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【取材レポート】「他を圧倒するAV機能が光る」Xperia Z2世代の新技術についてソニーモバイルで聞いてきた(前編)

オレはその日、「Xperia ZL2」を片手に「ひも理論」のことを真剣に考えながら歩いていた。あまりに真剣に考えていたのだろうか、気がついたら品川のソニーモバイルコミュニケーションズに来て、エンジニアの方々を前に「Xperia Z2」世代の新技術について話を聞き始めている自分に気付いた。今回はそのときの話を紹介したいと思う。

Xperiaを開発しているエンジニアの方々。

ちなみに、Xperia Z2世代と書いたが、対象機種はNTTドコモ(以下、ドコモ)向けスマートフォン「Xperia Z2」、au向けのXperia ZL2、そして、タブレットの「Xperia Z2 Tablet」になる。これらの機種には共通した新技術が導入されている。

今回の取材では、各分野の技術者6人の方が様々な角度からXperia関連技術について話を聞かせてくれた。以下、各エンジニアの方々の話を伝える形で紹介したい。

Z2世代の新機種たち。


《デザイン面》

デザイン担当の石田です。

まず、Xperia Z2のデザインは基本的にはXperia Z1のものを踏襲しています。

「オムニバランスデザイン」(全ての方向でバランスの取れたデザイン)というものをさらに洗練させた形で採用しており、Xperia Z1よりも幅が狭くなり、かつ画面が広くなるという進化をしています。それに加えて、「快適な形」ということも考え、こだわってデザインしています。

例えば、ボディのコーナーには「球形状」を取り入れています。

どんな方向、どんな角度でも持ちやすいという形ですが、この球自体をXperia Z1のものよりも少し大きく、マイルドな球にすることで、より使いやすく持ちやすい形状になっています。

そして、ボディの構造は、今までは組み立て式で、各パーツを組み合わせるというものでした。しかし、今回は「インサートモールディング」という技術を使い、表面のガラスの周りの樹脂素材をサイドフレームと一体化し、完全に一体成型にしています。

一体成型にすることで、組み立て式では絶対にできない美しさを実現しています。そして当然、持ちやすい形も実現できたと思っています。

メタルフレームについては、Xperia Z1の時も金属の良さを引き出せていたと思いますが、Xperia Z2ではさらに金属そのものの良さを引き出すことを考えました。

側面のカット面をシルバー仕上げにしてアルミそのものの輝きを強調し、特徴的な電源ボタンとともに、どこから見てもXperiaだということがわかる象徴的なデザインを実現しています。

Xperia ZL2はXperia Z2とは違うデザインをしているわけですが、コンパクトでおしゃれな独特のデザインになっています。

次にXperia Z2 Tabletにいきましょう。タブレットに関しても、基本的にガラスデザインを踏襲しています。ですが、ボディの厚さを6mm台にするために、背面の素材に「ウーブンファイバー」というものを使っています。この素材のおかげで0.4mm薄くすることに成功しています。

また、Xperia Tablet Zではこのパネルをハメ殺しにしていたんですが、今回はXperia Z2と同じ様に一体化し、ユニボディ構成にし、フレームとウーブンファイバーを一体成型しています。

そのため、背面を見てみるとサイドの周囲にラインがないんですね。これによって見た目の美しさであったり、持ち心地であったり、ノイズを減らしています。そして側面にはシルバーというXperia Z2と同じデザイン記号を持たせています。

以上のような感じでXperia Z2シリーズの機種間の統一感をはかっています。

インサートモールディングについて。

右がZ1のフレーム、左がZ2のフレーム。インサートモールディングによって構成パーツ数が減っている。


《機構設計》

メカ担当の河村です。Xperia Z2の機構設計を担当しています。

メカ的なこだわりポイントを紹介します。これはちょっとデザインの部分と被るんですが、まず最大のメカ的なチャレンジというところでは、「インサートモールディング」というものがあります。一体成型ですね。メタルと樹脂を一体で成型する。その後に外形を加工していくんです。非常に手間がかかった作り方をしています。

Xperia Z1は組み立て方式だったのに対して今回は一体成型ということで、Xperia Z1では樹脂部分とメタル部分が分かれていたのが、これを1つの部品に集約したのがXperia Z2で、大きな進化です。そうすることによってノイズのないシームレスな、当たりの良いラウンドフォルムを作っています。

一体成型のおかげでサイズ的にもメリットが出まして、ディスプレイを5.2インチにしつつも、ボディの幅は1mmぐらい小さくなっていまして、狭額縁でディスプレーを大きく見せるようになっています。

また、一体成型のおかげで重さも軽くなってまして、これだけでも6gぐらい軽くなっています。

防水面を考えると、パーツを組み合わせている部分、水が通るゲートを全てシールドしなければならないんですが、今回は一体成型なので、シールドしなければならない部分が減り、構造的にシンプルにすることができています。

インサートモールディングのおかげで防水パッキンが少なくて済む。


《カメラ》

次はカメラの画質担当の有山です。

カメラで高画質を実現するにあたって、ソニーのハンディカムとかサイバーショットでも言われていることですが、我々は、レンズとイメージセンサー、信号処理・画像処理のエンジン、この3つ全てを自分のところで内製で作ってるというところが1番の強みになります。これら3つの技術を持っていることによって、Xperia Z2の高機能カメラが実現できていることになります。

ソニーのデジタルカメラテクノロジー。レンズ、センサー、画像処理エンジンがポイント

まず、Xperia Z1の時からそうなんですが、「Gレンズ」というソニー独自のレンズを搭載しています。そしてもう1つ、ソニーのCMOSセンサーを使っているということ、3つ目が、「BIONZ」からモバイル用に必要なところだけを搭載したのが「BIONZ for mobile」 です。

あと、これはXperia Z1の話なんですが、デジカメの画質のレベルには3レベルあると考えていて、ライフログレベルというか、TwitterとかのSNS・ブログなどにアップロードするための「メモ的」な用途レベル、その上がサイバーショットで撮れるような「思い出画質」レベル、そして、最後に「作品」としての写真レベルがあると我々は考えています。

画質レベルは3レベルで考えている

このように分けたときに、Xperia Z1以前のスマートフォンのカメラの画質は、この最もレベルの低い「メモ的」画質でした。ところが最近はスマートフォンで結婚式など、様々な記念日などの写真も撮影するようになってきているので、スマートフォンにおいても「思い出画質」レベルの写真も撮れるようにならなければならないと我々は考えました。そしてXperia Z1において、思い出画質を実現しました。

これは、サイバーショットとほぼ同じレベルの画質になります。これがXperia Z1で実現した画質です。

さて、静止画を撮影するにあたって、重要なポイントが3つあります。
  • 1:3倍のクリア(超解像)ズーム。
  • 2:動いてる被写体についてもブレにくく撮影できる強力な電子手ぶれ補正機能。
  • 3:暗いところでも撮影できる。ISO感度が6400まで対応。

これらはXperia Z1、Xperia Z2に共通した特徴です。

写真における3つのポイント

さらに今回、Xperia Z2では、この思い出画質というものをビデオのジャンルまで拡大しています。

1番大きいのが4K解像度での動画撮影ができるということです。そして、ハンディカムで培ったステディショット機能(手ブレ補正機能)です。Xperia Z2では、ハンディカム、サイバーショットレベルの電子手ぶれ補正を実現しています。

そして、4Kで撮影した映像をピンチズームで2倍に拡大して劣化なく見られること。これはXperia Z2本体で見た場合、ディスプレイの解像度がフルHDなので、4K解像度で撮影した映像は2倍まで拡大できるということです。

そして、スローモーションビデオ化できること。撮影した任意の部分をスローモーションにすることができ、「タイムシフトビデオ」機能と呼んでいます。

ちなみに4K動画でステディショットが可能になるのは映像素子が大きいおかげです。

ビデオ撮影における手ブレ補正

ビデオスローモーション




(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
Xperia Z2レビュー記事
Xperia ZL2実機レポート
Xperia Z2 Tabletレビュー記事

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