4Kを超える8K関係の機材も展示された |
とか言いながら、いきなりスマートデバイスに関係のない話で申し訳ないが、今回のInter BEEでは4K、8K関連の機材が熱かった。ソニー、パナソニック、キヤノン等はもちろん、多くのメーカーが関連機材を出展しており、今後の4Kの発展を予感させた。
4Kが発展しようがしまいがスマートデバイスと関係あるの? と思うかもしれないが、これらの分野で収益が上がればメーカーだってアドベンチャーなスマートデバイスを開発する余裕も出てくるというわけで、全く関係がないわけでもない。
さて、そんな4K画質の放送では圧縮技術として「HEVC」(H.265)を標準的に使うことになっている。これは現在、ブルーレイビデオや動画配信サービスなどで主流であるH.264と比較して、実に2倍の圧縮効率を持った技術だ。
そして、このH.265は4K放送だけに使われるわけではない。VOD(ビデオオンデマンド)の配信などにも使われることは間違いないのだ。
H.264比で約2倍という圧縮率の高さによって、スマートデバイスでの動画視聴環境が向上することも間違いない。今までの半分の帯域で同じクオリティの映像を配信できるので、通信環境が良くない場所でも同レベルの映像を視聴しやすいし、同程度の通信速度が出るのであれば、よりハイクオリティな映像を視聴できるというわけだ。
H.264は現在のスマートフォンに搭載されたCPUではハードウェアでデコード対応しているので、あまり大きな負荷が掛からないのだが、H.265の場合は新しいコーデックなので、現時点ではハードデコードが不可能で、CPUパワーを使ってソフトデコードするしかない。
Roviのブース |
DivXと組んでHEVCコーデックを提供しているRovi(旧Macrovision)のブースで、このHEVCのソフトデコードのデモを見せてもらったが、初代の「Nexus 7」で720p解像度(HD)のHEVC動画を再生することができていた。スマートデバイス向けに720p程度の動画配信にHEVCを使うことはもはや現実的になってきているのだ。また、言うまでもなく、現在の高速なPCなら同じようにソフトデコードが可能だ。
RoviのブースではHEVCへの動画変換サーバーも見せてもらった。すでに環境は整いつつあり、VODサービスなどがHEVCを採用する日も遠くなさそうだ。
HEVC変換サーバー |
Nexus 7(2012年モデル)で720pのHEVC形式の動画を再生できる |
また、IT・エレクトロニクス展「CEATEC JAPAN 2013」でも展示されていた「Hybridcast(ハイブリッドキャスト)」だが、東芝ブースではタブレットでの検証機材を展示していた。
東芝ブースではハイブリッドキャストの展示が行われていた
Hybridcastは、放送と通信が連携した新しいテレビサービスで、NHKが9月より「NHK Hybridcast」として既に提供中だ。Hybridcast対応テレビにはHTML5対応のブラウザが搭載されているので、従来のデータ放送よりもリッチな情報表示が可能となる。
しかし、現在のところ、このHybridcastに対応しているテレビは東芝の「REGZA」シリーズの一部機種だけなので、東芝がHybridcastに力を入れていることは不思議ではない。運が良ければ、このジャンルで東芝はリードメーカーとなれるかもしれないし、運が悪ければHybridcastそのものが不発で、徒労に終わるかもしれない。今後の動向に注目したいところだ。
ハイブリッドキャストに力を入れる東芝
また、世界的なヒットビデオカメラであるGoPro「Hero」の最新作「Hero3+」も展示販売されていた。
Wi-Fiを搭載し、スマートフォンとリモート接続し、スマートフォンの画面をモニターとして撮影することができる。従来バージョンよりも軽量化されている。
GoProの展示
(記事:一条真人)
【情報元、参考リンク】
Inter BEE 2013公式サイト