PayPass加盟店に設置されたリーダー(香港のセブン-イレブン) |
「iD/PayPass」を海外利用可能な設定にしておくと、MasterCardの提供する「PayPass」加盟店でiDを使った決済を国内と同じ感覚で利用でき、慣れない海外の紙幣やコインをサイフから取り出して支払する必要が無くなる上、支払手続きも国内でおサイフケータイを利用するのと同様にスピーディに行えるようになるので、海外渡航の多い方には非常に便利です。
iDを海外利用するための条件は以下の5点です。
(1) iDに紐付けるクレジットカードにDCMXなど指定のカードを選ぶ
(2) FeliCaとNFC Type A/Bの両方に対応するドコモのスマートフォンを使用する
(3) ピンク色のドコモUIMカード(SIM)を使用する
(4) スマートフォン上でNFC Type A/Bを有効に、NFC R/W P2Pをオフに設定する
(5) iDのアプリケーション上からiD/PayPassの「海外利用設定」を事前に行う
細かく書いてしまうと条件が複雑であるようにも感じますが、シンプルに言えば「NFC Type A/Bに対応するスマートフォンで、事前にiD/PayPassの海外利用設定を行う」ということがiD/PayPassを海外で利用する条件になります。
ただし、1点注意すべき点としては、iDに紐付けるクレジットカードがDCMX(DCMX GOLDを含む)またはオリエントコーポレーションのクレジットカードで無いと、iD/PayPass決済が利用できないという点です。この点はこれらのクレジットカード以外でiDを利用している方にとっては不便なポイントと言えます。
(2)の「FelicaとNFC Type A/Bに対応するドコモのスマートフォン」は、2012年冬モデル以降の機種が該当します。NFC Type A/Bに対応している機種では、NFC関連の設定にNFC Type A/Bを有効にする設定項目があります。
[Xperia Z3 Compact SO-02Gの例] 下記の手順で設定できる。 無線とネットワーク > その他設定 > NFC/おサイフケータイ 設定 > NFC Type設定 |
(3)のSIMカードの種類(バージョン)については、ドコモショップや家電量販店などのドコモ取扱い店にてスマートフォンの機種変更を行っている場合、購入する機種がNFC Type A/B対応機種であれば自動的にSIMカードもNFC Type A/B対応のものに切替されますので、スマートフォンを白ロムで購入している場合などを除き、意識する必要はないでしょう。なお、NFC Type A/Bに対応するSIMカードはピンク色になっています。
(4)の設定については、全てのNFC Type A/B対応機種を調査したわけではないのですが、手元にあるNFC Type A/B対応機種では、標準設定の状態で、モバイルSuicaなどで使われている「FeliCa」と「NFC Type A/B」の両方が有効になっていましたので、この点もそれほど意識する必要は無いように思います。
これらを踏まえた上で、国内で日頃からiDを利用している方が気をつけるポイントとしては、(5)のiDアプリケーション上からの「海外利用設定」です。iD/PayPassを利用するためには、iDアプリケーション上から「海外利用設定」が必要となり、この設定を行わないと海外でiD/PayPassを利用することができません。
iD/PayPass設定を完了すると、iDアプリの右上にiD/PayPassが有効と表示される |
iD/PayPassの利用設定はiDアプリ上から設定を行います。設定に関する詳細な手順は、ドコモのWebサイトに記載されています。
→iD/PayPassの設定・削除 | ドコモの「iD」
iD/PayPassの利用手続きについては、海外渡航後にも国際ローミングサービスを利用しての設定は可能ですが、国際ローミングの利用は通信料が日本国内と比べて割高となるため、海外への渡航前に国内で設定しておくことをオススメします。
ドコモの海外ローミングサービスは、従来から提供されている「海外パケ・ホーダイ」に加えて、申込から24時間の通信料が定額になる「海外1dayパケ」が提供開始されており、こちらは定額料が980円 〜 1,580円/24時間と、「海外パケ・ホーダイ」よりも割安に設定されています。
ドコモの「海外パケ・ホーダイ」と「海外1dayパケ」については過去の連載でも紹介していますので、参考にしてください。
→第27回:ドコモのLTE国際ローミングをSIMフリー端末で試す。「海外パケ・ホーダイ」と「海外1dayパケ」の違いもチェック
一連の設定を終えると、iD/PayPassを海外でも利用することができるようになります。
PayPass加盟店には、PayPassのロゴ入りのリーダーが設置されています。筆者が初めてiD/PayPass決済を使った香港では、セブン-イレブンやスターバックスなどがPayPass決済を導入していました。
PayPassに対応するリーダー、香港空港のスターバックスにて |
支払時は「PayPass」と言って、PayPass決済を行いたい旨を伝えましょう。
スマートフォンをかざして支払い |
iD/PayPass決済利用時は、データ通信を有効にしている必要は無いので、国際ローミングのデータ通信はオフに設定していても構いません。決済時にiDアプリを起動しておく必要もありませんので、国内でおサイフケータイを使うのと同じ感覚で「かざして支払い」ができます。
おサイフケータイを使った決済は国内でももちろん便利ですが、海外では特に「普段は見慣れない紙幣やコインをサイフから取り出す必要が無くなる」というメリットが非常に大きく、一度iD/PayPass決済を体験してからは、利用するお店でiD/PayPassの決済が使えないかレジ前でPayPassのロゴを探すのが習慣づいてしまいました。
iD/PayPassは、対応機種がドコモのおサイフケータイ対応のスマートフォン(のうち、NFC Type A/B対応している機種)のみとなっている上、iDを利用するクレジットカードがDCMXなど一部のクレジットカードに限定されているなど、利用可能となる条件は厳しめではあるのですが、実際に使ってみると海外でも「かざして支払い」によって会計の手間とストレスから解放される、非常に便利なサービスです。
なお、ドコモは2015年4月15日まで、iD/PayPassの利用金額の30%(毎月最大10,000円まで)をキャッシュバックするキャンペーンを行っています。キャンペーンは既にiD/PayPassを利用中の方も、これから新たに使いはじめる方も対象です。キャンペーン期間中に海外への渡航予定がある方は、iD/PayPassの設定とキャンペーンへの参加登録をオススメします(キャンペーンの参加には登録が必要となります)。
→毎月最大1万円が返ってくるキャンペーン
記事執筆者プロフィール
島田純
ブロガー/フリーライター
Twitter:@shimajiro、ブログ:shimajiro@mobiler
ブログとモバイルと旅が好きなフリーランスのブロガー/ライター。
モバイルWi-Fiルータやデータ通信関連が得意です。
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本コラムは毎月第1・第3火曜日更新予定!
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