最近、昨年末に手に入れたAmazonの「Kindle Fire HD」を使っているのだが、この端末は言うまでもなく「Kindle」と言っても、Kindleの本を読むだけでなく、Amazonで音楽を購入したり、Amazonクラウドのデータにアクセスしたり、一部Androidアプリを動作させることができる。
Kindle Fire HDはちょっとしたトリックでHuluやTwonkyBeamも動作できる。 |
現在、世界的に大ヒット爆走中のGoogleのタブレット「Nexus 7」が登場する前は世界でもっとも売れているAndroid端末だっただけに、この端末のポテンシャルの高さは他の追随を許さないものがある。北米ユーザーは、日本からはアクセスできないが米国Amazonのビデオサービスも利用できるため、これ1つでAmazonが提供する音楽、ビデオ、Kindleブックが楽しめるというAmazonメディアプレイヤーになる。その上でAndroidアプリが動けば、最強に売れても不思議はない。音楽コンテンツも北米ではよりリッチだ。
Nexus 7よりもボディが厚いが、これは背面にステレオスピーカーを搭載しているのが理由だろう。メディアプレイヤーとしてはリッチな音は欠かせない。ディスプレイ表示もNexus 7よりも美しい。
Kindle Fire HDの背面。ベルト状の部分の左右にスピーカーがある。
■Kindle Fire HDの弱点は?
そんなKindle Fire HDの弱点は、逆にAmazon製だということになる。Kindle Fire HDは、実はアプリの入手において、普通のAndroid端末が利用する「Google Play」を使うことができずにAmazon独自のアプリストアである「Amazon Appstore」を使うことになる。
このAmazonAppstoreのGoogle Playとの大きな違いは、Amazonによって動作確認されたアプリだけがあること。これはありがたいことだが、「Hulu」や「kobo」のようなアプリは使えないのだ。
Kindle Fire HDはあくまでKindleなので、Amazonのビジネスと競合するものは使わせないということだろうか? まあ、何にしてもKindleなので完全なAndroidであることを求めるのは間違っているのかも知れないが。
ロック画面は自動的に様々なパターンに切り替わる。 |
箱の前面は斜めになっている。今までのKindleにない遊びのあるスタイル! |
■Kindle Fire HDがもたらすライフスタイル
Kindle Fire HDを使っていると、ふいにちょっとスマートTVに似ているな、と思うことがある。現時点のスマートTVはTVやVOD(Video on Demand)に加えて、ユーザーがよく使いそうな「Twitter」や「Facebook」などのアプリが使えるようになっているのが一般的だ。Kindle Fire HDのAndroidアプリ機能もそういう感覚で捉えるべきなのかもしれない。これ1つでだいたい全てのエンターテインメントが楽しめるでしょ? というところでも、スマートTVとKindle Fire HDは似ている。
最初に色々と設定が必要な普通のAndroid端末と異なり、Amazonによってあらかじめユーザー登録がされた状態で端末が送られてくるため、買ってきてすぐにコンテンツの購入ができるのも便利だ。そして、アプリのクオリティに悩ませられることも普通のAndroid端末より少ない。
Kindleといえば「Kindle Paperwhite」でしょ、という人もいるかもしれない。僕のKindleは国際版のファーストモデルから使っているので、本を読むだけなら電子ペーパー搭載のモデルのほうが目が疲れないぐらいのことはわかる。しかし、やはり現実には映画や音楽などを楽しみたいというユーザーも多い(ハリウッドは世界的なビッグビジネスだ)。ビデオ配信もするAmazonとしては、そういう層もカバーしていかなければ、普通のAndroid端末にもっていかれてしまうのでKindle Fire HDの存在は必然と言える。
一般ユーザーにとって、イージーに使えてこれ1つあれば日常生活やエンターテインメントにある程度不足のない端末として、Kindle Fire HDの存在価値は大きそうだ。とはいっても、Kindle Fire HDが本来のポテンシャルを発揮できるのは残念ながら現時点では北米に限られる。日本国内でも音楽コンテンツがよりリッチになったり、ビデオ配信販売が開始されれば、日本でのKindle Fire HDの評価もまた変わってくるだろう。
Kindle Fire HDと第2世代国際版Kindleの比較。Kindle Fire HDは幅が広いのがわかる。 |
記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo、
ブログ:一条真人メモ
クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。
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クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。
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本コラムは毎月第2・第4火曜日更新予定!
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