動画にまとめられるというもの。LE版ながら明るさや色調整もできるので本格的な編集作業が可能だ。ただし、4K動画の編集には対応していないので、必要に応じて別途ソフトが必要となる。

そこで、今回はクリエイターが使うことを想定し、アドビの写真編集ソフト「Adobe Photoshop Lightroom CC」(以下、Lightroom)と、絶版ながら解像度の違いが分かりやすい個性的なDTMソフト「Orion 8.6」(Orion)で4K表示について検証していく。

4Kという解像度は、23.8型大画面のZen AiOでもドットバイドット表示では文字がかなり小さい。Windowsには、文字やアイコン、UI(ユーザーインターフェイス)のサイズを一括で変更できるディスプレイのスケーリング変更機能が用意されている。そこで、このスケーリングを調整してソフトごとの見え方をチェックしてみた。

<▲図:Windows 10のディスプレイのカスタマイズにスケーリング設定がある>

実は、4K動画編集に対応したソニーの「SONY Vegas Pro 13」(以下、Vegas Pro)でもスケーリングによる表示の違いを紹介しようと思ったのだが、一部スケーリングに非対応な部分があるため割愛した。Zen AiOでの動作は、4Kのプレビューウィンドウのサイズが大きく、編集も快適に行うことができた。

<▲図:SONY Vegas Pro 13で4K動画編集をして4K出力中。4コア8スレッドのCPU Core i7がフル稼働している>

なお、Vegas Proの販売元がソニーからソースネクストに変更になったことで、標準価格92,000円が期間限定割引によって10,000円以下で販売されることもあるので、ソースネクストwebストアの価格も是非チェックしてみて欲しい。

それでは、Lightroomでのスケーリング100%、150%、200%の比較をしてみたいと思う。Lightroomの画面は大きく分けて、ファイル管理を行うビューと編集画面など写真を大きく表示するビューがある。ディスプレイスケーリングを変更することで、見え方や使い勝手にどのような違いが出てくるのだろうか?

まずはスケーリング100%での表示から。下図を見て欲しい。

<▲図:スケーリング100%。サムネイルが並ぶライブラリ画面とRAW現像画面>

スケーリング100%では文字がかなり細かい。その小ささは、スマホでの文字表示に近い。スマホを手元で操作する時と同じくらいの距離までディスプレイに近づいて見れば読むことができる、というレベルのサイズ感だ。文字だけではなく、画面内に表示されるサムネイルも多く表示される。編集画面ではコントロールするためのスライダーなどがかなり細かい。一方で表示する画像領域が広くなるため編集はしやすい。

次はスケーリング150%だ(下図参照)。

<▲図:スケーリング150%。スケーリングを上げたのでサムネイルが大きく表示された>

スケーリング150%は文字表示や編集画面も丁度良いサイズだ。サムネイルのサイズはスケーリング100%と同じだが、表示自体が大きくなったため、サムネイルの表示数は大幅に減っている。ちなみに、サムネイルのサイズはLightroomの設定で小さくすることも可能だ。

そして最後にスケーリング200%(下図参照)。

<▲図:スケーリング200%での表示。サムネイルが巨大表示となった>

スケーリング200%は表示がフルHD(1,920×1,080ドット)相当になるため、これまで見てきたサイズより大ぶりに感じる。サムネイルも横に4つしか並ばず、表示の大きさを感じる。なお、スケーリング200%のように表示を大きくしても、文字やアイコンは粗くなく、4Kの解像度で滑らかに表示されている。

<▲図:スケーリング100%での表示。スケーリング100%は右の編集ツールを多く表示できるので、使い勝手が良いとも言える>

結果、総合的に使い勝手の良いスケーリング倍率は150%であると感じた。

4K表示よりやや狭くなるが、フルHDよりは広く画面を使える点がメリットだ。Zen AiOで実際に写真編集をした感想は、Core i7搭載ということで、レスポンスが良く快適だった。ただ、13インチぐらいのノートPCでは気にならないが、大画面ともなると、グレア(光沢)ディスプレイは暗い部分に周囲が写り込む点は気になった。

続いてOrionのディスプレイスケーリングの違いを見てみよう。

Orionは一般的なDTMソフトと大きく異なる点がある。基本は内蔵およびプラグイン形式のヴァーチャル楽器でパターンを作っていくというもので、現在のスマホやタブレット向けのDTMアプリの原型とも言うべきソフトだ。

<▲図:楽器を追加して、パターンを作っていくちょっと変わったDTMソフト>

自由に楽器を追加でき、レイアウトも自分の好きなようにできるという自由度の高さがOrionのメリットだが、画面内に楽器やエフェクターが雑然と並び、管理が大変というデメリットもある。

Orionでは、スケーリング200%から見てみたい(下図参照)。

<▲図:大きくて見やすい反面、画面が窮屈なスケーリング200%>

画面中央の「DUNE 2」というシンセサイザーは多機能ゆえに表示がかなり大きい。これを前面に持ってくると裏側に回った楽器を編集する際にはウィンドウを探す手間が発生する。では、スケーリング150%はどうだろうか?(下図参照)

<▲図:実用的と感じるのはやはりスケーリング150%>

スケーリング150%ならDUNE 2のサイズがちょうど良く、周辺も見渡しやすい。ちなみに、Zen AiOは非対応だが、タッチ操作ならスケーリング200%の方が使いやすいと感じるかもしれない。

最後にスケーリング100%(下図参照)。

<▲図:圧巻のスケーリング100%表示>

スケーリング100%となるとDUNE 2がここまで小さくなり、4Kの解像度の高さを感じた。このように画面内にシンセサイザーやミキサー、エフェクターも余裕で並ばせることができる。マウスによる操作の他に、つまみやスライダーがついたMIDIコントローラーが使えるので、スケーリング100%でも編集は可能だ。

ところで、ウェブサイトをスケーリング100%で表示するとどうなるのだろうか? 下図のように縦方向はかなり下まで一気に表示される。一方で横はスカスカだ。逆に言えば、画面内に一度にいくつものサイトを並べて表示することも十分に可能だということ。

<▲図:GAPSISのページをスケーリング100%で表示してみた。かなり下の方まで表示されている>

4Kディスプレイは高精細なので、慣れてしまうとフルHDディスプレイがザラザラして見えてしまうこともある。

とはいえ、今回検証したように23.8型のディスプレイで実用的な表示サイズにしようとすると、4Kのドットバイドット表示ではなくなってしまう。ここが最初はジレンマと感じるかもしれないが、実際に使ってみるとスケーリング150%や200%などでも、文字がフルHDよりも綺麗に表示されるなどメリットも大きく、十分納得できるだろう。

次回はDLNA接続を利用したテレビ視聴や、スマートフォンとの連携などについて見てみたいと思う。


(記事:mi2_303

【情報元、参考リンク】
ASUS公式オンラインショップ
ASUS公式オンラインショップ/Zen AiO(Z240ICGK-I76700T)製品ページ

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