日本通信は22日、同社が提供する音声通信用SIMカードについて、1年未満で解約した場合に10,500円の違約金を設定すると発表した。従来はこのような違約金の設定はなかったものの、多発するMNPの悪用対策として導入されることになった。具体的には同社の「talkingSIM U300」、「talkingSIMプラチナ」(microSIM版を含む)の提供条件が見直され、3月20日16時以降の申込み分から1年間の最低利用期間が設定され、1年未満の解約については違約金が発生するようになっている。
最近になってから、同種の動きは他の通信事業者にも見られる。
ソフトバンクモバイルはプリペイド式(前払い式)のサービス「プリモバイル」において1年以内に解約した場合に、解除料9,975円を設定した。この解除料は4月4日の契約分から適用となる。また、KDDIもプリペイドサービス「ぷりペイド」の提供条件を変更している。
KDDIの場合は、新規契約事務手数料4,200円の設定と、契約時に3,000円分以上の「ぷりペイド」カードを購入することを条件とした。
各社ともこれらの施策により、仮に短期で解約されたとしてもコスト回収が可能となる。
日本通信は違約金を設定せざるを得なくなった背景として、通信各社による過度なMNPインセンティブの存在を挙げている。MNPを利用して他社へ移転して新規端末を契約する場合、通常の新規契約や機種変更に比べて、大きな特典が得られる。特に2月、3月には大きなキャッシュバックが設定され、MNPの利用の仕方によっては大きな利益も得られる例もあった。
そして、MNPの際、転出元として利用されることの多いのがプリペイドサービスや日本通信のサービスのように、低コストで入手できる携帯電話番号となっている。
日本通信は、この過度なMNPインセンティブへの抗議として1年間の最低利用期間を設定することを決めたとしている。
本記事タイトルには「悪用」と記したが、実際には制度や特典を巧妙に利用した方法で、過度なMNPインセンティブがなければ起こりえない事態でもある。実際に、プリペイドサービスや日本通信のサービスなどにおいて、超短期での解約にコストが発生するとなると、事態が改善されるものと期待される。
【情報元、参考リンク】
日本通信/プレスリリース
GAPSIS/ソフトバンク、プリペイド式サービス「プリモバイル」において1年以内の解約には解除料9975円を導入へ
GAPSIS/KDDI、auプリペイドサービス「ぷりペイド」で新規契約事務手数料4200円を設定へ。さらに3000円以上の「ぷりペイド」カードの購入が必要に
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