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Wi-Fi WALER WiMAX 2+ NAD11 |
《通信性能》
■Wi-Fi(無線LAN)性能概要
WiMAX/WiMAX 2+の性能について紹介する前にNAD11のWi-Fi性能からチェックしていきたい。カタログスペック上はNAD11は2.4GHzではIEEE802.11b/g/n、5GHzではIEEE802.11a/n/acをサポートしている。そして、NAD11に同時接続できるWi-Fi機器の台数は10台までで、マルチSSIDに対応しているのでプライマリSSIDとセカンダリSSIDの2つを利用できる。
例えばPCやスマートフォンをプライマリSSID、ニンテンドー3DSやPlayStation Vitaなどの携帯ゲーム機をセカンダリSSIDに繋げたり、友人らに貸す際のSSIDをセカンダリにしたり、といった使い方ができる。
しかし、大注目の性能は最新のWi-Fi規格である11ac の5GHzに対応している点だ。
この点はNAD11の最大の売りといっても過言ではない。しかも、NAD11では単体で11ac の5GHzを利用できる。どういうことかというと、他社ルーターではクレードルセット時しか利用できない、というものもあるからだ。NAD11の場合は、例えば家の中で11ac の5GHzを使う場合、クレードルにセットする必要もないので、NAD11を持ち歩き、他の部屋で使ったり、ということも可能だ。
いまや2.4GHz帯は電波が多く干渉しがちなことを考えても11ac の5GHzは安定した通信、速度面から大きな魅力だ。
とはいえ、その11ac の5GHzは標準設定状態では利用できないので注意が必要だ。
■11acの5GHzの使い方
まずはブラウザのアドレス入力欄に「http://192.168.179.1/」と入力して「クイック設定Web」へアクセスする。この「クイック設定Web」はNAD11の詳細な設定ができるツール。この時のブラウザはPCでなくスマートフォンやタブレットでも構わないが、モバイル用ページではなくPC版レイアウトのページを表示しよう(※本記事掲載画像はPC版レイアウトのクイック設定Web)。
クイック設定Web |
5GHz帯を使用するかどうかという設定項目がある |
左メニューから「詳細設定TOPへ」→「無線LAN設定」→「無線LAN設定」と進むと、ページ右側に設定項目が並んで表示される。「無線LANアクセスポイント(親機)設定」の一番下に「11ac(5GHz帯)」という項目があるが、薄いチェックマークになっていると思うので、まずはその上の「5GHz帯」という項をチェックする。すると注意書きポップアップ画面が表示されるのでOKすると、「11ac(5GHz帯)」の項のチェックマークもキチンと濃く表示される。続いて右下の「設定」ボタンを押してOK、しばらくすると画面左側に「保存」ボタンが表示されるので押す。NAD11のディスプレイに目をやると「5GHz帯を使用 Yes No」と表示されるので、「Yes」に▲マークが表示されている時に「SET」ボタンを長押しすると、屋内のみで使うようメッセージが表示される。これで設定完了だ。
万一「No」側に▲マークが移ってしまったときはSETボタンを軽く押せば「Yes」側に移るので、それから長押しすればいい。また、ボタンを押すタイミングを失ってしまったときは、後述の通り「SET」ボタンから再表示できるので大丈夫だ。
「クイック設定Web」での設定後、NAD11本体側でも設定を行う必要がある。
一回設定すればOKだが、どうもNAD11の再起動ごと(休止状態からの復帰を含む)にNAD11のディスプレイで5GHz帯を使うか聞かれる。この時「Yes」を選ばないと使えないので再起動時にはしっかりと画面を見ておく必要がある。うっかり見逃したときは、「SET」ボタンを押して「機能設定」→「Wi-Fi動作 5GHz設定」と進め、「Yes」で「SET」ボタンを長押しすればいい。ちなみにこの「Wi-Fi動作 5GHz設定」は「クイック設定Web」で5GHzを使用する設定になっていない場合には表示されない。
面倒ではあるが、5GHz帯は屋内でしか使ってはいけないことになっているため、このような手順を組み込んでいるのだと考えられる。
とはいえ、家でNAD11をホームルーター代わりに使うことを考えている方にはとても便利な機能で、オススメだ。
■WiMAX/WiMAX 2+の通信性能
NAD11はWiMAXとWiMAX 2+に対応しており、サービス規格として現状ではWiMAXは下り最大40Mbps、上り最大15.4Mbpsで、WiMAX 2+は下り最大110Mbps、上り最大10Mbpsの速度になっている。WiMAX 2+は将来的に220Mbpsや1Gbps超にグレードアップしていく予定だが、現在は最大110Mbpsのサービス。
NAD11ではこのWiMAXとWiMAX 2+を利用可能で、WiMAX 2+を使うには通信モードを「ハイスピードモード」にする必要がある。標準設定がハイスピードモードなので、実際にはいじる必要はない。NAD11の通信モードは2つあり、一つがハイスピードモードで、もう一つが「ノーリミットモード」。切替は「SET」ボタンで「機能設定」→「通信モード」から行うことができる。
実質的にはノーリミットモードは不要だが、このモードはWiMAXだけを使うモードで、データ通信量による速度制限なく使える。一方のハイスピードモードはNAD11購入・契約時の登録月+24ヶ月間はデータ通信量による速度制限なく使えるが、それ以降は制限が掛かるようになる。とはいえ、NAD11は2年契約で購入する方が多いと思うので、事実上は制限無しと同等なので、気にせずハイスピードモード設定で構わない。
ハイスピードモードにしておけば、その時の通信環境に応じてWiMAXとWiMAX 2+を自動切替して通信してくれる。
筆者は千葉県在住だが、幸運にも自宅がWiMAX 2+のエリアにギリギリ入っているので、部屋の中でNAD11を置く場所にはよるがWiMAX 2+が入る。そして東京へ出るときのルートも大部分のエリアがWiMAX 2+に繋げられるので、WiMAX 2+の速度を日常生活で十分享受できている。
WiMAX 2+の速度はエリア差が大きいという感じを受けるが、良い時で下りが50Mbpsを超え、そうでないときでも20Mbpsから30Mbps程度が出る印象なので、WiMAX 2+対応ルーターとしての性能ではHWD14を上回っている印象だ。ちなみに外出時の速度チェックは「Xperia Z1」「ELUGA P P-03E」「iPhone 5」でのWi-Fi接続で、「RBBToday」のアプリを使っている。
測定例。全く同じ場所で測ってもこれくらいの差は生じるが、
この時は20から30Mbpsは平均的に出ていた。
ただし、WiMAX接続時は数Mbpsから10数Mbpsといった下り速度。WiMAXの速度は「URoad-Aero」とほぼ同じような印象。
とはいえ、WiMAXについてもNAD11は「WiMAXハイパワー」対応なので、電波の弱いエリアでもHWD14よりは繋がり、速度が出ている印象だ。
電車移動時もあまり途切れずに繋がってくれているので、電車乗車時の利用が多い方にも悪くない。HWD14は「au 4G LTE」ルーターとしては悪くない製品だが、WiMAX/WiMAX 2+ルーターとしては物足りない製品だったので、NAD11への満足度は高い。
現在WiMAX対応ルーターを利用している方が乗り換える端末としてはNAD11は良い選択肢と言っていいと思う。ただし、連続通信時間は6から7時間と決して長くないので注意が必要だ。もちろん待機状態や休止状態を上手く活用すればもっと持つ。
■WiMAX 2+のエリア
WiMAX 2+の通信エリアは昨秋とは比べ物にならないくらい広がっている。東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県などの関東のほか、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、北海道、福岡県、広島県、宮城県にもエリアが広がっている。
今後もエリア整備は行われ、2015年3月末までには全国の主要都市で利用できるようになる予定。今一度エリア整備の状況を下のリンク先のページでチェックしてみよう。このエリアマップは6月19日に更新されているので、以前見た、という方も改めてチェックする価値がある。
http://www.uqwimax.jp/service/area/
■公衆無線LANなどWi-Fiネットワークの利用
NAD11はWiMAX/WiMAX 2+のほか、公衆無線LANなどのWi-Fiネットワークへの接続も可能だ。設定は「クイック設定Web」の「Wi-Fiスポット設定」から行うことが可能で、アクセスポイントを8つまで登録することができる。
また、UQコミュニケーションズは7月25日から新しい公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi プレミアム」を提供開始するが、NAD11のユーザーはそのサービスを無料で利用できる。接続IDとパスワードを入手、設定すればNAD11でも利用可能になる。このサービスでは従来からの「UQ Wi-Fi」とワイヤ・アンド・ワイヤレスが運営する公衆無線LANサービス「Wi2」のスポットを利用することができる。
Wi-Fiスポットも利用できる |
《機能》
■主な機能
NAD11はシンプルなモバイルWi-Fiルーターなので、多機能というわけではない。例えばNAD11のバッテリーを使ってスマートフォンを充電するような給電機能はないし、microSDスロットもないので、ワイヤレスでの共有ストレージ機能もない。あくまでもWiMAX/WiMAX 2+対応のルーターという機能に絞った製品だ。しかし、おまけ的な機能は結局あまり使わないように思うのでNAD11の機能で十分だろう。
■NAD11本体だけで行える操作
NAD11は「SET」ボタンと有機ELディスプレイがあるので、ある程度の情報表示と設定などの操作はNAD11本体だけでできる。
操作は「SET」ボタンで行う。短く押す操作と長押しの2種類でメニューを操作できる。 |
情報表示ではWiMAX/WiMAX 2+の電波レベル、通信モード、Wi-Fi機器の接続台数、バッテリー残量のほか、ファームウェアのバージョン、IMEI、電話番号、プライマリSSIDとセカンダリSSID及びその接続キーなど。
設定及び操作は通信モード、Wi-Fiの5GHzの使用設定、リモート起動の可否、Wi-Fiスポット設定、WPSの起動、ファームウェアの更新などだ。
ちなみに電源ボタンは長押しすると「休止状態」へ移行する。指を離さずそのまま長押しし続けると電源オフになる。電源オフや休止状態の時に長押しすると、電源オンか休止状態からの復帰となる。
次回はスマートフォン向けアプリや料金プラン、キャンペーン情報、まとめを紹介する予定。
【情報元、参考リンク】
・WiMAX 2+ルーター新製品「NAD11」発表
・UQコミュニケーションズ
・6月に実施中のWiMAX/WiMAX 2+ルーターに関する各社のキャンペーン/セール内容のまとめ
・UQ WiMAXオンラインショップのキャンペーンページ
・@nifty WiMAX2+のキャンペーンページ
・BIGLOBE WiMAX 2+のキャンペーンページ
・GMOとくとくBB WiMAX2+のキャンペーンページ
・So-net モバイル WiMAXの紹介ページ