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【取材レポート】 富士通 2012年冬モデルNTTドコモ向け新商品発表会 前編

富士通のNTTドコモ(以下、ドコモ)向け2012年冬モデルの新商品発表会が都内で開催された。まずは代表取締役副社長の佐相秀幸氏が第2四半期の決算が前年の営業利益を上回った業績発表などをし、「スマートフォン、タブレットマーケットが好調に推移する中、富士通はハイエンドからはじまり、『らくらくスマホ』などの新機種も投入し、先日のMM総研の発表においては国内上期のシェアで17.7%という数字を獲得した。これは国内メーカーとしては第1位。総合では第2位という数字となった。本日発表するスマートフォン、タブレットもみな自信作です」と自信あふれる力強い発言をした。

富士通 2012年冬モデルNTTドコモ向け新商品発表会にて


「海外メーカーの勢いが増して、お客様の商品に対する目が非常に厳しいなか、本年度下期を勝ち抜いて、念願の目標である800万台を目指して、富士通の総力をあげて取り組んでいきたい所存でおります」とのことだ。

そして、8月にドコモ、日本電気(以下、NEC)、富士通セミコンダクターと共同で「アクセスネットワークテクノロジ」という会社を設立したことを紹介した。

富士通 代表取締役副社長 佐相秀幸氏


≪COSMOSとは?≫

続いてアクセスネットワークテクノロジの代表取締役社長を務める坂田稔氏が登壇して、自社の紹介と、製品である「COSMOS」チップの説明をした。

アクセスネットワークテクノロジ 代表取締役社長 坂田稔氏

アクセスネットワークテクノロジの紹介スライド

「アクセスネットワークテクノロジはNTTドコモ、NEC、富士通、富士通セミコンダクターを合弁会社として設立された会社で、そのミッションはNTTドコモおよび端末メーカー各社が共同開発してきた世界の最先端の通信プラットフォーム技術を継承、発展させ、世界に先駆けた通信プラットフォームを開発、販売すること」だという。

通信プラットフォームの紹介スライド

スマートフォンやタブレットのプラットフォームの基本的な構成は上図の通り。スマートフォンやタブレットに使われるチップは大別すると、アプリケーション処理のLSIと通信処理LSIが全体を制御していることになるが、アクセスネットワークテクノロジの「COSMOS(コスモス)」はこの通信処理を受け持つLTE対応のチップだ。

現在、スマートフォンの通信を高速化するためにLTEが普及し始めているが、LTE対応スマートフォンの急増により、このLTE通信対応チップの供給不足が発生し、一部のスマートフォンの出荷が遅延したり、発売停止になっている。そんな状況を解消するため、アクセスネットワークテクノロジはLTE対応の通信チップを作ったという。

COSMOSの特徴はLTE、3G、2Gのマルチ通信をワンチップで対応し、データ速度も100Mbpsと速いこと。そして独自のSDR技術を使い、低消費電力化を実現していることだ。富士通研究所の開発したコアを使い、マルチコアに最適化し、電力消費を抑えているという。もう1つの特徴は多彩なアプリケーションチップと柔軟な組み合わせが可能だということだ。

COSMOSの特徴

製品のロードマップも紹介された

ARROWS TabにもCOSMOSチップが搭載されている


≪新製品紹介≫

最後に、富士通執行役員の高田克実氏から富士通のスマートフォンに対する考え方及び端末の紹介が行われた。考え方としてはユーザーを中心として、3つの軸にもとづいて開発している。3つの軸とは「ブロードバンドリーダー」、「ケータイテクノロジーリーダー」、そして、「デザイントレンドリーダー」だ。

ブロードバンドリーダーというのは高速通信のXiに対応すること、ケータイテクノロジーリーダーというのはヒューマンセントリックエンジンのように人にやさしい使いやすい端末であること、そして、コンシューマー製品なのでデザインは常に大切なものだと考えているということだそうだ。

富士通の開発方針

ヒューマンセントリックエンジンで人にやさしいスマートフォンを

富士通のスマートフォン開発の考え方

現在、富士通のスマートフォンは3つの階層にわけて開発をしていて、三角形のベースの部分は、基本性能、薄型、高速CPUであることなど。そして、その上に富士通独自の技術であるヒューマンセントリックテクノロジーをのせて使いやすさを追求する。さらに、各ユーザーに合わせたデザインや形状、旬なサービスに合わせる特徴を盛り込む。こういう考え方でスマートフォンを開発しているという。

なかでも中段のヒューマンセントリックエンジンは機種ごとに特徴のあるアレンジをしていて、2012年冬モデルでは見やすさ、聴きやすさ、操作のしやすさなどに新しい機能を搭載している。

あわせるビュー

1つ目が「あわせるビュー」。一般に、年齢とともに青い色が見にくくなるそうで、ユーザーの年齢に合わせて画面の色を変える機能。年齢が高い場合は青を強調した表示になり、見やすくできる。

おまかせタッチ

「おまかせタッチ」は、アイコンを正確にタッチできない場合でも、ユーザーの意図した操作になるように処理してくれる機能。例えば、指がちょっと届かなかった場合でも、スマートフォンがタッチ座標を補正して、それに合わせた処理になる。

うっかりタッチサポート

「うっかりタッチサポート」は、スマートフォンを持っている手の指が不用意にディスプレイに触れていても反応しない機能。指が画面の端に掛かっていた場合などでも操作できる。

スーパーはっきりボイス4

「スーパーはっきりボイス4」は、通話時に聞き取りにくいような状況で、高音を少し持ち上げて自動補正することで、よりクリアに音を伝える機能。

以下、後編に続く。


前編/後編


(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
富士通

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