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【一条真人的Androidライフ】第38回:スマートフォンにセンシングの時代が来る?

パコーン、パコーンとボールを打つ音がコートに響く。ソニーのテニス部は数百人もいて、トップクラスはかなり強いそうだ。知らなかった。VAIO広報の朝倉さんもかなりのテニス好きだが、合唱部だそうだ。

Smart Tennis Sensor SSE-TN1を取り付けたラケット

そんな話を聞いたのは、ソニーの発表会でのことだった。なぜか、あのソニーがテニスコートで発表会をしているのだ。これはソニーの新しいデバイス「Smart Tennis Senser」(SSE-TN1)の発表会だった。

このスマート テニス センサーというのはテニス・ラケットのグリップ底部にセンサーを取り付け、専用アプリをインストールしたタブレットやスマートフォンへBluetoothを介してデータを転送し、ショットの分析ができるというものだ。フォアなのかバックなのか? といったスイング種別を識別できるほか、ラケットのどの部分でボールをヒットしたのか? ということもチェックできる。そして、さらに、スマートフォン等のカメラを使ってビデオ撮影すれば、データと同期させて再生させることで動きとデータを照らし合わせた形での分析までできる。

センサーを取り付けたラケットとスマートフォンの展示

ビデオを撮影することもできる。

これによって、今まではそこそこ適当だったテニスの練習を数値化して分析できるようになったというわけだ。この製品はまだまだ完成し切ったものではなく、進化の過程ではあると思うが、興味深い製品だ。

このように1回のヒットごとに細かいデータを確認できる。

ソニーのセンシング分野への進出というのは米家電見本市「CES」における同社CEOの平井一夫氏によるキーノート・スピーチでも語られていたことであり、今後のソニーの新しい方向性をいきなり示したという感じだ。

ちなみに、平井氏は人体や自動車、農作物など、さまざまな分野をセンシングで開拓していきたいと語っていた。今までのソニーとはあまりにかけ離れた話だったので、ちょっとインパクトが大きかったが、その一歩を踏み出したという感じだ。

自動車などにおいてはGPSに限らず、暗闇の中でも人間や動物を識別して事故を回避するような製品を投入していきたいようだ。このような技術は従来ジャガーなどのごく限られた高級車に搭載されていたが、ソニーによって、より多くの人々がその利便性を享受できるようになるのかもしれない。

そして、そのような製品においてもまた、スマートデバイスとセンシングデバイスを組み合わせて使うことになるのではないだろうか?

GAPSISの前の連載記事(こちら)で、僕は今後スマートフォンは繋がることで、新しい使い方を開拓して進化していくのではないか? という話をしたが、このソニーの試みもその方向性を示すものだろう。

今後、スマートフォンは、様々なデバイスと繋がることで、生活を、ライフスタイルを変化させていくことになりそうだ。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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