もはや「田中プロ」の愛称が定着した感のある田中社長 |
本記事ではその発表会のレポートをお届けしたい。
このFx0は日本初のFirefox OS搭載スマートフォンの発表会なわけだが、
「クリスマス・イブイブの日に発表会はないだろう。あんまり人が来ていないんじゃないか?」
という僕の予想を裏切り、スマートフォンの発表会で見かける面々のかなりの部分が来ていた。みんな仕事熱心で結構なことだ。
なぜか、オシャレな場所にしか行かないはずの雑誌「GoodsPress(グッズプレス)」編集長の長谷部氏も来ていて、元徳間書店のジブリのプロデューサー鈴木氏について、ちょっと話をしたりした。
さて、本題であるFx0発表会の話に戻ろう。
まずは、田中プロ(KDDI代表取締役社長の田中孝司氏)の登壇だが、いきなり登場せずにMCの女性に進行させて、ハッカソンの舞台裏から中継してから登場してきた。
そう、今回は「ハッカソン」要素を組み込んだ発表会なのだ。Firefox OSはHTML5をベースにしており、開発がしやすいプラットフォームであることをアピールしているのだが、この開発のしやすさを見せるために短時間で開発したアプリのデモを発表会の中で行おうと言うわけだ。
Firefox OSの特徴 |
田中プロも「僕も昔はプログラマーだった(そうだったのか!)けど、今は開発言語もHTMLとかがメジャーになり、僕の時代とは変わったね」というような話を織り交ぜながら、Firefox OSを紹介し、「ギーク向けにショーバイ抜きでやっていきたい」と熱く語っていた。
ガル氏 |
ガル氏もFirefox OSの特徴を紹介したのだが、Firefox OSはWebとスマートフォンを繋ぐブリッジとなるものだと語っている。Firefox OS搭載スマートフォンは、すでに世界中でリリースされており、このFirefox OSが「WoT」のキーになるということだ。「WoT」は「Web of Things」の略で、様々なものがWebを介して繋がる世界観において、Firefox OSがそれらを繋ぐ。
Firefox OSの特徴
世界リリース、WoTについて
再び田中プロが戻り、日本初のFirefox OS搭載機の名前、「Fx0」(えふえっくすぜろ)を明らかにした。
名称は「Fx0」 |
「ううーん」
個人的には、このネーミングから投資のFXを連想し、ゼロとの組み合わせで風水的に問題がある気がした。「F0x」の方がカッコイイのでは? まあ、様々な理由があるのだろうし、そんな個人的な感想から話を戻すと、田中プロはこの端末はデザインにもこだわっているのだと述べた。
デザインを担当したのは、著名な吉岡徳仁氏だ。
確かにそのスケルトンボディはなかなかクールだ。
Fx0はスケルトンボディが特徴 |
ちなみに、Fx0のホームボタンは10回作り直したというほどこだわっている。1回作るのに30万円なので、ここだけで300万円以上をかけていることになる。
さらに、ネジもカスタマイズしており、この独自性のおかげでモックアップを作れなかったのだという。そのため、店頭にはモックではなく、実機が並ぶことになったそうだ。
そして、NFCによるWeb-cast機能、ロックスクリーンの作成機能を搭載するなど、Fx0ならではの機能が紹介された。Web-castという言葉は聞き慣れないが、Fx0同士をタッチするだけで写真や動画を共有できる、という機能だ。
また、驚いたことに、Fx0のボディについて、3Dプリンター用データが公開されるということで、背面カバー、ケースなどを自作したい人には便利そうだ。実際にすでに公開されているので、欲しい方は「http://au-fx.kddi.com/」へアクセスし、「Tools」をクリックして注意書きを確認の上、ダウンロードしよう。
通信料金については、サブ機として購入する方が多いと思えるため、やや安くしたということだ。
Fx0には専用のデータ定額プラン「LTEフラット cp(f・2GB)」が用意される。最大3年間は月額3,500円で、4年目以降は5,700円という値段で、新規契約の場合は基本使用料が最大2年間0円になるので、「LTE NET」の月額300円をあわせても最大2年間は月額3,800円で利用できる。詳しくは公式サイトを確認してほしい。
料金 |
その後、ハッカソンとなり、Fx0のために3チームが開発したアプリのデモが行われた。
ちなみにこのときの進行はギーク女優の池澤あやかにバトンタッチしている。
ハッカソン参加チーム
ハッカソンの後は、Fx0のタッチ&トライと懇親会となり、プレス陣も実機に触れることができた。海外で100ドルや200ドルで売られている機種と異なり、このFx0は最新スペックなので実にサクサク動くし、デザイン的にもクールだ。CPUはクアッドコアのSnapdragon 400で、メモリは1.5GB、ストレージは16GB、そしてネットワークではau 4G LTEに対応している。日本語入力には「iWnn IME for Firefox OS」を採用し、迷いなく入力できる。
Fx0 |
そんなFx0の発表会だったが、僕が気になっていたのは、Mozilla Japanだ。Mozilla Japanは、Firefox OSスマートフォンの日本版の開発を進め、なんとかリリースしたいと努力していたのだが、その人たちの挨拶の場がなかったことが気になっていた。
そして、終演間近、プレスの人たちがほとんど帰ってしまった後、ようやくMozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏が壇上にあがり、「ようやくリリースすることができました」とスピーチを始めた。
僕はスピーチを終えた瀧田氏に近づき、真っ先に握手を交わし、「リリースできてよかったですね」と挨拶した。
本当にこの日が来てよかった。
Mozilla Japanの瀧田氏 |
Fx0は多くの人に支えられて、このリリースの日を迎えたのだ。
(記事:一条真人)
【情報元、参考リンク】
Fx0特設サイト