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Google、Android Market上の有料アプリで通貨別の価格設定を可能へ。「Buyer’s Currency」を導入

米Googleは現地時間2日、マウンテンビューの本社でプレスカンファレンスを開催した。そこではAndroid 3.0(開発コード「Honeycomb」)の詳細説明のほか、Androidのエコシステム周りでの新情報も飛び出した。大きな話題となったのはウェブサイト版のAndroid Marketのリリースだ。PCなどのウェブブラウザからAndroid Marketへアクセスし、アプリを探し、情報をチェック、そしてスマートフォンなどの端末へ遠隔でインストールすることが可能になった。

また、エコシステムで1点大きなニュースがあり、アプリ内課金システムが導入される。今四半期末までには一般提供される予定で、それ以後は開発者はアプリ内で有料アイテムなどのコンテンツを販売できるようになる。ユーザー側としてはシステムを利用してそれらのコンテンツを手軽に購入できるようになる。

そしてもう1点注目すべき話題がある。それが本記事タイトルに記した「Buyer's Currency」だ。

これは簡単にいえば、各国のユーザー向けに複数の通貨別に価格設定ができる機能だ。従来であればアプリ・デベロッパー/パブリッシャーはそれぞれの国の通貨で値をつけていた。例えば、米国のデベロッパーの場合は米ドルで価格設定される。このアプリを日本のユーザーが購入する場合は、そのときの為替レートに従って、「約~円」という形で参考価格がAndroid Market上に表示される。我々日本のユーザーが海外のアプリを購入するときには「約~円」という表記で値段を判断していたことと思う。

ユーザー視点ではこれでも不自由はなく、アプリの支払い額としては全世界公平だろう。しかし、デベロッパーとしてはビジネスをやり難い部分もある。アプリに限らず、様々な商品ではよく一般的に、「98円」「198円」など、桁が繰り上がる手前での価格が提示されることが多い。海外でも同様で、「0.99ドル」「1.99ドル」などの価格表記を多く見かける。

ところが、為替レートによって換算された参考価格が表示される形だと、思った以上の価格で提示されることがある。例として、99円のアプリの場合で考えたい。仮に1ドル=100円のレートで計算すると、米国ユーザー向けには約0.99ドルという価格提示になる。これはビジネス上、悪くない。ところが、レートが1ドル=98円になった場合、1ドルを超えてしまう。

桁が上がるとどうしても高く見えがちなので、価格戦略を重視すると、日本には99円、米国には0.99ドルといったように、通貨別の固定価格設定ができた方がいい。この場合、為替レート次第では1本あたりの売上げは当然減る可能性もある。しかし、ビジネス上は通貨別に設定できた方がいいだろう。

しかも、通貨別に価格設定できるということは、例えば日本には99円、米国には1.99ドル、などのように大きな価格差をつけることも可能になるということだ。いずれにしても、価格設定の選択肢が増えることはデベロッパーにとってビジネスの一助になるはずだ。

ここまでデベロッパー側の視点でみてきたが、最後にユーザー側の影響を考えてみたい。

現行システムであれば米国のアプリを買う場合に支払う金額はそのときの為替レートによって円換算された金額そのもの。米国ユーザーと同じ値段で買っている状態といっていい。しかし、仮に日本向けに99円、米国向けに0.99ドルという設定がされた場合、為替レート次第で米国ユーザーと異なる金額を支払うことになる。同じものを別の値段で買うわけで、為替リスクをユーザーが負う形となる。

具体的には円高のときは従来であれば、米国ユーザーよりも安く買えたものが、今後はレートに関係なく99円で買う。逆に円安が進めば、それよりも安く買える。

ユーザー視点ではどちらがいいかは良し悪しという意見もあるかもしれない。

なお、Buyer's Currencyはまずは米国のデベロッパー向けに提供開始となり、その後順次各国向けに公開される予定。

【情報元、参考リンク】
Android Developers Blog/New Merchandising and Billing Features on Android Market

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