AQUOS SERIE SHL25 |
まず、今回からau向けだけでなくNTTドコモ、ソフトバンクモバイル向けも含めてブランド変更があった。従来の「AQUOS PHONE」から「AQUOS」に変わっている。これは、今や多機能化してきたテレビと、多機能化してきたスマートフォンの境が曖昧になりつつあり、別々のブランドに分ける意味が薄れてきているからだという。
今回からAQUOS PHONEはAQUOSとして生まれ変わり、au向けにはAQUOS SERIE SHL25が用意された。
発売日は6月下旬の予定で、カラーバリエーションはピンクとホワイト、ネイビーの3色が用意されている。
今回のau夏モデルでは一部を除き、LTEのキャリアアグリゲーションとWiMAX 2+をサポートしているが、AQUOS SERIE SHL25も対応している。そのため、通信能力は今春以前のモデルと比べると大きく向上しているはずだ。今回はその通信性能を実際に詳しく確認できていないが、環境が良くなっていることは確かだ。
基本的なスペックは他のハイエンドマシンとほぼ同じで、OSがAndroid 4.4.2、メモリは2GB RAM、32GB ROM、プロセッサはQualcomm MSM8974AB(クアッドコア2.3GHz)で、ディスプレイは約5.2インチのIGZO液晶で解像度はフルHD、バッテリー容量は3,150mAhといったところ。
Android 4.4、2GBメモリ、MSM8974ABという組み合わせもあり、動作パフォーマンスは快適で、少なくとも今回の2度の機会でもたつきを感じるようなことは特になかった。また、タッチパネルの操作についても特にストレスを感じることはなかった。ただし、長時間触ってみた場合にはまだ分からない。
基本的に全部入りなので、赤外線通信、おサイフケータイ、NFC、ワンセグ・フルセグ、防水仕様などは全て対応している。
本体のサイズは約134×71×9.9mmで、重さは約142gだ。
以下、注目ポイント別に紹介していきたい。
■ディスプレイ
ディスプレイは主にバックライトに改善がある。新開発の「PureLED(ピュアレッド)」というバックライトを採用することで、緑と赤の表現力が増しており、例えばトマトやリンゴなどの赤や木々の緑などがより鮮やかになっている。ただし、従来品と並べて比較した場合の話であり、単体で見た場合には進化を感じにくいかもしれない。それでも従来品では潰れてしまっていたような赤や緑の細かい色合いはしっかりと表現できているので改善されていることは確かだ。ただ、他社スマートフォンも美しい表示が可能なので、やはりIGZO液晶の最大の売りは省電力性能になるだろう。
PureLEDについて |
そして、3辺の額縁部分が驚異的に狭いEDGESTデザインも進化している。AQUOS SERIE SHL25では前面の面積に占めるディスプレイの割合が約80%に達している。この数字から分かるように、本当に縁が狭い。画面の大きさの割にボディを小さく感じるので、持ちやすい上、やはり見た目の格好良さもある。
■デザイン
デザインはオーソドックスでいかにもau的な感じだが、持ちやすさはある。基本的にエッジが全て丸く処理されているので、手に取ったときに突き刺さるような痛さはないし、しっくりくる。ただし、デザイン面で冒険しているのはドコモやソフトバンク向けモデルの方だろう。それらと比べるとやや古めかしい印象を与えてしまうかもしれない。
とはいえ、AQUOS SERIE SHL25には独自のデザイン的特徴もある。他のAQUOSのディスプレイ周りがボディのカラーバリエーションに関係なくブラックであるのに対して、AQUOS SERIE SHL25だけはボディーカラーと同じカラーで囲っている。この点は、気に入る方にはとても受け入れられるデザインかもしれない。
ディスプレイの周囲がボディカラーと同じカラーになっている。 |
なお、ボリュームキーはタッチキーとして前面の右下に搭載されている。電源キーは側面だ。また、インカメラは前面の下に搭載されている。上側の縁が限りなく狭くなっているので搭載できないため、下にあるので最初は気づきにくいかもしれない。
左から順にピンク、ネイビー、ホワイト。 |
丸みを帯びたデザインで持ちやすい。
ワンセグ/フルセグアンテナは上面左端に収納されている。
■カメラ機能
カメラは多機能&高性能化しているが、実用面で便利だと感じたのは「リアルタイムHDR」だ。従来のHDRと違い、AQUOS SERIE SHL25のHDRは1回のシャッター処理の中で部分的に露出変更してHDR画像を生成するので、実はHDRモードでも連写までできてしまう。この特質は被写体が動いているシーンにも効果的で、従来だと合成ズレが生じるようなシーンでもHDRで撮影できてしまう。
やはり黒つぶれや白飛びが生じてしまうシーンは数多いので、リアルタイムHDRは非常に便利だと感じた。そして「NightCatch II」という、夜景をキレイに撮れる機能もいい。AQUOS SERIE SHL25に限らずになってしまうが、スマートフォンのカメラも最近では暗いシーンの撮影がかなり実用的になってきた。
発表会の展示場にはこのようにリアルタイムHDRの効果を確認できるコーナーが用意されていた。 |
左はオフの状態、右はオンの状態。
ちなみにAQUOS SERIE SHL25には「フレーミングアドバイザー」という構図をアドバイスしてくれる機能など、いくつか他にもサポート機能があるが、慣れてくると逆に邪魔になるかもしれない。それよりもリアルタイムHDRやNightCatch II、また被写体に近づいて撮影して背景をぼかすことができる性能等の方が魅力的だろう。とはいえ、カメラの構図の取り方があまり得意ではないという方にはかなりフレーミングアドバイザーは参考になるはずだ。
フレーミングアドバイザーの例
こちらも同じくフレーミングアドバイザーの例
フレーミングアドバイザーには複数のメニューがある。
■便利機能
AQUOS SERIE SHL25にも「グリップマジック」という機能が搭載されている。これは端末の側面に搭載したセンサーを使った機能で、例えば端末を手に握っている間は画面をオンにし続けたり、縦横回転をしないようにしたり、端末を握るだけで着信確認をバイブでできたり、といくつかの機能を利用できる。
グリップマジックの機能の一つ |
とても便利だが、オンにすると邪魔に感じる機能もあるので、使いながら自分に合った設定を探したい。自分に合った設定を探し終えれば、とても便利な状態になる。
手に持っていないときには相手の登録名を表示せず(上図)、握ったときに表示する(下図)機能もある。 |
また、毎日電車通勤・通学時に座れない方に便利な機能が「ワンハンドアシスト」だ。実は今回、この機能が一番魅力的だった。スペースがある場所では5.2インチという画面サイズは迫力があり、見やすいのだが、電車やバスで立っている時には片手では操作しにくい。そのため、大画面スマホを使っている方はおそらく苦労しながら使っていることと思う。このワンハンドアシストを使うと画面表示を縮小し、片側に寄せられるので、片手の親指だけでもある程度操作できるようになるので、かなり便利だ。
ワンハンドアシスト機能を使えば、このように画面を縮小し、端に寄せられる。 |
翻訳ファインダー機能の例。画面内に訳を表示してくれる。
検索ファインダー機能ではカメラを通して画面に写った文字を指でなぞるとOCR処理でテキストとして認識され、
画面内に検索ページなどが表示され、簡単に情報を調べることができる。
画面内に検索ページなどが表示され、簡単に情報を調べることができる。
AQUOS SERIE SHL25はisai FLのWQHD液晶のようにスペック面で際立った特徴はないものの、オーソドックスにまとまったスマートフォンなので、この夏のオススメ機種の一つだ。シャープ製スマートフォンも着実に進化を遂げていることを感じた。
なお、AQUOS SERIE SHL25については下記リンク先の記事も参照してみてほしい。
→【取材レポート】AQUOS夏のスマホ3機種のイベントレポート
【情報元、参考リンク】
・シャープ/AQUOS SERIE SHL25製品紹介ページ
・au/AQUOS SERIE SHL25製品紹介ページ