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【一条真人的Androidライフ】第10回:新Nexusは何を目指すか?

スリーサイズ揃った新Nexus
世界的なヒットとなった7インチディスプレイのタブレット「Nexus 7」に続いて、最近、「Nexus 4」、「Nexus 10」という2つの新しいNexus端末が登場した。はるか昔、初めてのNexusである「Nexus One」は登場したとき、そのあまりのハイパフォーマンスさに「スーパーフォン」と呼ばれたものだ(遠い目(・∀・))。

Nexusシリーズにタブレットが加わったことは、そのときほどではないが大きな衝撃をもたらしたと言っていいだろう。

Nexus 7は7インチディスプレイ搭載のAndroidタブレットのなかでも強烈なコストパフォーマンスの高さで、世界的なベストセラーとなった。ボクもNexus 7を持っているが、上着のポケットにも入ってしまうし、動作パフォーマンスはNVIDIA Tegra 3によってトップクラスだ。さらに、GPS搭載でGoogleマップも完璧に使えるのでカーナビ代わりにもいいという便利なタブレットだ。NFCも搭載している。

何より強烈なのは価格で、日本国内では16GBモデルが1万9800円と激安だ。使っていて不便なのは背面にカメラがないため、デジカメ的に活用しにくいこと。120万画素のインカメラでテレビ電話とか自分撮りはできるのだが……。

Nexus 7。上着のポケットにも入る。


≪Nexus 10は成功するか?≫

Nexus 10。
Nexus10はマーケットにどう受け入れられるか?
さて、そんなNexus 7に続いて登場したNexus 10だが、10インチ液晶の解像度は実に2560×1600ドットだ。「iPad」のRetina Displayモデルが9.7インチで2048×1536ドットなのだから、Nexus 10のディスプレイの解像度、表示密度の高さがどれだけ緻密なのかがわかる。

このディスプレイで端末を駆動させるのはデュアルコアのExynos 5250(Cortex-A15ベース)。これで16GBモデルが3万6800円と、同容量のiPad Retina Wi-Fiモデル(4万2800円)よりも、日本国内では6000円程度安い。例によってコストパフォーマンスが高い。

Nexus 7のヒットに続き、この10インチモデルもヒットするだろうか? ヒットする確率は高いが、Nexus 7と違ってすぐにはセールスが上がらないかもとボクは思う。なぜなら、Androidにはタブレット向けで優秀なアプリがあまりないため、10インチの大画面を活かすことがあまりできないからだ。これに対して、Nexus 7の場合は、タブレット向けアプリがあまりなくても、“画面が大きいスマートフォン”的に活用できる。

Nexus 10という素晴らしいプラットフォームを得て、今後、タブレット向けの優れたアプリが今まで以上に開発されていけば、10インチ級のタブレットもユーザーにナイスなエクスペリエンスを提供することができて、ベストセラーになることだろう。

また、メインストリームのユーザーの目的がクリエイティブなものではなく、Google Playで映画が見られたり、本が読めたり、情報が検索できたりすればいいというものであれば、現状でも10インチモデルが成功する可能性は高い。実際、GoogleとしてはGoogleサービスプラットフォームが広がれば、それでいいのかもしれない。そういう意味ではNexus 10はAndroidタブレットの使われ方の試金石となるだろう。


≪スマホのディスプレイサイズのエスカレーションは?≫

それにしても、スマートフォンのディスプレイのサイズは拡大を続けている。現在では「GALAXY NoteⅡ」が5.5インチで最大。最終的にスマートフォンのディスプレイがどこまで拡大していくのか? は誰にもわからないと思うが、Nexus 4のディスプレイサイズは4.7インチに収まった。前Nexusスマートフォンである「GALAXY Nexus」と同じサイズで、現在のスマートフォンとしてはやや大きめだが、「GALAXY SⅢ」の4.8インチよりは小さい。

Nexus 4

Nexus 4の製造メーカーはLGエレクトロニクスで、ベースは「Optimus G」だが、デザインは従来のNexusスマートフォンの流れを踏襲し、角のまるい優美な曲線を持つモデルとなっている。注目はワイヤレス充電の「Qi」に対応していること。ワイヤレス化がまた一歩進みそうだ。

機能的には現代のスマートフォンとしてスキが少なく、新世代の標準機にふさわしい先進的なスペックなので、Nexus OneのようにAndroidスマートフォンの標準値を引き上げる本物(本来?)のNexusが久しぶりに登場したと言える。きっとベストセラーになることだろう。2013年のスマートフォンではクアッドコアが当たり前になるはずだ。

注目したいのはディスプレイサイズが大きくならなかったこと。Googleにしてもスマートフォンのディスプレイはこの程度のサイズがいいということなのだろうか?


≪新しいフェーズに入ったNexus戦略≫

Nexusタブレットを7インチ、10インチとリリースしたことで、Nexus戦略は新しいフェーズに入り、Googleはついにタブレットセグメントに本気になったと言える。当然、これらはAndroidのタブレット市場をリードしていくことが予想されるが、どちらのサイズがどういう層に受け入れられていくのか? これからが楽しみだ。

奇しくもAppleは逆に9.7インチをデフォルトとしていたiPadで7.9インチの「iPad mini」を展開し始めた。タブレットのサイズに勝者があるのか? という話はまた別の機会にしたい。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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