オンボード映像の同時視聴も可能 |
まず、「Formula 1 on Zume」というサービスは、英国のZume Motor Racing Limited社(以下、Zume社)がF1映像配信の権利を取得し、インターネットを介してレース中継を配信しているサービスです。7月にソフトバンクグループで映像コンテンツ事業を行うTVバンクがZume社と提携し、日本でのサービス提供も開始されました。
この「Formula 1 on Zume」の素晴らしい点は、レース中継映像に加え、最大で3つまで小ウィンドウを表示し、計4つのモニターでレースや予選などの中継を追えることです。例えば、ライブ中継映像に加え、フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンのオンボード映像、ピットの映像を同時表示しながらレース観戦することができるわけです。
このようなコースマップと中継映像の同時表示もできる。 |
順位、ラップタイム確認も可能。 |
オンボード映像も視聴できる。この「カメラビュー」メニューから選択する。 |
筆者はこれまで、有料のF1ライブタイミングアプリでライブタイミング情報(リアルタイムで更新される順位表、各ドライバーのラップタイム、サーキット上の位置など)を確認しつつテレビ観戦してきましたが、実はこの「Formula 1 on Zume」でもライブタイミング情報を見ることができます。そのため、人によってはライブタイミングアプリが不要になります。もちろん、タブレットでアプリを起動し、そちらにライブタイミング情報を表示しながら、パソコンの画面上では「Formula 1 on Zume」の中継映像だけを表示する、というのもアリだと思います。
iPadではアプリで視聴。iPadでの視聴は操作性含めて十分快適です。
ただ、ライブタイミングアプリと「Formula 1 on Zume」の両方を利用すると、高くつきますし、コストを抑えたい場合には「Formula 1 on Zume」だけでもいいように思います。
さて、この「Formula 1 on Zume」ですが、現状ではWindows PCやMacのウェブブラウザ(Adobe Flash Playerをインストールしている必要があります)とiPhone/iPadを公式サポートしています。iPhone/iPadではアプリを使って視聴できます。
そして、実はAndroid端末でも視聴できます。
最初からFlash Playerがインストール済みの比較的昔のAndroid端末を使っている方の場合は、話はカンタンです。ブラウザから「Formula 1 on Zume」のサイトへアクセスし、ログインすればPC版と同じように視聴できます。もちろん、PCと比べて操作はしにくいですので、そこは現時点では我慢となります。
一方、Flash Playerがインストールされていない、最近の端末の場合は、ユーザーの自己責任においてFlash Playerを追加インストールする必要があります。Flash PlayerはAdobeの下記リンク先ページからapkファイル(アプリのファイル)をダウンロードできますので、インストール自体はカンタンに行えます(ページ内の下の方に「Android 4.0用のFlash Playerバージョン」という項がありますので、そこから最新版をダウンロードし、インストールすれば大丈夫です)。
http://helpx.adobe.com/jp/flash-player/kb/228683.html
インストール前に、「設定」→「セキュリティ」から「提供元不明のアプリ」のチェックボックスをオンにしておく必要があるので、その点にも注意してください。このチェックを入れないと、「Google Play」以外の場所から入手したアプリはインストールできないためです。
また、繰り返しになりますが、Flash Playerのインストールは自己責任でお願いします。Flash Playerをインストールしたことによって、端末に何らかの異常・不具合等が生じたとしても、筆者は責任を負えないためです。
筆者はWindows PCのFirefox、iPadのアプリ、ELUGA Pの標準ブラウザで動作確認したところ、いずれの環境でも視聴できました。
Androidでの視聴(標準ブラウザ)。下図のようにフルスクリーン表示も可能です。 |
Androidの標準ブラウザでフルスクリーン表示。順位表ウィンドウも表示可能です。 |
Androidでの視聴時にもオンボード映像表示も可能です。 |
次に利用プランと料金ですが、「Formula 1 on Zume」を利用するには、パスを購入する必要があります。パスには2種類あり、ワンシーズン全ての中継を視聴できる「シーズンパス」と、各グランプリごとの「レースパス」です。シーズンパスは3,000円で、レースパスは500円です。ただし、シーズンも終盤を迎えた今、シーズンパスは1,500円に値下げされ、アーカイブ映像も2戦分ついてくる状況となっています(10月11日現在)。各グランプリはフリー走行、予選、決勝レースの映像を視聴できるようになっており、ドライバーのオンボード映像やピットの映像、ライブタイミング情報も見られます。
フリー走行、予選、決勝レースの映像を視聴できる。 |
各グランプリの映像は、リアルタイムでのライブ視聴のほか、決勝レース終了後28日間までアーカイブ映像として視聴することができます。例えばテレビでリアルタイムで視聴できなかったり、ビデオ録画を忘れていたときでも「Formula 1 on Zume」では28日間までであれば、後から視聴できることになります。
筆者は今回、日本グランプリ前に試す意味で、前戦韓国グランプリのレースパスをWindows PCからの操作で購入しました。最初に購入する場合、アカウントを作成することになりますが、このアカウントでログインすれば、Windows PC以外の端末、例えばMacやiPhone/iPad、Android端末からも視聴できます。購入手続きは操作しやすいPCで行うことをオススメします。Androidで視聴したい方も、PCのブラウザを使って「パソコン版 今すぐ登録(無料)」から手続きをしてしまって構いません。結局、作成したアカウントに購入情報が紐づいていますので、どの端末からでも視聴できます。
代金の支払いはPayPalに対応しています。また、iPadの場合はアプリ内課金を利用しての支払いも可能ということですが、今回は試していません。今回はPayPalを利用し、クレジットカードで支払っています。なお、「Yahoo!ウォレット」にも対応したようです。
レース中継映像では、英語ですが実況も入ります。映像のクオリティはその時の回線状況によって変動しますが、レースを追う分には画質が落ちた状態でも特に問題となるレベルではありません。
回線状況が良く、映像品質が高いとき。 (※キャプチャ画像は記事掲載にあわせて圧縮していますので、参考程度としてください) |
回線状況が悪く、映像品質が落ちているとき。順位表示などの文字も読みにくくなっています。 |
いずれにしても、BS/CS環境を構築するのは面倒だったり、しにくい環境にある方でもインターネットで手軽にF1を視聴できる環境が整いつつあることは嬉しいことです。あとはAndroid端末向けに公式アプリが登場することと、日本語実況・解説が利用できるようになれば最高ですね。それで年間(ワンシーズン)3,000円で、28日間アーカイブ映像も見られるのであれば、オンボード映像も視聴できるし、最高な気がします。
ちなみに日本グランプリでは特別仕様として、鈴鹿サーキット内の場内放送の実況音声が提供されることが決まっています。これも嬉しい対応と言えますね。
小林可夢偉がF1でシートを得られず、今では地上波での放送も無いこともあり、寂しい思いを感じる最近ですが、「Formula 1 on Zume」に関しては嬉しい、便利なサービスだと感じます。
【情報元、参考リンク】
Formula 1 on Zume公式サイト