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【一条真人的Androidライフ】第25回:微妙なスケーリングを制するXperiaの卓越したマーケティングセンス

Xperia Z Ultra
僕がこの前の記事で予測した通り、やはり登場してきた「Xperia Z Ultra」は多くの人々にとって強烈に欲しいアイテムだろう。ディスプレイが約6.4インチサイズというのは、現在のスマートフォン市場のメインストリームとも言える5インチ前後のサイズよりも大きい分情報が読みやすい。それでいて、Androidのベストセラータブレットである「Nexus 7」の7インチよりも一回り小さく、持ち歩きやすさを明確に増している。

Androidのタブレットとしてはこの7インチサイズにNexus 7、Amazonの「Kindle Fire」シリーズなどベストセラーの強豪製品がひしめいている。そして、僕もNexus 7を常用しており、日常的に持ち運べるスマートデバイスのサイズは7インチが限界なのではないか? と考えていた。

Xperiaのセンスがいいのはこれらから約0.6インチ小型化しているところだ。スマートデバイスのようなハンドグリップデバイスにおいて、この0.6インチの違いが、明らかな「サイズ感の違い」を感じさせてくれる。Xperia Z Ultraは世界的に普及している7インチタブレットに対する人々のイメージを「踏み台」にして、「持ちやすい」という印象を与えることができるはずだ。

左からXperia Tablet Z、Xperia Z Ultra、Xperia Z。サイズの違いが分かる。

さらに、このディスプレイの解像度はフルHDであり、次世代Nexus 7の予想スペックと同等、さらに色域の広いトリルミナスディスプレイを採用し、映画などを見る場合に、普通のタブレットに搭載されるクオリティのディスプレイとは大きな差がつく。これを見れば、人々はソニーが世界的なAVメーカーでもあることを明確に思い出すことだろう。

専用スタンド「DK30」を使うと動画視聴時や音楽再生時に便利だろう。

そして、言うまでもなく、この差別化は既存のスマートフォンでも用いられている。現在の5インチが多いメインストリーム機種の中で、「Xperia A」は約4.6インチだ。この0.4インチのサイズの違いは意外に大きく、持ちやすさを感じることができるはずだ。5インチ横並びの中で比較していれば、Xperia Aの持ちやすさは明確。ドコモのツートップでXperia Aが売れているのは偶然ではない。

世間で確立しつつある定番サイズから微妙にサイズをズラすことで、セグメントの異なるアイデンティティのある商品性を演出できるところにソニーのマーケティングセンスを感じる。また、そこでキッチリ商品性のあるものを作れるのがソニーの底力というところだろう。何にしても、Xperia Z Ultraの国内販売が待ち遠しい。

【参考リンク】
GAPSIS/ソニー、6.4インチの「Xperia Z Ultra」を発表。2.2GHzのSnapdragon800を搭載


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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