NECは9日、ネットワークの混雑状況や端末で利用中のアプリに応じて、無線接続をきめ細かく制御し、通信網を適切に選択する技術を開発したと発表した。モバイル通信の急増に対応する技術となる。
昨年来、国内のモバイル端末の通信環境はスマートフォンが急速に普及し始めたことで大きく変化した。スマートフォンはフィーチャーフォンよりも平均的に通信量が多く、全体的なモバイル通信量が急激に増大している。そこで通信各社は公衆無線LANサービスの拡充や、LTE、WiMAXなどの高速データ通信サービスの環境整備に注力している。対応する端末の場合、これらの通信網のエリアに移動した際は、設定していれば自動的にネットワークが切り替えられる。
しかし、無線LAN網に関しては、エリアが非常に狭く限られるので、移動すると途切れたり、通信路のセキュリティに対する課題もある。
NECが開発した技術は、OpenFlow技術を活かし、モバイル通信のネットワーク上に設置したコントローラが、端末の無線通信を制御し、最適なネットワークを使用させる。通信事業者においては通信状況やサービス要件、アプリの種類などに応じてネットワークをきめ細かく設定できるようになる。これにより、携帯電話回線網の繋がりやすさや安全性、無線LANの高速性など、異なる通信網の利点を同時に得られる。
一方、ユーザーにとっては、通信網の接続設定を自分で行わずに、アプリやサービス、状況に応じた最適な通信網が手軽に自動的に利用できる利点がある。
技術的な詳しい特徴は次の通り。
●端末の通信をネットワーク側から制御し、通信網を効率的に利用
モバイル通信ネットワーク上にOpenFlowコントローラを、端末にはandroid対応したOpenFlowスイッチ機能をもつソフトウェアを搭載。これらにより、従来は端末が自律的に行っていた3G・無線LANなどの通信網選択をネットワークから集中的に制御し、それぞれの通信インフラの利用状況などに応じて、より効率的な通信網の利用を実現。
●アプリケーションに応じて通信網を切り替え、通信品質を向上
アプリケーションが通信を行うたびに生じる情報の流れ「フロー」の単位で、利用する通信網の切り替えが可能。これにより、アプリケーション毎の通信網に対する要件や、利用時の端末の状態に応じて、最適な通信網を選択可能。
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