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【せう先生のスマホ講座】第2回:「MHL」とか「HDMI」って一体何なんですか?

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。こんにちは。暑くてたまらないですね。私、生まれてこの方、冷房のある部屋に住んだことが無いんですよね……。扇風機だけが命綱ですが、昨今のうだるような暑さでポリシーを曲げてエアコンを買ってしまいそうな勢いです。

パソコン用のモニターを新調したら「MHL」と「HDMI」対応だそうで

が、エアコンが無いことよりも由々しき事態が起こってしまいました。何と、パソコン用のモニターが壊れてしまったのです。これが無いと仕事や娯楽に悪影響が出てしまうので、慌てて秋葉原で新しいモニターを買いました。

このモニター、「MHL」と「HDMI」に対応しているそうです。最近のテレビも、両者に対応しているものが結構多いですよね。でも、皆さん、「MHL」と「HDMI」って単純にテレビに音や映像を送るための規格とか思っていませんか?

もちろん、その理解でも全然OKなのですが、今回のスマホ講座では、簡単に、一部マニアックに「MHL」と「HDMI」について解説します。予想以上に長い文章ですが、お付き合いください。


■HDMI = 高精細映像・音声を伝送する規格

HDMIのロゴ

HDMIは、“High-Definition Multimedia Interface”の略称です。要は、高精細のマルチメディアデータを伝送するためのインターフェイス規格だということです。何のことだかさっぱり、という方もいるでしょうから、もうちょっと詳しく解説をします。

DVI-D端子(左図)とHDMI(タイプA)端子(右図)。両者には互換性がある。


HDMIは高精細化していく映像と音声をひとつのケーブルでデジタル伝送できるようにすべく、パソコン用の“DVI-D”(Digital Visual Interface-Digital)をベースに、日米欧の家電メーカーや映像チップ製造会社(ソニー、パナソニック、東芝、日立製作所、シリコンイメージ、フィリップス)によって策定されました。DVI-D端子は一部のデスクトップパソコンやモニターに搭載されていますから、見たことがある方も少なくないはずです。

HDMIは、DVI-Dにデジタル音声の伝送機能、著作権保護機能(※)、色差での映像伝送対応機能を追加したものですから、音声が伝送されないことに注意すれば変換コネクター・ケーブル類を使って相互接続できます(後述のHDMI 1.2以降に準拠する機器ならほぼ確実に可能)。

(※)HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)と呼ばれる規格に対応。著作権保護コンテンツは送信側・受信側ともにHDCPに対応していないと表示できないようになっている。DVI-Dでもオプション対応可能。

HDMIは、現在のところ以下のバージョンが策定されています。

バージョン 概要
HDMI 1.0 初期バージョン。1080p(1920×1080ドット)の映像伝送に対応。色伝送は、Y/Cb/Cr(輝度と色差)で行う。
HDMI 1.1 Dolby DigitalやDTSによる音声伝送が可能に。DVD-Audioの伝送に対応。
HDMI 1.2 RGB(赤・緑・青)による色伝送に対応。
(→パソコン・パソコン用モニターでのHDMI端子搭載が可能に)
Super Audio CD(SACD)におけるDSDビットストリーム伝送に対応。
HDMI 1.2a “Consumer Electronic Control”(CEC:HDMIで接続した機器の制御)機能が追加。
HDMI 1.3 Mini HDMI端子(タイプC端子)を定義。
1440p(2560×1440ドット)映像伝送に対応。
Deep Colorによる色域拡張に対応。
xvYCC(x.v.Color)による色伝送に対応。
Dolby TrueHDやDTS-HD Master Audioによる音声伝送が可能に。
リップシンク(受像機器と送信機器との間で遅延を調整する機能)のサポート。
HDMI 1.3a CECで制御できる範囲(コマンド)が拡大。
HDMI 1.4 Micro HDMI端子(タイプD端子)と自動車搭載機器用端子(タイプE端子)を定義。
2160p(3840×2160ドット・30フレーム/秒または4096×2160ドット・24フレーム/秒)の映像伝送に対応。
3D映像の伝送に対応。
sYCC601、AdobeRGB、AdobeYCC601による色伝送が可能に。
Audio Return Channel(ARC:受像機器側の音声を、送信機器側に「戻す」機能)のサポート。
Ethernetデータ伝送(HDMI Ethernet Channel:HEC)に対応。
(→接続機器のどちらか片方がネット接続していれば、もう片方でも接続を共有できる)
HDMI 1.4a 3D映像伝送方式の追加。
HDMI 2.0 2160pの映像伝送で、60フレーム/秒表示が可能に。
21:9の画面比に正式対応。
最大で8チャンネル×4ストリーム=32チャンネルの音声伝送に対応。
リップシンクの機能拡張。
CECの機能拡張。


こうして見ると、結構色々な規格があることが分かります。現在販売されているHDMI対応機器では、少なくともHDMI 1.3以降に準拠している機器がほとんどです。


■MHL = 携帯機器の高精細伝送インターフェイス規格

MHLのロゴ

MHLは、“Mobile High-Definition Link”の略称です。つまり、携帯機器用の高精細画像・音声を伝送するためのインターフェイス規格です。HDMI同様、もう少し詳しく解説します。

タイプBのHDMI端子(Micro HDMI端子)がある富士通製スマートフォン「ARROWS X F-05D」

MHLは、HDMIの規格策定にも携わったシリコンイメージ社が開発し、日韓欧の携帯機器メーカー(ソニー、東芝、サムスン電子、ノキア)と協力して規格化されました。HDMIではHDMI 1.3と1.4でそれぞれMini HDMI端子とMicro HDMI端子が策定されました。前者は、デジタルビデオカメラ、後者はスマートフォンを中心に採用されました。上の写真の通り、「ARROWS X F-05D」では、Micro USB端子の隣にMicro HDMI端子が搭載され、映像の外部出力ができるようになりました。

MHL端子兼用のMicro USB端子を備えるARROWS NX F-01F

しかし、スマートフォンやタブレットでMico USB端子と別途にこれらの端子を設置すると、ボディの小型化・薄型化の制約になってしまう、という問題点がありました。そこで、MHLではMicro USB端子と同じ形状の端子を採用し、両者を併用できるようにしました。結果、端子の数を減らせ、小型化・薄型化がしやすくなったのです。最近のAndroidスマートフォンやタブレットでは、写真の「ARROWS NX F-01F」のように、MHL端子を兼ねたMicro USB端子を搭載しているものが一般的です。

MHLには、現在のところ以下のバージョンが策定されています。

バージョン 概要
MHL 1.0 初期バージョン。接続したモニター側から制御する機能を有する。
現在でもほとんどの機器はこのバージョンを搭載。
MHL 2.0 携帯機器側への給電能力が向上している。
MHL 3.0 2160p(3840×2160ドット・30フレーム/秒)の映像伝送に対応。


MHLでは、受信するテレビ・モニターがMHLに対応しているどうかによって接続方法が変わります。

<直接接続に対応している場合>

直結対応のモニターに直接MHL対応スマホを接続し、GAPSISを表示してみた。


テレビ・モニターのHDMI端子がMHLの直接接続に対応している場合、「MHLケーブル」(MHLパッシブケーブル)で直結できます。HDMI形状のコネクターをMHL対応HDMI端子に、Micro USB形状のコネクターをスマートフォン・タブレットのMicro USB/MHL端子に接続します。


<MHL非対応のテレビ・モニターの場合>

MHL非対応テレビ・モニター用のアダプタの接続図

テレビ・モニターのHDMI端子がMHLに非対応の場合、変換アダプターを用意することで接続できますアダプターには電源供給が必要です。Micro USB端子を使ったACアダプターなどを用意しましょう。


いずれの場合でも、テレビ・モニター側(MHL非対応の場合、変換アダプターも)がHDMIのCECに対応している場合、リモコンを使ってスマートフォンやタブレットをリモート操作できることがあります。なお、サムスン電子のGALAXYシリーズの新しめの機種(S IIIやNote II以降の機種)ではMHLで利用する端子のピンが他社よりも多いため、一般的なMHLケーブルやMHLアダプターを直接接続できない場合があります。GALAXYシリーズで使う場合は、専用品か変換コネクターを用意するなどの対策が必要です。


ということで、有線で映像・音声を伝送する「MHL」と「HDMI」の違い、分かりましたでしょうか? 何か、スマホを使っていると、どんどん分からないことが増えますね……。これからも、“?”を“!”にするべく、精進しますので、Twitterアカウント(@shoinoue)までご感想を是非お寄せ下さい!!


記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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本コラムは毎月第1・第3金曜日更新予定!

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:1 件
  1. んー 先に簡潔な結論を書いて欲しかったな。

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