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【取材レポート】“シュタゲ”で有名なMAGES.へ - 前編:未発表スマホ向けゲームの存在やスマホ版のダウンロード数など

今回の取材レポートは「5pb.」ブランドや想定科学アドベンチャー「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」シリーズなどで知られるMAGES.。同社は数多くのコンシューマー向けタイトルを手掛けつつ、現在はスマートフォン向けアプリにも力を入れ始めている。

アドベンチャーというジャンルは複雑な操作を必要としないだけにスマートフォンとは非常に相性が良い。「CHAOS;HEAD NOAH」、「ROBOTICS;NOTES」など、同社には「STEINS;GATE」以外にも人気アドベンチャーが揃い、過去作品のスマートフォンへの移植などについても気になるところ。また、今後、スマートフォン向けに完全新作が出てくるのかどうかにも注目したい。

左から市川和弘氏、森田恭司氏

今回の取材では、MAGES.のゲーム事業部 事業部長 市川和弘氏、そして途中からは同社ゲーム事業部 マーケティング部 広報宣伝室 室長の森田恭司氏にも同席頂き、話を伺った。


◆取材背景

最初に取材背景を軽く紹介したい。今回の取材はGAPSISがMAGES.に対して直接話を伺いに行ったものではなく、アプリ開発のマッチングサービス「BestAp」を立ち上げたフラグシップの坂口誠二 代表取締役の取材に同行させて頂いたものだ。

坂口氏
BestApはゲームアプリに特化をしたサービスで、ゲームアプリの制作を開発会社に委託したい企業と、それを受託したい企業を結びつける仲介業が主となっており、ゲーム業界及びモバイル業界で長い経験を持つ坂口氏をはじめとした専業のプロが依頼内容にマッチした開発会社を厳選し、2、3社のオススメ会社を提案してくれる。

アプリ開発会社のマッチングサービスは数多く存在しているが、ゲームに特化していることと、専業のプロの目で候補会社を絞り込んでくれるところがBestApならではの魅力で、安心して依頼できる。

このBestApでは開発会社の紹介のほか、エンジニア・クリエイターの紹介や、アプリのPR・プロモーションのサポートなども行っており、今後は開発会社向けに記事コンテンツも用意していく予定となっている。委託元が開発会社に対してどのような要望を持っているのかや、スマートフォン向けアプリを作るにあたって便利なミドルウェアの紹介など、参考になる記事を順次公開していく見込みだ。

今回の取材はBestApがその取材記事コンテンツの第一弾として行ったもので、筆者は個人的に「STEINS;GATE」のファンだったこともあり、ご好意で同行させてもらった、ということになる。

そのため、取材内容の中心はMAGES.が開発会社に対して求める要望・意見や、現在のスマートフォン向けアプリの開発事情などが多い。しかし、筆者も一ファンとして気になることをいくつかお聞きしているので、一般のゲームファンもぜひチェックしてほしい。

なお、今回の取材記事は一般のゲームファン向けの内容から順にお伝えする形で構成している。



◆スマートフォン向けアプリへの取り組みと新作について

坂口氏:
MAGES.ではスマートフォン向けアプリについて、現在はどのような取り組みをされているのでしょうか?

市川氏:
まず、弊社のスマートフォン向けゲームアプリは主に2種類あります。一つはコンシューマー向けタイトルを移植したもの、もう一つはソーシャルゲームやブラウザゲームなどコンシューマー向けタイトルとは別に開発した新規タイトルです。新規タイトルについては実は大きなタイトルを2、3作仕込んでいます。詳しいことはまだ発表できませんが、大型タイトルになります。一方、コンシューマー向けタイトルの移植アプリについては月1本程度のペースで取り組んでいます。

坂口氏:
移植系のアプリというのは例えば「メモリーズオフ」のように以前にリリースしたタイトルからの移植などが中心になるんでしょうか?

市川氏:
もちろん過去のタイトルもそうですが、新しいタイトルも含めて移植作を出していくつもりです。数としては多くのラインナップが予定されています。しかし、スタッフの数も限られますし、順次リリースしていきます。

長田:
準備していると仰られた新規タイトルについてですが、AndroidとiOS両方で出されるのでしょうか? また、スマートフォンのみでの展開なんでしょうか?

市川氏:
スマートフォンについてはAndroidとiOSの両方ですが、スマートフォンだけでなくPCも含めて展開するタイトルも予定しています。

坂口氏:
これまでにリリースされたラインナップを見るとiOS向けアプリが多いようですが、それはこれまでの売れ行き動向やユーザー層などを見て、ということなのでしょうか?

市川氏:
そうですね。

坂口氏:
新規2、3タイトル、そして移植系も含めて、スマートフォン向けには現在何ラインくらい動いているのでしょうか?

市川氏:
移植系は並列で3ラインくらい動かしているんですが、実は出口となる担当者が2名しかいないので、月に1本位のペースが限界になっています。ただ、月に1本は確実に出していきます。

坂口氏:
取り組み方全体についての確認です。これまではスマートフォンへの取り組みは移植系が多かったと思いますが、今後はスマートフォンも一つの大きなプラットフォーム、重要なマーケットと見て、オリジナルタイトルを含めて力を入れていくことになると考えてよいのでしょうか?

市川氏:
はい、仰る通り、そのような形で本格的に取り組んでいます。というか、うちは遅い方だと思いますよ。

坂口氏:
今、国内のコンシューマーゲーム市場は厳しさを増していて、それだけではビジネスが難しくなっていると思います。その一方でスマートフォン市場は伸びていて、スマートフォン向けゲームを事業の大きな柱として、売上を立てていこう、と考えているゲームメーカーさんも増えてきていると思います。このような状況についてはどのようにお考えでしょうか?

市川氏:
うちもやはりスマートフォン向けアプリは重要なものと考えています。今期はまだスマートフォン向けタイトルが売上の柱になっているわけではありませんが、来期以降は大きな柱になってきてくれると思います。

端末を縦持ちするだけで
フォーントリガーを呼び出せる
長田:
移植作品についてですが、「STEINS;GATE」ではフォーントリガーの操作がスマートフォンならではのものになるなど、オリジナル版と異なる要素がいくつか含まれていたと思います。同じように移植作品はスマートフォン向けに変えた方がいいと思われる部分があれば積極的にカスタマイズしていく方針なのか、基本的にオリジナル版をそっくりそのまま忠実に移植する方針なのか、教えて頂けないでしょうか?

市川氏:
移植ものでもやはり良いものにするためのカスタマイズはしていきます。特に「STEINS;GATE」クラスになるとより多くの人に望まれますし、一生懸命取り組んでいます。







◆「STEINS;GATE」のスマートフォン版について

坂口氏:
「STEINS;GATE」のスマートフォン版はiOS版とAndroid版があると思いますが、ダウンロード数や売上に差はありますか?

※編集部補足:iPhone版は2011年8月25日にリリースされ、Android版は2013年6月27日にリリースされている。iOS版は全編遊べる3,000円のアプリと、第1章のみ無料で、以降の章はアプリ内課金で購入するLite版があり、それぞれiPad向けのHD版もある。Android版は第1章のみ無料、以降の章はアプリ内課金で購入するタイプのアプリのみ。

「STEINS;GATE」のAndroid版。序盤から引き込まれる展開。

市川氏:
まずiOS向けは有料版とLite版の合計で10万ダウンロードを超えていますが、無料のLite版を出すと有料版のダウンロード数が落ちてしまうので、この辺りは難しいな、と感じました。

坂口氏:
過去の作品のスマートフォンへの移植を積極的に進めていこうと決めたのは、「STEINS;GATE」が上手くいったから、ということも理由になっているんでしょうか? また、移植コストも回収できそうだ、という見込みができたからでしょうか?

市川氏:
そうですね。

坂口氏:
スマートフォン市場全体で見ると最近はAndroidでも課金がしっかりなされるようになってきています。要するにビジネスになってきているという印象ですが、MAGES.さんの場合はiOSの方がやはりユーザーは多いんでしょうか?

市川氏:
「CHAOS;HEAD NOAH」と「STEINS;GATE」はAndroid版も出しましたが、圧倒的にiPhoneですね。

長田:
では、Android版はどれくらいなんでしょうか?

市川氏:
Androidの場合は有料版は出していません。第1章が無料というタイプのアプリしかないんですね。そのため、単純に比較はできません。iOSと比べるとやはり低いですが、実はダウンロード数は思ったよりも多かったんです。

長田:
実は僕はAndroid版がリリースされたとき、自分自身がファンだったものですから「皆もプレイしてくれー!」と思ってノリノリで記事(こちらの記事参照)を書いたこともあって、凄い売上を記録したんじゃないかと期待していたんです。

市川氏:
そうなんですね。ダウンロード数はかなり行きました。ただ、1章ずつ課金していくというのはそれほどではありませんでしたね。

長田:
「STEINS;GATE」のAndroid版に有料版がないように、今後のアプリでもAndroid版では最初の部分だけ無料、それ以降は有料という形での展開が多くなるのでしょうか?

市川氏:
そうですね、やはり端末の種類が多いこともあって3,000円などの料金を払って動かないとなると困りますし、どうしても何らかの形でお手元の端末での動作確認をして頂く手段を提供せざるを得ないと思っています。そうなると序盤無料というバージョンで展開していくことになるのではないかと思います。ただ、本当は作品全体を有料の落とし切りパッケージとして出したいです。今の印象ではAndroidユーザーはまだ大きな金額の課金に慣れていないように見受けられますので、まだ動きにくい部分があります。

坂口氏:
ところで、MAGES.さんは「STEINS;GATE」や「ROBOTICS;NOTES」だけでなく、科学アドベンチャーシリーズを多くリリースされていますし、やはりアドベンチャーゲームに力を入れていく、という考えなんでしょうか?

市川氏:
そうですね、やはりこのジャンルに力を入れていきたいと考えています。


後編に続く。




(記事:長田

【情報元、参考リンク】
MAGES.
「STEINS;GATE」Android版をダウンロードする
「STEINS;GATE」iPhone版(有料版)をダウンロードする
「STEINS;GATE」iPhone版(Lite版)をダウンロードする

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