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【端末レビュー】 ドコモ ARROWS最新モデルのカメラ機能を試してみた(ARROWS V F-04EとARROWS Kiss F-03E)

今回はNTTドコモ向けの2つのARROWS端末、「ARROWS V F-04E」と「ARROWS Kiss F-03E」(ジルスチュアートモデル)のカメラ機能を試してみた。

ARROWS V F-04EとARROWS Kiss F-03E

■そもそもARROWS V F-04Eは実用に耐えるのか?

さて、そもそもカメラ機能以前の問題として「NVIDIA Tegra 3」搭載ということで、ARROWS V F-04Eの発熱、バッテリー持ちなどが気になる人は多いと思うので、まずはこのあたりの話をしたい。この懸念を抱く原因は、例のモデルがあまりにヤバかったおかげだ。驚いたことに、この面では大きく改善され、目立った発熱もなく、バッテリー消耗も過激ではなく、ごく平均的なAndroid端末のように使うことができた。バッテリー寿命に関してはバッテリーの大容量化も貢献しているだろうが、発熱に関しては半導体的な改善が大きいはずだ。例のCOSMOSチップのおかげだろうか?

ディスプレイは約4.7インチでHD解像度(1280×720ドット)で、その表示は精緻ではあるが、発色やコントラストは浅い印象もある。とはいえ、普通に使うのは問題のない表示クオリティだ。また、使っていて不便に感じたのはUSBコネクタにカバーがあることで、現時点の端末としては、できればカバーレスで防水を実現して欲しかったところだ。


■カメラ機能の基本スペック

ARROWS V F-04Eは約1310万画素(インカメラは約130万画素)、ARROWS Kiss F-03Eは約800万画素(インカメラは約120万画素)のカメラを搭載している。ARROWS Kiss F-03Eのカメラでも画素数的には現時点で高性能な部類に入るが、ARRWOS V F-04Eの画素数はまさにトップレベルだ。カメラ機能が売り物の「HTC J butterfly」(au向け)でも約800万画素なので、どれだけ画素数が多いのかがわかる。

左がVで右がKiss。カメラ部分がデザイン的にも異なっている。


■ユーザーインターフェース

カメラ機能のUIは基本的に両者で変わらない。右の中央のカメラアイコンでシャッターが切れる。また、その下のアイコンでバーコード、静止画像、動画の撮影モードを切り替えることができる。

また、画面の左端からメニューを引き出して基本的な撮影設定を行うことになる。上から「撮影モード」「エフェクト撮影」「シーン別撮影」「笑顔シャッター」「設定」などごく普通な感じ。そして、右下の設定アイコンのメニューで撮影画素数やストロボモードなどを設定できる。

ARROWS V F-04Eだけが持つモードとして「撮影モード」の「無限連写」がある。このモードは文字通りシャッターを押している間、無限に連続して静止画像を撮影し続けるものだが、このときの解像度はVGAになってしまうのが残念だ。ディスプレイ上でだけ見るにはいいかもしれないが、高解像度で連続撮影できるHTC J butterflyなどと比較すると、ちょっとがっかりしてしまう。

解像度の問題は好みにすぎないかもしれないが、より問題なのはこのモードで撮影したあとに「通常モード」に切り替えても解像度はVGAのままになってしまうことだ。これに気づかずにそのあとに撮影した画像が意図せずに低解像度なVGA画像になってしまうとかなりがっかりする。他のモードを選択したときに、前の解像度に自動的に戻していただけないものだろうか? という感じ。このあたりはできればソフトウェア更新の際に改善して欲しいところだ。

無限連写モードの選択。このモードは解像度がVGAなのが残念。

撮影解像度選択画面。


■フォーカス速度

このカメラではシャッターを押してからフォーカスを開始し、画面上の四角形が緑色になるとフォーカスマッチとなってシャッターが切れる、という一般的な方式なのだが、このフォーカス処理の時間がARROWS V F-04EとARROWS Kiss F-03Eで異なっている。より高性能なARROWS V F-04Eの方がスピーディにフォーカスするわけだが、それでも「iPhone 4S」などと比較するとフォーカスが速いわけではないのが残念なところだ。

さらにAndroid端末でもソフトバンクモバイル向けのファーウェイ製「STREAM 201HW」と比較しても、多くの場合フォーカスが遅いのがさらに残念だ。逆に、201HWについてはフォーカスを外す確率が高いから、どっちもどっちかもしれないが……。

前述のようにARROWS Kiss F-03EはARROWS V F-04Eよりもフォーカス速度が遅いわけだが、実のところ、実用的には十分な速度とも感じる。


■画質傾向

ARROWS V F-04Eの画質は画素数が多いわりに、それを活かしきれていない感じで、コントラストが浅く、発色も芳しくない。これと比較すると、ARROWS Kiss F-03Eの方が総合力が高い印象だ。ARROWS V F-04Eが、色が浅いのに対して、ARROWS Kiss F-03Eは色乗りがいい感じなのだ。これは対象物によっては再現性にかけるような映像になる可能性もあるが、全体に好印象ではある。

ただ、両機種とも照明やシチュエーションによってはホワイトバランスが上手く取れない場合があるので、もう少し改善して頂きたい感じだ。また、ARROWS V F-04Eはレンズの内部反射が過度な状況があったことも気になった。


●ブラックベリー例

ARROWS Kiss F-03Eの方がしなやかに階調表示し、色乗りもいい印象。

ARROWS Vで撮影した写真。

ARROWS Kissで撮影した写真。


●熱帯魚例

ARROWS V F-04Eは発色はイマイチ感があるが、細部まで精緻に描写しようとしているのがわかる。iPhoneは解像感は低いが、発色が自然でいい。

ARROWS Vで撮影した写真。

iPhone 4Sで撮影した写真。


●サンタ例

精細感はあるが、ややのっぺりした印象のARROWS V F-04Eに対して、iPhone 4Sは発色、再現性ともに高い。ARROWS Kiss F-03Eではサンタの赤がちょっとピンクっぽくなっている。その場の視覚をもっとも忠実に再現していると思えるのはiPhone 4Sだ。

ARROWS Vで撮影した写真。

ARROWS Kissで撮影した写真。

iPhone 4Sで撮影した写真。


●反射

激しい反射のARROWS V。

反射内に赤いパターンが見えるARROWS Kiss。

厳しい条件の中、反射を上手く抑えているiPhone 4S。


●反射例2

まったく何事もなく描写するARROWS Kiss F-03EとiPhone 4Sに対してARROWS V F-04Eでは大きな反射で輪郭がぼやけている。ARROWS KissとiPhone 4Sの、ライトと背景のバランスのとり方にも注目したい。ARROWS Kissの映像はムーディーだ。

ARROWS Vで撮影した写真。

ARROWS Kissで撮影した写真。

iPhone 4Sで撮影した写真。


■評価

ARROWS V F-04Eは反射が強いのを除けば、実用品としてはこんなものかとも思うが、約1310万画素というトップレベルの映像素子を搭載した端末としてはもう少し頑張って欲しかった。

ARROWS Kiss F-03Eは独特の絵作りだが、全体にムーディな映像になる気がするのは女性向けだからだろうか? 意図したものだとしたら、それは成功している。しかし、独自性が強すぎてバランスを崩してしまうシチュエーションもあるので、良し悪しではある。

(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
NTTドコモ/ARROWS V F-04E製品紹介ページ
NTTドコモ/ARROWS Kiss F-03E製品紹介ページ

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