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【試用レポート】 WiMAX対応小型軽量ルーター「Aterm WM3800R」 第2回:機能

2月7日に発売になったWiMAX対応モバイルWi-Fiルーター「Aterm WM3800R」(NECアクセステクニカ製)の試用レポートの第2回目をお届けしたい。第1回目の記事では、WM3800Rのパッケージ、本体外観、そしてクレードルについて紹介したが、WM3800Rには旧機種である「Aterm WM3600R」と比べて機能面でも新たな魅力が備わっている。今回はWM3800Rならではの機能を中心に紹介すると共に、クレードルについても触れるつもりだ。

Aterm WM3800R


≪Aterm WM3800Rの機能について≫

■WiMAXと公衆無線LANサービス

WM3800RではWiMAXに加えて公衆無線LANサービスにも接続することができる。さらに、WiMAXと公衆無線LANサービスの切替は自動的に行われるので、利用する公衆無線LANサービスの設定を一度終えてしまえば、後は何の手間もなく両ネットワークを自在に切り替え、利用できる。WiMAXは電波の強いエリアや、回線が空いている場合には下り10Mbpsを超える速度、場合によっては20Mbps近く出ることもあるが、数Mbps程度しか出ないときもある。そうした場合、代替ネットワークとして公衆無線LANサービスが使えるのはありがたいし、自動切替できるのは便利だ。ただ、数Mbpsとはいえ、3G通信や混雑時のLTEなどに比べて十分満足できる速度であり、また公衆無線LANサービスが必ずしも速いとは限らないので、状況に応じて切り替えたい。

WiMAXと公衆無線LANサービスの切替は基本的に自動的に行われるが、スマートフォン向けアプリを使ってユーザーが手動で行うこともできる。さらに、両方のネットワークを利用できる場所の場合、どちらを優先して接続するかという設定もユーザーが好みに応じて変更可能だ。

アプリ「Atrem WiMAX Tool」からWiMAXと公衆無線LANの切り替えもできる。中央の「←→」ボタンをタップすればいい。

利用できる公衆無線LANサービスは「UQ Wi-Fi」「Wi2 300」「BBモバイル」「HOT SPOT」「ケーブルTV Wi-Fi」「WIRELESS GATE」「livedoor Wireless」。公式対応サービスとはされていないものの、実は設定を変更することでNTTドコモの「docomo Wi-Fi」にも繋がるようだ。こちらについては非公式利用にはなるが、数多くのWi-Fiルーターを利用するプロブロガーのシマジロウ氏のブログ記事「WM3800Rはdocomo Wi-Fiの自動接続が可能」を参照してほしい。

ちなみにWiMAX対応モバイルWi-Fiルーターとして最も気になるのはWiMAXの掴み、そしてその通信性能だが、WM3600Rと比べた場合、印象としてはあまり変化を感じない。実際には何度か比較測定を行ったのだが、バラつきと判断できるくらいの差しか得られず、前述した印象程度しかお届けすることができない。

スペックとしてはWiMAXハイパワーに対応し、最終出力が28dBmとWM3600Rと同じなので、基本的には同じ、同等程度と結論付けていいように思う。いずれにしても実用レベルにある。


■Wi-Fi

Wi-FiはIEEE802.11b/g/n準拠で、Wi-Fi機器の同時接続台数は10台だ。Wi-Fiについては特に紹介する事項はあまりないが、一つ誤解を招きそうなことがあるので書いておきたい。WM3800Rの背面にはプライマリSSIDとその暗号化キーが印字されているのだが、セカンダリSSIDは記されていない。WM3600RにはセカンダリSSIDも記載されていたし、NECアクセステクニカ製の他のホームルーターなどもマルチSSIDに対応している機種の場合はしっかり記されている。そのため、WM3800RはマルチSSIDに非対応なのか、と一瞬思い込みそうになるが、実際にはマルチSSIDに対応している。

なぜかセカンダリSSIDが表記されていないが、マルチSSIDに対応している。

「aterm-XXXXXX-g」がプライマリSSIDで「aterm-XXXXXX-gw」がセカンダリSSIDだ。ニンテンドーDSなど、暗号化方式「AES」に対応していない携帯ゲーム機などの場合はセカンダリSSIDに接続して使おう。未記載の理由はわからないが、いずれにしてもマルチSSIDに対応しているので、安心してほしい。


■WiMAXエリア外でのWi-Fi自動停止機能

WM3800Rには地味ながら非常に便利なアイデアが盛り込まれている。それがこの機能だ。WiMAXのエリア外にいるとき、すなわちWiMAX通信が切断したときにはそれを検知し、Wi-Fi通信を自動的に停止してくれる。もちろん、WiMAXエリア内に戻れば自動的にWi-Fiもオンにしてくれる。バッテリー消費を抑える上で役に立つ機能だ。


■スマートフォンからの休止、リモート起動機能

WM3600Rに続き、WM3800Rでもスマートフォン向けアプリ「Aterm WiMAX Tool」を使うことができる。もちろん、Android版のみならずiPhone版もある。そして、WM3800Rの発売にあわせてアプリはバージョンアップされた。新バージョンではWM3800Rをリモートで休止状態へ移行させることに加え、リモート起動もできる。ただし、リモート起動はAndroid版でしかできない。

この機能は便利だ。Wi-Fiルーターは一般にカバンの中に入れっぱなし、ということが多いと思うので、操作のたびにいちいち取り出すのは面倒で仕方がない。それだけにスマートフォンから休止と起動ができるのは助かる。特に業務時間中は使わない、授業時間中は使わない、などモバイル端末を使えない時間帯が日中に一定時間ある方の場合は便利な機能だと思う。

左図:休止状態への移行。右図:休止状態の画面。中央のボタンをタップすればリモート起動できる。


■バッテリー

しばらく試用した結果、バッテリーの持ちは公式スペックに近いと感じた。公式スペックでは連続通信時間が最大約8時間、連続待受時間が最大約20時間、休止状態での待機時間は最大約250時間だ。さすがに休止状態での待機時間までは測れていないものの、連続通信時間は8時間前後だろう。日中使わない時間も入れると実際には朝から夜まで十分に持つ。

ただ、連続通信時間についてはWM3600Rよりもやはり短くなった印象だ。WR3600Rの通信時間に不満を持っていた方はWM3800Rではなく「URoad-Aero」を選ぶべきだろう。WR3600Rで十分だった方はおそらくWM3800Rでも十分だと思う。

ちなみにWM3800Rの電源ボタンの動きは面白い。普通であれば電源ボタンを長押しすると電源がオフになるものだが、WM3800Rの場合は休止モードへ移行する。では、電源オフはどうすればいいのか? と言えば、さらに押し続けるとオフになる。日常運用において電源オフの状態を使うことはないと思うので、この形は合理的なのだろう。

電源ボタンの長押しで休止モードへ移行する。もう一度長押しするとオフになる。


■アプリ「Aterm WiMAX Tool」

Aterm WiMAX Toolでは、前述したようにWiMAXと公衆無線LANサービスの切替操作のほか、休止状態への移行とリモート起動の操作、WiMAXの電波状態、バッテリー残量の確認、そして端末の再起動ができる。さらに、今回の最新バージョンからはアプリを常駐させることも可能になった。従来はいちいちアプリを起動しなければ電波状態やバッテリー残量の確認ができなかったが、常駐させることで、いつでも状態の確認ができる。スマートフォンの通知バーにバッテリー残量を示すアイコンが常時表示されるので、バッテリー残量を常に確認できる。さらに、通知バーを引き下ろすと、電波強度も表示される。アプリを常駐させるかどうかは、アプリ起動後にメニューキーを押し、「設定」画面から設定することができる。

左図:通知バーの左から2つ目のアイコンがAterm WiMAX Tool。バッテリー残量を表示。
右図:通知バーを引き下ろすと電波強度も確認できる。


なお、アプリの常駐はiPhone版ではできない。また、iPhone版ではリモート起動もできないのでその点は注意してほしい。リモート起動については技術的にBluetoothも使われており、iPhone版では制限上こうした機能の実装が不可能とされ、今後のバージョンアップでも難しいとのことだ。


■USB給電機能(外部機器への電源供給機能)

WM3800Rの目玉機能の一つがこのUSB給電機能だ。WM3800Rからスマートフォンなどの機器へ電源を供給することができる機能で、簡単に言えば充電することが可能だ。WM3800Rをエネループ モバイルブースターなどのモバイルバッテリー代わりに使えるので、外出時にスマートフォンのバッテリーが切れそうな時に重宝する。ただし、この機能はWM3800Rの電源をオフにするか休止モードへ移行させないと使えないので、その点には気を付けたい。

USB給電機能の利用はカンタンで、microUSB端子に付属のUSBケーブルを接続するだけ。小難しい設定や操作は必要ない。

給電機能の利用はカンタン。ケーブルを接続するだけだ。


■有機ELディスプレイ

WM3800Rは情報表示を有機ELディスプレイで行うようになっている。WM3600RのはLED表示なので、今回は随分進化した。有機ELディスプレイにはWiMAXの電波強度やバッテリー残量のほか、休止状態表示やモード移行時にはそれ旨を示すテキストメッセージも表示される。LEDよりも分かりやすい。

また、ボディの表面と有機ELディスプレイの表示層の間隔が非常に薄い点も魅力で、表面パネル自体に印字されているように感じるほど、表示が見やすく、本当にクリアだ。これは実際に実機でチェックしてほしいほど。


■クレードル

WM3600Rに引き続き、WM3800Rでもクレードルが用意されている。クレードルは充電スタンドとして使えるほか、アクセスポイントモードとルーターモードの切替が可能なので、有線LANポートに固定回線を繋げることでホームルーターとしての利用もできる。また、出張や旅行時などに持ち出し、ホテルの有線LANを接続し、一時的なホームルーター環境を築くことも可能だ。


≪総括≫

WM3800RはWM3600Rから正常進化した。連続通信時間が減ったことだけは残念だが、多くの方にとって十分なスタミナはあるし、休止モードを上手く活用すれば実質的な運用時間はかなり長く確保できる。そして、何といっても、本当に小さい。カバンの中には色々な物を入れるので、ルーターが少しでも小さく軽くなるのはありがたい。今回のWM3800Rでは、サイズ・重さと駆動時間のバランスを絶妙なラインで取っているように見える。

スマートフォン向けアプリのバージョンアップも含めて、WM3800RはWiMAX対応モバイルWi-Fiルーターとして完成形に近いレベルなので、お世辞抜きでオススメできる。


第1回目/第2回目


【情報元、参考リンク】
GAPSIS/UQ、WiMAXルーター新モデル「WM3800R」を発表。小型軽量、約6秒起動、スマホ等への給電、リモート起動に対応など機能盛り沢山
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